作品タイトル不明
VSガーゴイル 観戦
現れたガーゴイルにいち早く反応したのはジェイドだ。
視線を引くように目の前に飛び出して盾を構えた。
盾役としては当然・・・だが、初めて見る相手、しかも自分よりデカいモンスターの前に出るってのは口で言うほど簡単じゃねぇ。
なにをしてくるのかもわからなければ、それに耐えられるのかもわからねぇ。そんな恐怖や躊躇いを振り払って前に出なきゃならねぇんだ。簡単なはずがねぇ・・・んだが。
ジェイドはそんなもんを一切感じさせねぇ速さで前に出てた。
仲間を守る事しか頭になかったか、単になんにも考えてなかったか・・・。いずれにしても、その動き自体は良かった。
ある意味才能なのかもしれねぇな。
それを見て、他全員が状況を飲み込んで、自分の配置についた。
中々、ちゃんとパーティーしてるな。
そう感心するぐらいには意思疎通も出来てる。
ジェイド、キューティー、ヨハン。三人とも上手く攻撃を捌いている。直撃した様子はねぇし、なにより、ガーゴイルの・・・というか、木人も含めてだが、魔法生物特有の性質に気付いたか?
先読みまで出来てるんじゃねぇかっていう動きだ。
ただ・・・、
ガーゴイルが止まらねぇ。
あいつら前衛の攻撃は通らねぇし、
「だ、駄目。雷は効かない」
そう。雷属性の魔法は金属ならものによるが、鉱石系や石像なんかが相手じゃ分が悪い。
俺の予想が正しければガーゴイル以外にも敵が湧く。
それがなにか、まではわからねぇが魔法生物だとすりゃ、ゴーレムが出てくる可能性もあるだろう。
そうなれば・・・ケイトにとっては厳しいかもな。
純魔法生成のモンスターは魔法耐性が高くて当然。
しかも相性まで悪いとなれば、相当工夫がねぇと通用しねぇ。
「少しだけ時間をください! どうにかします!」
そんな中、リミアの声が響く。
どうするつもりだ?
と、リミアを見ると・・・一瞬だけだが目が合った。
なにかの合図かとも思ったが、わからねぇ。
気になって視線がリミアを追う中で、ヨハンの表情に目が留まる。
あの表情は・・・・・・。
どこか・・・いや、なにかを諦めた表情だ。
羨ましさと悔しさと無力感と。
そして、少しだけ・・・なにかを期待した表情だ。
っと! 今度はヨハンと目が合ったな。
だが、ジェイドに声を掛けられてすぐに前を向いた。
今ので若干心配になってヨハンを見るが・・・。
変なところは・・・・・・特にねぇよな?
別に、おかしな動きをしてるわけでもねぇし・・・。
なんだったんだ?
とかなんとか考えている間に、
「ガイザージェット‼」
リミアが突き出したメイスの先から、結構な勢いで魔法が撃ち出される。
ここからじゃよく見えねぇが、まぁたぶん水の魔法だろう。
背景の白と相まって透明なそれは圧倒的に見難いが・・・確かにガーゴイルを胸を貫き、消えた。
おそらくは凝縮させた水を一点から噴射させたんだろう。
俺が教えたわけじゃねぇから、自分で考えたか、本でも読んで見つけたか・・・誰かに聞いたか。
ま、いずれにせよ大したもんだな。あいつは。
杖としてのメイスの扱いも勝手に上手くなってるし、さっきの木人は威力そこそこで範囲と連打が強みの魔法で、ガーゴイルは射程こそ短いが威力は十分な魔法で倒しやがった。
「今のはなんだったのでしょう⁉ 一瞬すぎて・・・。あの石像はもう動かないのでしょうか?」
興奮気味にガーゴイルを指差すユノ。
倒れたガーゴイルの胸に空いたのは拳大ぐらいの穴。それで倒せたのかと聞かれたら難しいところだが、
「さぁな・・・っ! いや、どうやら問題ねぇようだ」
床の魔法陣の外側、光っていた部分がゆっくりと消えていく。
同時に、ガーゴイル身体も風に吹かれた砂のように形を失くしていった。
それを目の当たりにした6人は勝利を喜び、
「凄いですね! あの方達‼ それで、さっきのはいったいなにをしたのでしょうか?」
ユノもそれを自分のことのように嬉しそうにしながら聞く。
だが、
「忘れてねぇか?」
消えたのは魔法陣の外側だけ。内側は残ったままだ。
そして、その魔法陣がまた怪しげに赤い光を放つ。
「次が来るぞ」
そうして・・・、
現れたのは硬質の巨人像ゴーレム。
丸太のように太く、岩みたいに硬そうな腕、足、身体。
身長は2・5メートルってところか?
だってのに、さっきのガーゴイルとは比べもんにならねぇ程、デカく感じるのは高さのせいだ。
さて、あいつらは・・・どうするだろうな?