作品タイトル不明
灯した者たち
フォーラムが燃えていた。
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【祝】紡世の徒撃破! 世界の糸が全復元! 灯火の章完結!
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──「終わった……本当に終わったのか。世界の糸が全部戻ってる」
──「ソルシアの草原、完全に元に戻った。あの闇がない。緑しかない。泣いてる」
──「リベルタの上空の裂け目が消えた。空が普通の空に戻ってる」
──「常世島も正常化してる。灰色だった糸が全部白い」
──「ミコトの配信で全部見た。八百万人が見てた。BCO史上最高視聴者数だ」
──「アルキスとの最終戦、やばかった。三十一万人の灯歩がトワに集中して、測定不能vs測定不能」
──「最後にアルキスが歩いたところで泣いた。四歩だけ。でも、歩いた」
──「紡世者のメッセージ読んだ。『歩く者の物語は、終わりません。歩き続けてください』ってさ。なんだか感慨深いな」
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【考察】灯歩の光とは何だったのか
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──「灯歩の光は、プレイヤーが歩いた記録そのもの。自分で灯した光」
──「三つの光は他者からの祝福。四つ目は自分の足跡。受け取るものじゃなく、灯すもの」
──「つまり、BCOを遊んでた全プレイヤーの全プレイ時間が、世界を支える力だったってことか」
──「『あなたたちの足跡が世界を灯した』。運営、なかなかやるな」
──「初心者の一歩も、廃人の一万時間も、全部同じ灯歩。大きさは違うけど、全部光だ」
──「引退して戻ってきた組だけど、俺の灯歩も灯ったんだよな。一年しかやってなかったけど」
──「灯ったよ。一歩でも灯った。それが灯歩だ」
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ミコトの配信のアーカイブ視聴数が、一晩で二千万回を超えた。BCOの枠を超えて、ゲーム業界全体の話題になっていた。
トワにはフレンド申請が殺到していた。五万件以上。全て処理するのは不可能だった。
「師匠、フレンド申請が止まりません!!」ハルがフォーラムを見ながら言った。
「放っておけ。どうせ対応できない」
「でも、みんな師匠と歩きたいって言ってますよ」
「歩きたければ、自分の足で歩けばいい。俺と歩く必要はない」
「師匠らしいセリフですね」ハルが笑った。
システムメッセージが表示された。
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【灯火の章 クリア報酬】
【称号「世界を灯した旅人」を全参加プレイヤーに付与】
【称号効果:灯歩の光が常時微量発動
(踏破済みエリアの環境を緩やかに回復する)】
【特別称号「灯歩の起点」をプレイヤー「トワ」に付与】
【称号効果:
足跡の光が永続的に銀色から金色に変化します】
【──────────────────────────】
星巡りの靴の足跡が、銀色から金色に変わった。
リベルタの石畳を一歩踏むたびに、金色の足跡が刻まれる。灯歩の光を常に纏った足跡。消えない光の道。
「きれい」セレスが角を傾けた。「トワのあしあと、きんいろになった」
「ああ……少し、目立つな」
「めだつの、いい。みんなに、みえる」
タマキが隣を歩いていた。
「トワさん。灯歩の称号、全参加プレイヤーに出てますよ。わたしにも。ゼクスにも。蓮くんにも。全員に」
「全員の灯歩だからな。全員が灯した。全員がもらうのが当然だ」
「でも、金色の足跡はトワさんだけですね」
「一万時間歩いた報酬だろう。受け取っておく」
リベルタの夕暮れを歩いた。金色の足跡が、石畳に残っていく。
フォーラムのスレッドに、新しい投稿が上がった。
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【報告】世界各地の変化まとめ
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──「ソルシア:闇の侵蝕が完全消滅。草原が復元。NPCが『空気が変わった』と言ってる」
──「聖都ルクス:裂け目消滅。大聖堂の鐘が鳴った。イベント用の特別な音だった」
──「新大陸:糸の構造が強化されてる。エリア全体の彩度が上がった気がする」
──「紡ぎ直しの大地:紡世文字が新しく出現。『ありがとう』とだけ書いてある」
──「深淵の封印:圧力が完全に正常化。封印が安定してる」
──「常世島:七繰りの施設が自動解体された。跡地に花畑ができてる」
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世界が癒えていく。プレイヤーの灯歩が、世界を灯し続けている。
トワはベンチに座って、フォーラムを閉じた。夕焼けの空を見上げた。
「終わったんですね」タマキが呟いた。
「紡世者の物語は、終わった。だが、俺たちの物語は終わらない」
「はい。まだ歩きますもんね」
「ああ、まだ歩く」
金色の足跡が、夕焼けの光に溶けていた。