軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

〈一つ目の光〉

守護者を倒した後、泉の中央の台座に近づいた。

台座の上に──光があった。

小さな光球。拳サイズ。金色……いや、金色だけではない。白と金が混ざった、星の光。温かい。見聞録をかざすと──。

【星の祝福・原初 を発見しました】

【これは「星の祝福」の原型です。現在のBCOに実装されている星の祝福は、この原初の祝福から派生したものです】

【注意:このアイテムは取得できません。虚空の門の「星の柱」の充填素材としてのみ機能します】

「取得できない。──門の充填素材?」

星の柱を台座の前にかざした。光球が──柱に吸い込まれていく。柱が輝きを増した。

【星の柱にエネルギーが充填されました】

【充填率:100%】

【虚空の門への装着が可能になりました】

「これで星の柱は完成だ。門が機能するまで……あと三つ」

「四つのうち一つがクリア──!」ハルがガッツポーズした。

タマキが泉の水を瓶に汲んでいた。

「この泉の水、守護者の素材と混ざってます。──新しい薬が作れるかも」

「ここでも素材を回収するのか」

「薬師は素材を見逃しませんからね」

リーリアが祭壇の壁画を記録していた。

「トワ。壁画に残りの三つの祭壇についてのヒントがある」

「何だ」

「月の祭壇は『沈んだ月が眠る場所』。太陽の祭壇は『灼熱の砂が光を守る場所』。四つ目の祭壇は──」

「何と書いてある」

「『何もない場所にある何かの祭壇』」

「何もない場所にある何か。──謎かけだな」

「四つ目の祭壇だけ、壁画の絵が描かれていない。空白のまま。──意図的に空白にしてある」

「意図的に」

「うん。消えたんじゃなくて、最初から描かれていない。四つ目の祭壇は──描けないものなんだと思う。言葉にも、絵にもできない」

「【虚空】だからか。全てがある場所にして、何もない場所。──形がないものは描けない」

「そういうこと。だからこそ、四つ目の祭壇が一番難しいはず」

だが、今はまだ先の話だ。まずは月と太陽。

ダンジョンを出た。山の外に出ると──夕暮れだった。オルテリアの空が赤と紫のグラデーション。双子星が東の空に昇り始めている。

リーリアが空を見上げた。

「星の配列が──変わってる」

「また、変わったのか」

「ううん、今度は良い方向に。星の祭壇をクリアしたことで、星の配列が一部修復された。──歪んでいた部分が正しい位置に戻ってる」

「祭壇のクリアが世界に影響を与えている。──回廊の浄化と同じだな」

「うん。四つ全部クリアすれば、星の配列が完全に正常化する。大陸全体の気脈が本来の状態に戻る──はず」

帰り道。リーリアが興奮冷めやらぬ顔で喋り続けている。

「ねえトワ。次は月の祭壇でしょ? 海底都市の近くだよね? また潜りたい!」

「前回は中央区画の精製室までだった。月の祭壇は、さらに深い場所にある可能性がある」

「深いのは大丈夫。タマキさんの呼吸薬があるし。──前に潜った時、海底都市の建築をもっと見たかったのに、時間が足りなくて。今度は、ゆっくり壁画を記録したい」

「壁画の記録は、帰り道にやれ。祭壇が先だ」

「わかってるよ。でも、帰り道に五分だけ──」

「五分だけと言って、三十分かかるのがお前だろ」

「星読みは記録に夢中になると時間感覚がなくなるの。職業病だよ」

「職業病を免罪符にするな」

「いつもは、自分がしているくせに」

「ぐっ……否定できない」

セレスがトワの肩でうとうとしている。覚醒形態の疲労。ルーナが影で眠っている。テンがブーツの上で丸くなっている。

精霊も虫も疲れている。今日はよく戦った。

「帰ろう。オルテリアで休んで──明日、次の計画を立てる」

「はい!」

「了解」

「了解です」

「うん!」

「……zzz」(セレス)

「……zzz」(ルーナ)

全員が──あるいは寝ながら──帰路についた。星の柱が一つ、アイテムストレージの中で金色に輝いている。

四つの鍵の、最初の一つ。

残り──三つ。