作品タイトル不明
告知
一月中旬。
ログインすると、画面全体にシステムメッセージが表示された。
【お知らせ】
【大型アップデート「虚空の彼方」を1月31日に実施します】
【主な追加内容】
【1. 新エリア「第三大陸・エルシオン」の実装】
【2. 虚空の門の転送機能を開放──エルシオンへのアクセスが可能になります】
【3. 新職業「星詠み」の追加】
【4. レベルキャップ開放──Lv100への到達が可能になります(旅人は対象外)】
【5. 新素材「 星鋼(せいこう) 」の追加──虚晶を超える最高位素材】
【6. 虚空龍の鱗を使った新装備レシピの追加】
「アップデートが、来る」
1月31日。あと二週間。
フレンドチャットが一斉に動いた。
ゼクス:「新大陸か。面白い」
アストレア:「レベルキャップ100──! あと五レベル伸ばせます──!」
ハル:「師匠。旅人は対象外って書いてありますけど」
トワ:「Lv1のままだ。二年間ずっとそうだった。今更変わる理由がない」
ハル:「知ってました」
タマキも直ぐに反応した。
「新素材、星鋼……虚晶を超える最高位素材、レシピは――材料は!?」
「まだアップデート前だぞ。情報は少し後に出る」
「でも、少しも待てません!」
「薬師の血を落ち着かせろ」
「無理です。BCO始めてまだ一年ですけど、新素材と聞いたら血が騒ぐんです。もう体に染みついてます」
「一年でそこまで染みつくのか」
「トワさんの影響です。トワさんのパーティにいると、消耗量がすごいから、薬の開発サイクルが異常に速いんです」
「俺のせいか」
「トワさんのせいです。いい意味で。──おかげで薬師としてかなりの経験値を積みました」
リーリアにチャットを送った。
トワ:「リーリア。職業『星詠み』の情報は知っているか」
リーリア:「知ってるよというか、わたしのところにも不思議なメッセージが来たの。『あなたの職業が新規プレイヤーに開放されます。星詠みの指導者として、転職クエストの案内役を務めてください』って」
トワ:「お前が転職クエストのNPCになるのか」
リーリア:「転職クエスト……NPCってなに?」
トワ:「まあ……人を案内する依頼と、その人物のことだ」
リーリア:「ふーん。なんだかよく分からないけど、複雑な気分」
同じく近くにいるパーティーメンバーも、アップデートにはそわそわしているようだ。
「新しい大陸……ここにも聖騎士の祈りが必要ですね。皆が安心して過ごせるように。これはまさに、聖騎士の──」
「矜持ですね」
「矜持」
「矜持でしょうか?」
ハル、ゼクス、タマキが同時に言った。
「なんで全員に先を越されるんですか──!」
セレスが肩の上で首を傾げた。
「トワ。あたらしーたいりく、いくの?」
「行く」
「また、あるくの?」
「歩く」
「いっぱい?」
「いっぱい」
「おやつ、もっていく?」
「持っていく」
「じゃあ──いく」
BCO三年目の大型アップデート。第三大陸エルシオン。虚空の門の向こうに広がる、まだ誰も歩いたことのない世界が始まる。