軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

VSゴーレム 観戦

2.5メートルのゴーレムはゴーレムの中では小さい部類に入る。

だが、人から見れば十分デカいし、まだ成長途中のあいつらから見ればなおさらだろう。

そのせいか?

ジェイドの動きが悪い。

さっきまでは上手く誘導してたはずだが、今は真正面から受けてばっかだ。

もっと流したり、いなしたり、出来ると思うんだが・・・?

性格的にもゴーレムと力比べに燃えるような奴じゃねぇし、なにかあったか?

調子の悪そうなジェイドは早々に仲間に状況を聞く。

「お前ら‼ なにか分かったか⁉」

それを見て俺は良かったと思う。

あいつから、攻撃手段を取り上げたのは正解だったかもしれねぇ。

下手に悩まず、仲間に頼る。

パーティーには重要なことで、それがスムーズに出来てるからだ。

ただ、返ってきたのはなにもわからねぇ・・・どころか、魔法は効かねぇっつー答えだったが。

幾つか魔法が飛んでいた。だが結果はケイトの雷魔法はおろか、リミアのガーゴイルを撃ちぬいた水魔法も、あのゴーレムには効果がなかったらしい。

つまり、あのゴーレムは魔法耐性が高いってことだ。

そうなると、自動的に物理で攻めることになる。

なんでかっつーと、それが基本だからだ。

魔法か物理。

どちらかの耐性が高いモンスターは、もう片方がよく通る。

どっちにも高い耐性を持つモンスターなんて特例中の特例だけだ。

俺は奇遇にも、その特例の・・・しかもゴーレムを知ってるが、目の前のゴーレムはそうじゃねぇだろう。

なんてったって、あからさまな弱点が見えるからな。

「魔法生物の体のどこかには核と呼ばれる弱点があるはずなんだけど! なにかない⁉」

俺の心を読んだみたいにタイミングよくエイラが言うが・・・いや、待て。

お前の位置からでも見えてるだろ⁉

思わず声を上げそうになる。

だが、それだけじゃねぇ。

「なんにもねぇよ‼」

とジェイド。

それに続いて、

「駄目です! こっちにもそんなのは・・・・・・」

ヨハンまでもが同じように嘆く。

まぁ背後を取ってるヨハンからは見えねぇかも知れねぇが、それでも。

俺はその様子に眉間にしわを寄せ、拳をあてがっちまった。

事前に魔法生物について、もっと教えときゃよかったか・・・?

ほぼ黒一色な全身の中で、唯一涼し気に光ってる青い目!

どうみてもアレが弱点だろ⁉

言った方がいいか?

そうすりゃお互い楽にはなるが・・・・・・。

ジェイドが振り返ってこっちを見てる。

けど、ここで頼らせたら今後も引きずる気がするんだよなぁ・・・。

と。そこへ、

「無茶するな―――」

「―――関節を狙ってくださいませ‼」

キューティーの声が届く。

顔を上げると。いつもの悪癖が出たのか、キューティーが一人で前に突っ込んでいた。

反射的に壁につけていた背中が離れる。

が・・・まだだ。

まだなにがあったわけでもねぇ。

口を挟むには早すぎる。

ゆっくり背中を戻して息を吐く。

「――ふふっ」

「なんだ?」

「いいえ。なんでもありません」

そういえば隣にいたユノに小さく笑われた。

なにか言いたいわけじゃなさそうだが、楽しそうというか、嬉しそうというか、そんな顔で笑ってやがる。

とはいえ、突っかかる程のことでもねぇし、大人しく視線を戻す。

すると・・・今まではワンパターンで、ほとんど真っ直ぐ走るだけだったキューティーが、途中で止まったりと遊ぶような動きを見せながら、するりとゴーレムの膝元まで入り込んでみせた。

全てを予測した上で、なぞるような動き。自信が見えるいい動きだ。

そして、一回転しながら膝を狙っての一撃。

ここまで音は聞こえてこねぇが、かなりいい手ごたえだったんだろうってのが見て取れる。

柄での一撃。

関節を狙う発想。

それ等は完璧に近いゴーレム対策だ。

他の外殻に比べて、関節周りは稼働する都合上どうしても脆い。

そこへ斬撃ではなく打撃を見舞う。

それは斬り捨てるより、叩いて凹ませた方が関節の駆動障害を引き起こす可能性があると知ってるから。

あるいは勘がそうさせたのか・・・? あんまり勉強熱心には見えねぇし・・・。

だったら、それはそれですげぇけどな。

どちらにせよ・・・酷く正しいゴーレム対策を見て、ヨハンがそれを真似し、他全員で注意を引きながら、ガンガン叩いていく。

次第にゴーレムの動きは鈍っていき、仕舞いには膝をつき、まるで許しを請うように項垂れる。

油断しなけりゃ、もう勝ったも同然だな。

あの前進には勝算があったんだ。

それを悪癖が・・・なんて、決めつけたのは悪かったな。

あいつらを見てると、反省することばっかだな。

と、ゴーレムが最後のあがきを見せる。

体を起こすために地面を押し上げ、左手で薙ぎ払うつもりだ。

あんなもん。一歩二歩下がれば――って、おい‼

「キューティー⁉ 右だッ‼」

なぜか、余裕を持って右に動いたキューティーを見て、ジェイドが叫ぶ。

間に合わない‼

キューティーもそう思ったんだろう。

全てを置いて、力一杯、細剣を突き出した。

そっからじゃ、あの目には届かねぇ。

届かねぇ・・・が、

それは高さの話じゃない。

右にずれた分、直接狙ったんじゃぁ届かねぇってだけだ。

この後自分がどうなるのか。

それを理解した上で、キューティーは真っ直ぐ上に、手を伸ばした。

当然。

避ける気がないんだ。キューティーは薙ぎ払われた左手に直撃して真横に吹き飛ぶ。

つい、身を乗り出して安否を確認するが・・・、

「やっぱり心配でしょうか?」

「・・・・・・まさか」

吹き飛ばされた先の壁際で、小さくガッツポーズを決めている姿が見え。

どうやら、心配は要らねぇみたいだな。

薙ぎ払いの後、動きを止めたゴーレムが砂のように崩れていく。

突き出された剣は、吹き飛ばされた勢いをそのままにゴーレムの核を斬り裂いたんだろう。

魔法盾じゃなけりゃどうなってたか・・・。魔法盾だからこそ、姿勢を保ったまま吹き飛ぶことが出来たんだ。

ゴーレムの崩壊を確認したエイラが、キューティーに素早く駆け寄って、残り4人は警戒体制を解かねぇ。

さっきので学習したのか・・・いい傾向だ。

ゴーレムが完全に消えると、足元にある魔法陣の光っていた部分が同じようにまた消える。

実は足元の魔法陣。

ゴーレムの時点でそのほとんどが光っていた。

残ったのは人一人が乗れるぐらいの小さな陣。

吹き飛ばされたキューティーとエイラが仲間の元に戻り、これで終わりか・・・? という空気が流れる。

だが、確かに足元の魔法陣は残っていて、だからこそ、そんなわけがねぇと光を放つ。

今までよりも光は強く。

現れたのは、

巨大なスライムだ。