軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

〈灼熱の試練〉

太陽の祭壇ダンジョン。

星の祭壇はウェーブバトル。月の祭壇は迷宮。太陽の祭壇は──

【太陽の祭壇──タイムアタック型ダンジョン】

【制限時間:30分】

【制限時間内に最深部に到達せよ。時間切れの場合、入口に強制転送されます】

「三十分──!?」

「タイムアタック。速度が求められるダンジョンだ」

「星が戦闘、月が探索、太陽が速度。三つの祭壇で求められるものが全部違う」

「大型クエストとしてはよくできた設計だな。──行くぞ。三十分は短い」

走った。

ダンジョンの構造は直線。分岐がない。一本道を最深部まで駆け抜ける。だが途中に障害がある。

第一障害。溶岩の川。幅五メートル。

「跳べる距離か」

「普通は跳べない。──だが」

トワが見聞録でスキャンした。溶岩の表面に、一瞬だけ固まる場所がある。三秒に一回、表面が冷えて足場ができる。

「三秒に一回、足場が出る。タイミングを合わせれば走り抜けられる」

「三秒の間に全員で渡るんですか、師匠」

「そんなわけないだろ、一人ずつだ。──俺が先に行く。足場の位置をマーキングする」

トワが溶岩を飛び越えた。冷却された足場に着地。一歩。二歩。三歩目で対岸に到達。

【溶岩の川を踏破しました! 残り時間:28分12秒】

「行け! 足場は俺がいま渡ったところだ!」

ゼクスが影のように跳んだ。アストレアが重装で──跳んだ。着地の衝撃で足場がひびわれたが、ギリギリ持った。タマキがハルの手を引いて跳んだ。セレスはトワの肩。何もしていない。

「セレス。お前だけ楽だな」

「かたぐるまは、せーれーのとっけん」

第二障害。回転する石柱の回廊。石柱が通路を横切るように回転しており、タイミングを見て走り抜ける必要がある。通路の外は、底の見えない奈落。落とされたら、まず無事では済まない。

「アクションゲームか。──BCOでこういうギミックは珍しいな」

「太陽の祭壇のテーマが速度だからだ。戦闘力ではなく、プレイヤースキルが問われる」

見聞録で石柱の回転速度を計算した。一本目は四秒周期。二本目は三秒。三本目は二秒。奥に行くほど速くなる。

「パターンを読め。一本目が通過した直後に走れば、二本目に当たる前に抜けられる。三本目は──」

「三本目は?」

「スライディングで抜ける」

「スライディング!?」

トワが走った。一本目を通過。二本目を通過。三本目──石柱が迫る。トワが地面に滑り込んだ。石柱がトワの頭上を通過した。

「なんですかあの動き!」ハルが叫んだ。

「七千時間で培ったプレイヤースキルだ」

「プレイヤースキルの範疇を超えてますよ!」

全員が回転石柱を突破。アストレアが鎧で石柱にぶつかりかけて、ゼクスが背中を押して無理やり通過させた。

「ゼクスさん、押さないでください!」

「お前が遅いからだ」

「鎧が重いんです!」

「脱げ」

「脱ぎません!」

「脱げ」

「脱ぎません!」

「ええい、まどろっこしい! じゃあ落ちろ!」

「落ちません、気合でいきます!!」

【回転石柱の回廊を踏破しました! 残り時間:24分03秒】

第三障害。砂の滝。天井から大量の砂が滝のように落ちてきている。通路を完全に塞いでいるし、砂の勢いも凄まじい。中に入れば……押しつぶされそうなほどに。

「砂の壁か。──突破方法は」

見聞録でスキャン。砂の滝は一定間隔で弱まる。二十秒に一回、三秒間だけ砂が減って隙間ができる。

「二十秒に一回の隙間。──これは全員同時に行ける。固まって走れ」

「三秒で、この量の砂を抜けるんですか」

「走れば抜けられる。──タマキ、有効な薬はあるか」

「加速薬があります!」

【タマキの加速薬を使用しました。移動速度+30%。効果時間:60秒】

「道具通で倍か。移動速度+60%、2分間」

「速い──!」

砂の隙間が開いた瞬間、六人が一斉に飛び込んだ。砂が身体に降りかかる。ゴーグルが砂を弾く。三秒──通過。

【砂の滝を踏破しました! 残り時間:21分45秒】

「半分以上時間が残ってる。ペースはいい」

第四障害。──モンスター。

【灼熱の番兵 Lv90 HP:48,000 属性:火+虚晶 ×2】

「ここで戦闘か。──タイムアタックだから、長引かせたくない」

「任せろ」ゼクスが短剣を抜いた。「一体は俺が三十秒で片付ける」

「もう一体は、わたしが」アストレアが聖剣を構えた。

「速度重視だ。核を狙え。一撃で倒す必要はない、行動不能にすればいい」

ゼクスが影に──潜れない。砂漠のダンジョンは照明が明るすぎて影が薄い。ルーナがいないから影の固定もできない。

「影が薄い。──潜れないか、なら正面から行く」

ゼクスが正面から突っ込んだ。番兵の剣を短剣で弾き、懐に入り込む。星虚の短剣が核を狙う。

【弱点ダメージ:6,800】

「HP48,000のうち七分の一。──もう一撃」

番兵が反撃。炎の剣を振り下ろす。ゼクスが横に飛んで回避。二撃目。核を突く。

【弱点クリティカルダメージ:8,400】

アストレアが聖剣の二重属性を叩き込んだ。

【弱点ダメージ:11,200】

二体同時撃破。二十秒。

【灼熱の番兵を討伐しました! 残り時間:19分22秒】

「速い。──この調子で行く」

第五障害。第六障害。走って、避けて、飛んで、滑って、戦って。タイムアタックらしい忙しさ。息つく暇がない。だが──これが、楽しい。

「師匠! これ、楽しいです!」ハルが走りながら叫んだ。

「ああ……楽しいな!」

「師匠がゲーム中に楽しいって言ったの、珍しいです! 記録しますね!」

「記録するな! 走れ!」

「トワさん、わたしは記憶しますね!」

「するな、走れ!!」

最深部への扉が見えた。

【残り時間:8分14秒】

「八分。──ボスに八分は十分だ」

扉を蹴り開けた。