軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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地下15層の拠点前。中に入りきれなかったのか、数人の探索者がたむろしていた。メディアの奴らもそこにいる。以外と実力があるようだ。

コタツ記事ライターとかパパラッチみたいなのじゃなくて、ジャーナリストみたいな感じか?

危険地帯にちゃんと行って、しかも誰にも迷惑掛けずに帰ってくるなら尊敬に値する。少し見直した。

「お前ら、装備品は?」

興味本位で話しかけてみる。ひげ面で目が大きく、胸板の厚い男が答えた。

「防刃スーツと棒ですね。これ、先端にカメラも付けられるんですよ。あと、ヤバくなったら液化炭酸ガス撒いて逃げます」

引き寄せたドローンのコンテナには、緑色の大きなボンベが3本も積まれていた。しかも連結され、1本のホースから一気に放出するようになっている。

液化した大量の二酸化炭素を撒き散らせば、一気に気温が下がる。霧で視界を包み隠し、無味無臭の毒で相手を行動不能にするのだろう。

「お前ら……賢いな?」

「今をときめく探索者の王に褒められると恥ずかしいですね」

「いや、マジで」

おっさんの照れ顔見せてくんな。

一発限りの切り札だろうが、合法的に扱えるものの中では、かなり強力な武器だろう。思いつかなかったな。

:やあ。このドローンを見るのは読めていた

:くはは、この流れはデータに入っているナリ。想定済みナリね

:野蛮人には思いつかない秘策

メディアの男のドローン表面に、俺を煽るようなコメントがぽつぽつと流れた。愉快犯うっぜえ。拳を振り上げると、ヒルネがぶら下がった。

「ダメですよ~、自分のじゃないです」

「クソが! まぁ、それ他の探索者いるときは使うなよ。分かってるとは思うが」

「あ、ああ。もちろんです」

ガチャガチャ話していると、拠点の中から見知った顔が出てきた。

小汚いツンツンの金髪少年と、芋臭いジャージの少年。蓮と康太だ。相変わらず垢抜けないが、顔つきというか肉付きが変わった気がする。

「兄貴!」「永野さん!」

「おーおーおー、元気そうだな。どうだ、慣れたか?」

蓮が得意げに鼻の下を擦る。

「フレッシュゴーレムくらい余裕っす!」

「調子のんな、馬鹿なんだから」

「本当っす! 本当っすよ!!」

「そこまで言うなら信じるけどよ……」

「顔、めっちゃ疑ってるっす!!」

いや無理だろ。ちょっと信じられねえわ。フレッシュゴーレム、体感的にオークの一般兵と同じくらい強いからな。浅い層に出ていいパワーじゃねえ。足が遅いのと、臭いキツすぎて接近が分かりやすいから脅威になってねえだけだ。

康太の顔を見ると、普通に頷いていた。うっそだろ。

「ちょっと後で確認するわ。マジなら大したもんだ」

つっても、フレッシュゴーレムは発生件数――というか目撃件数が少ない。あいつら、発生条件が限定的なのに加えて機動力が低いからな。

例えばワーウルフとライカンスロープは、個体数が少ないのに目撃例というか犠牲者が多い。これは、あいつらの移動距離が長いことに起因する。

広範囲の縄張りを素早く移動する種族は、個体数の割に目撃数が多いんだ。

対照的なのが、エルフやアラクネのような、拠点を作ってガチガチに守るタイプの妖精種。数が多い割に目撃例が少ない。

単純に「よく見る」=「数が多い」とはならないのが、ダンジョン環境の面倒なとこだ。

拠点内の奴らに声を掛けると、全員すぐに口を閉じて通路に出てきた。余計な物音を立てず、速やかな行動。別に上位の探索者ってわけじゃないが、15層まで自力で来れる奴らは、流石に基本を押さえているらしい。

「ここからは全員で行動する。目標は地下26層、崩落した大図書館――通称『黙り込むチャタレー』を探索し、中級者は帰還。その後上級者はボス部屋を踏破してエルフの里を目指す。いいな?」

異論は出なかった。全員頷く。

『黙り込むチャタレー』は、地下26層にある半壊した建物の一つだ。外見は城のようだが、そこまで大きくない。ただ広大な地下室が広がっており、無数のトラップとモンスターが待ち受けている。

もしかすると、最もわかりやすくイメージされる「ダンジョン探索像」に近いかもな。

地下の大部分は図書館というか、博物館みたいになっている。ただ、展示品の全てが鎖で繋がれているし、本はページはインクで黒塗りにされてるんだよな。

彫像なんかは全て顔面が破壊され、絵画も意図を感じる破られ方をしている。

価値ある物は残っていないと思われているが、地味に調査が進んでいないエリアだった。

なんつーか、破壊された文化を押し込んだ、みたいな印象を受ける場所なんだよな。

有名な表現の自由絡みの事件である、チャタレー事件をもじって『黙り込むチャタレー』と呼ばれるようになった……らしい。

冒険者時代にはなかった呼称だ。探索者が名付けたのだろう。

「上級者向けのコースを履修する奴は俺の後ろに。中級者向けは俺の前に並べ」

人が一気に動いた。

蓮と康太は中級者の列に並ぶ。中級者が40人くらいで、上級者は……10人くらいか。

「中級が多いな」

ぼやくと、ユエが答える。

「一番のボリュームゾーンらしいぞ。ただ中級でも、単身でゴブリンを倒せる者とそうでない者……スケルトンチャンピオンを倒せる者、倒せない者がいるであろう。その辺りで仕分けた方が良いかもしれん」

「頼りになるな。大人みてえだ」

「大人なんだが?」