軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白魔導師、国王と出会う

それから、王都に辿りつくのにそう時間はかからなかった。流石に魔王軍とて四天王級の魔族を何体もは配備できないだろうし、まさか返り討ちに合うとは予想もしていなかったのだろう。実際、セリオンの登場がなければ、俺たちは負けていた。クレアも再度誘拐されてしまったことだろう。

また、セリオンがストレスをモンスターへ向けて発散してくれていたお陰で、満身創痍のユイたちが戦う必要もなかった。

謎の霧も晴れており、道に迷うこともない。

結局、あの霧が何だったのかは謎だが……。

王都についてすぐ、俺たちは王国騎士の方々に連れられ、王城へと向かった。

そして今、俺たちは王城の中の玉座のある間にいる。

豪華な装飾の施された玉座には、そこに座るに相応しい、貫禄のある中年の男が一人、玉座に腰かけていた。周囲にはその男を護衛する王国騎士が数名おり、どれも手練れであることが窺えた。

玉座に腰掛けるのはグレハドール=バジレウス……王国の現国王だ。

さて。アベルと話した際もそうだったが、俺もユイも、ダッガスたちも、こういった際の礼儀作法には疎く、どうするのが正解なのかと頭を悩ませていた。

ちらり、とセリオンに目を向けるがセリオンは堂々とした態度でクレアの傍に立っている。それはもう興味なさげに。

あれは参考にはならなさそうだ。

そんなこんなと、頭を悩ませていると、国王が立ち上がり、口を開いた。

「まず。ユイ、ダッガス、クロス、シリカ、そしてロイド……此度は本来勇者が受け持つはずの護衛依頼を受けて頂いたことを謝罪すると同時に、感謝の意を伝えたい」

そう言うと、国王は深々と頭を下げた。

勇者アレンの失態は、アレンを指示していた王国側……すなわち国王にも責任はあるのかもしれないが。

それからしばらく話を聞いた後、報酬を受け取り、玉座の間を去った。

こうして危うい場面もあったが、クレアの護衛任務は何とか達成されたのだった……俺以外は。

そう、俺以外は、である。

俺はというと、いまだ王城内にいた。

国王の話の中に、この王城内も決して安全とは言いきれないという話が上がった。理由はグリストのように、人間に化けている魔族がいるかもしれないからだ。

その際、俺は一言「ある程度至近距離で探知魔法を使えば判別できる」と伝えた。事実、探知魔法は人間、獣人、魔族の判別くらいは可能だ。そう伝えたとき、異様に周囲が驚いていたが……まぁ、それはいい。

俺は自身のその発言のせいで、王城内に魔族の気配がないか探り、歩き回っていた。

気が付けばもう日が沈みかけている。

「あと少し……」

残すは王城内の研究室にいる獣人のチェックを済ませれば終わりだ。

俺は知らなかったが、かなり有名な研究者であり、同時にAランク冒険者の資格を持つ魔術師だそうだ。

「えーと、このあたりで待機しとけって指示だったが……」

「おい、そこの主」

「ん?」

声の聞こえてきた方を振り返ると、幼げな少女の姿があった。この国では珍しい着物を身にまとったケモ耳の少女。

迷子、だろうか?

いや、ここは王城内。今はクレアの存在もあって、厳重な警備が張り巡らされている。いくら幼い獣人とは言え、容易に通すとは考えにくい。

迷い込めるような場所でもないし……

「おい、何をぼさっとしておるんじゃ! っさっさとせい! 妾は忙しいんじゃ」

「え?」

「え?って……まさか、妾を知らんのか?」

「悪い。知らない」

「むむむ……これでもそれなりに有名じゃと自負しておったのじゃが……しゃーないのぉ」

「なんか、すいません」

「童はリョウエン! 王国に認められし研究者にして……って、ちょ、主!」

リョウエンと名乗る獣人はそういうと唐突に、俺との距離を詰め、くんくんと匂いを嗅ぎ始めた。

「この魔力の残滓……間違えるはずがない!」

「今度はなんだ?」

一人、興奮した様子でぶつぶつと呟くリョウエン。

とりあえず、リョウエンが俺の探していた獣人っぽいので、探知魔法で念入りに種族を確認しておく。

よし、獣人だな。

これだけ至近距離で判別しているので、間違いはないだろう。

「ぬし、名前はなんという?」

「ロイドだ」

「そうか、ではロイドよ! 近いうちにおぬしの元を尋ねる! 覚悟して待っておれよ!」

それだけ言うと、リョウエンは足早に去って行ってしまった。

いったい何だったのだろうか。

後日と言っていたが、どうやって俺の居場所を突き止める気なのやら。

それに何故匂いを嗅ぐ必要があったのかも不明だ。

だが、

「まぁ、いいか」

考えても仕方がない。

彼女が残りの一人であることは間違いないし、確かに獣人なのも確認した。

仕事は終わった。

早く報告し、とりあえず今日は休みたい。

「流石に、限界だ」

その後、俺は王国騎士に報告を済ませ、王城を去るのだった。