作品タイトル不明
[調和]
湖底。
七色の光がピラミッドから放射された瞬間──調律者が動きを止めた。
「まさか、この光は──」
「お察しの通り、虚空の獣王が目覚めた」トワが弓を構えた。「お前が手元に置いていた最後の切り札が解放された。この意味が、分かるな?」
アルケイアがピラミッドから飛び出した。水中を七色の光が駆け抜ける。巨大な透明の鹿が──湖底に降り立った。
その瞬間──景色が変わった。
アルケイアの七色の角から、波動が大陸全体に広がっていく。エルシオンの七つのエリア──火、土、光、虚空。残り四つのエリアで拘束されていた獣王たちの蝕印が──
【七彩のアルケイアの覚醒波動が全エリアに伝播しています】
【火の獣王「灼炎のヴォルガ」──蝕印崩壊中】
【土の獣王「剛山のテラドン」──蝕印崩壊中】
【光の獣王「煌陽のソレイス」──蝕印崩壊中】
「師匠!! これは……蝕印が、各地で崩壊してるのですか!? アルケイアの波動で──!」
「虚空の獣王は七属性全てを内包している。その波動が蝕印の均衡を壊した。──リーリアが言っていた『七属性同時注入で解除』が、大陸規模で発動しているんだ」
【火の獣王「灼炎のヴォルガ」──解放されました!】
【土の獣王「剛山のテラドン」──解放されました!】
【光の獣王「煌陽のソレイス」──解放されました!】
【七体の獣王が全て解放されました!】
「全部──! 七体全部、解放されました──!」
大陸全土で獣王が咆哮した。火山から炎が上がり、大地が震え、氷原に光が満ちた。七つのエリアが──同時に息を吹き返した。
そして──調和の鈴が鳴った。トワのポケットの中で、七つの音が全て揃った。欠けていた音がない。完全な七音。
「七色の音が──全て聞こえる」
セレスが肩の上で耳をぴくっとさせた。
「トワ。──なないろ。ぜんぶなってる。きれい。──かなしくない」
調律者が、杖を握り締めた。
「──ありえぬ……七体の獣王が、全て。このままでは、私の計画が──」
「百年の計画は終わりだ。──お前の虚空は、『調和』に勝てない」
七体の獣王の力が──大湖に集まってきた。闇のオルグレン。風のセレイア。水のマリドゥス。火のヴォルガ。土のテラドン。光のソレイス。虚空のアルケイア。
七色のエネルギーが調律者を包囲した。
「七つの属性が──均衡している。完全な……調和だ」
調律者の身体が──実体化し始めた。七属性の均衡が、虚空の身体に形を与えていく。透明だった輪郭に色がつく。ローブ。杖。──そして、空っぽだった顔に、表情が浮かんだ。
老人の顔。ルトヴィアに似ている。──前任の長老。百年前に虚空に触れて変質した者。
「ようやく見えたな、お前の顔が」
「チッ……余計なことを」
「余計なことじゃない。──俺たちにとってはな」
調律者が実体化したいま、みんなの攻撃が通るようになった。
「全員、今だ──!」
三十五人と七体の獣王が、一斉に攻撃を叩き込んだ。
オルグレンの冥牙がローブを裂いた。セレイアの風刃が杖を弾いた。マリドゥスの水圧が身体を押し潰した。ヴォルガの炎が足元を焼いた。テラドンの大地の拳が叩きつけた。ソレイスの光の槍が胸を貫いた。アルケイアの七色の角が──虚空の核を突いた。
七つの属性が同時に一点に集中した。
調律者の身体が──砕けていく。
「……旅人。お前の『調和』は──本物なのか」
「わからない。だが、お前の虚空より、俺はこっちの方が好きだ」
「好き──か。百年前、わたしも……『調和』が好きだった。水晶を守ることが……誇りだった」
身体が光に分解されていく。
「──頼む。水晶を──守ってくれ。私の代わりに」
「ああ、守るさ」
「ははっ……ありがとう、旅人よ」
虚空の調律者が──消えた。
【虚空の調律者を討伐しました!】
【メインクエスト「七色の調和」──コンプリート! 進捗:7/7】
【エルシオンの全属性が正常化されました】
【調和の水晶が完全修復されました】
【全エリアの属性バランスが均衡状態に復帰します】
【称号「七色の旅人」を獲得しました】
【アルケイアの加護を受けました──見聞録に全属性解析機能が追加されます】