軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

〈起動〉

虚空の門。

回廊の転送と虚空の庭を経由して、門の前に戻ってきた。門の地下施設に降りる。四つの窪みがある台座。

星の柱。月の柱。太陽の柱。虚空の柱。

四つの結晶を、台座に嵌め込んだ。

一つ目。金色の星の柱。嵌め込むと、台座の一角が光った。

二つ目。銀色の月の柱。台座の対角が光った。

三つ目。赤い太陽の柱。三つ目の角が光った。

四つ目。透明な虚空の柱。最後の角が光って──

【四つの柱が揃いました】

【虚空の門──起動シーケンス開始】

【エネルギー充填中──1%……5%……12%……】

地面が震えた。台座から光の線が伸びていく。壁を伝い、天井を突き抜け、地上の門に向かっていく。

「上に行くぞ!」

階段を駆け上がった。地上に出ると──門が変わっていた。

虚空の門の巨大なアーチが──光っていた。表面の原初の文字が全て発光している。門の内側に──空間が歪んでいる。さっきまでただの「枠」だった門の内側に、何かが映り始めている。

【エネルギー充填中──34%……51%……】

「門が動き始めた──!」

光が強くなっていく。門全体が振動している。大陸の気脈が門に流れ込んでいるのがわかる。回廊を通じて、大陸の隅々から星のエネルギーが集まってきている。

【エネルギー充填中──72%……88%……】

「いったい、何が起きているんだ──」ゼクスが門を見上げた。

「門が開く。虚空の彼方に繋がる」

「その向こうに、何がある」

「わからない。──行ってみないと」

【エネルギー充填──95%……98%……】

その時、仲間たちから連絡が来た。

ダリオ:「トワ! 何だこれは! 海の上からも光が見えるぞ! 東の空が、金色に光ってる!」

ヴェノム:「旅人。ルミナリアからも見える。東の空に光の柱が立っている」

ミコト:「トワさん──聖都からも見えます! 気脈が全て東に向かって流れ込んでいるんです! あの【門】が、遂に開くのですか!?」

新大陸だけじゃない。旧大陸からも見えている。世界中の気脈が門に集まっている。

【エネルギー充填──100%】

【虚空の門──起動】

門の内側が──光に満ちた。そして光が収まると門の向こうに、空間が開いていた。

門の向こう側。金色の光の空間。広大な……球形の空間。直径数百メートル。空中に浮遊する岩の島々。天井も床もない。上下左右に岩が浮かんでいる。

そして……中央に。

何かがいた。

巨大な何か。

門の向こうの空間の中央に、丸くなって眠っている。全長──見聞録の推定で二百メートル以上。翼がある。角がある。尾がある。

龍だった。

虚晶で構成された、透明な龍。身体の中に四色の光が脈打っている。金色、銀色、赤、そして──色のない光。四つの属性を全て内包した、始原の存在。

【警告:超大型エネミーを検知しました】

【虚空龍ヴォイドレクス Lv??? HP:?????? 属性:全属性】

【このエネミーはレイドボスです】

【推奨参加人数:5万人以上】

【推奨レベル:Lv90以上】

「5万人以上──!?」

「レイドボス──! しかも、超大型レイドだ!」

龍が──目を開けた。

金色の瞳が、門の向こうからトワたちを見つめた。

【虚空龍ヴォイドレクスが覚醒しました】

【全プレイヤーにレイド通知が配信されます】

その瞬間、BCOにログインしている全プレイヤーの画面に──メッセージが表示された。

【緊急レイドイベント発生!】

【新大陸の最終レイドボス「虚空龍ヴォイドレクス」が、新大陸東端の虚空の門に出現しました!】

【全プレイヤーの参加が可能です!】

【虚空の門の転送ポイントが臨時開放されました!】

「全プレイヤーに、通知が──!」

「これは……BCO最大級のイベントだ。全プレイヤー参加型の……大型レイド」

「師匠──! これ、あの最初のレイドボスと同じ構造です──! 大人数で大型ボスに挑んだ──あの時と!」

「ああ、みんなで挑んだ超大型レイドボス。あの時は、たったLv1の旅人で、誰も知らない存在だったが……」

「そして今も──Lv1の旅人です」

「だが、 今(・) は(・) 一(・) 人(・) じ(・) ゃ(・) な(・) い(・) 」

転送の光が門の周囲に次々と現れた。プレイヤーが集まり始めている。十人。五十人。百人。千人。一万人。まだまだ増えている。

龍が翼を広げた。透明な翼。虚晶の鱗が光を反射して、空間全体が虹色に輝いた。

咆哮が──世界に響いた。

新大陸の【最終ボス】。虚空龍ヴォイドレクス。

BCO二年目、最大のレイドバトルが──始まる。