軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百六十五話 更なるカオスが空から

弓を引く。弓を放つ。

――バブルルルルン♥

それだけで巨大な胸が激しく乱れ揺れる。

「ど、どうなっているんだっつーのぉ!」

「く、あの魔法の矢、どうなっておっぱいぶるんって……って、そうじゃなくてぇ!」

妖精のように美しく、破壊的なボディを持った少女の放つ攻撃に、かつて六覇とも渡り合ったセイレーンとゴクウが動揺する。

その攻撃と不思議な事象と、どうしても目が行ってしまうその胸に。

「私だって、戦えるんだ! いつかラガーンマン様の仲間になれるぐらいにって思ってたんだから!」

鼻息荒くして魔法の矢を連射するアミクス本人はあまり気づいていない。

だが……

「確かに才はあるのじゃ。しかし、不可解な事象なのじゃ」

それはノジャですら真顔で呟くほどのこと。

「なんか、ゴクウとセイレーンがあんなに慌ててるけど……何でだ? アミクスには悪いけど、そこまで……あの魔法の矢……スパイラルしてるけどそこまで強くは……」

「そうね。それこそ彼らぐらいの実力者なら、避けるまでもなく弾くことだって……」

アースもシノブも何が起こっているのか分からなかった。

なぜ、アミクスの攻撃にセイレーンとゴクウは慌てるのか。

「ならば、これはどうだっつーのぉ! ちょっと痛いけど、我慢するっつーのぉ!」

「おお、頼むぞセイレーン! 俺様じゃアレを攻撃なんて無理ぃ!」

しかし、いつまでも避けてばかりではなく反撃を。

セイレーンが足を止め、息を吸い込み……

「魔力を乗せて歌う……ゴウダのロックとは違うけど、私の歌も聞けっつーのぉ! パアアアアアアアアアアアア♪」

「「「「ッッ!!??」」」」

セイレーンの口から放たれる音の振動が、まるで突風のようにアミクスに直接ぶつけられる。

「わわわ、なな、なに? ふぁぁ!? 風? わ、スカート、だめ! んもう、やだー、エッチな風ぇ!」

――ばびょんばぼんぶるるうっばびょびょぼいんぼいんぼいん♥

突然放たれた激しい風のようなもの。慌ててスカートを手で抑えるアミクス。

その振動はアミクスのパンツは守ったが、その代わり無防備な胸をより一層に乱れ躍らせた。

「「「「「うおおおおおおおおお、なんじゃありゃああああ!!!!」」」」」

「ぬぬぬ、それよりなんなのじゃ、アレは! 婿殿、見るななのじゃ!」

「ハニー、わ、私にアレはできないけど、そ、その、技術でカバーするわ!」

「いや、何を言っ……っ……す、すご」

そしてその光景に、全世界が叫ぶ。

そんな中で……

『……魔法の無効化? それに近い事象が起こっているな……この小娘に何か能力があるわけではない……しかし、セイレーンの魔力が打ち消されているように見える』

冷静に状況を分析しようとしているトレイナと、

「な、え? ウチの技が効いてないっつーのぉ?」

自分の技を攻撃のつもりで放ったセイレーンはアミクスの胸ではなくこの状況に改めて疑問を抱き……

「それに、この感覚……ッ!? まさか……ツナと同じように……『ナグダ』に関連した……ナグダ……ッ!」

そしてその上でセイレーンは辿り着いた。

「な、なんだって、セイレーン! こ、この嬢ちゃんが、ナグダの……」

「でもゴクウ君、それしか説明つかないっつーのぉ!」

「うそだ、だって、だって……あのオッパイ……信じられねーけど、人工物ではなく、間違いなく天然オッパイだ!」

「そっちは知らないっつーのぉ! でも、たぶんその関連の……ツナと同じように、誰かの子孫とか血縁とか……」

「げっ!?」

その答えに流石のゴクウも胸から意識が離れて真顔になる。

「ってこたー……面倒だな、俺様たちには」

「うん。倒す方法はなくもないけど……でも、ノジャやアース・ラガンまでいる状況では流石に……」

「え……じゃあ、逃げるのか?」

「そもそもウチらこんなところで戦っている場合じゃないっつーのぉ! で、ゴクウくん、ソッチの役目は?」

「ああ、ジャポーネの国王なら、ホレ、そこで泡ふいて倒れてら」

「……ほんとだ……ゴミだと思ってたっつーの」

「つーか、ソッチは? そもそも何でお前ココに? お前の持ち場は……」

「うん、それは偶然場所が―――――」

アミクスの正体に勘づき、その上で自分たちでは相性が悪いということを理解したゴクウとセイレーンは、アミクスから逃れながら次の行動について確認し合う。

だが、その時だった。

「メガウィンドカッター」

「「ッ!?」」

それはアミクスの攻撃ではない。

「なぬ!?」

「あっ……」

「ちょっ、なぜ!?」

ノジャでもアースでもシノブでもなければ、ジャポーネの戦士達でもない。

それは「空」から放たれた風の刃での攻撃魔法。

皆が見上げたら、空を覆う巨大な雲を背に……

「すまないね、坊や。ちょっと状況が変わってね……あ、断じてその逞しい乳房のレディがどうとか焦ってとかそういうわけで飛び出してきたわけではなく……そこの鳥レディに聞きたいことがあって来たんだ……だっつーのぉ」

「な、なんでお前までこのタイミングで参戦ッ!?」

「「「「「ッッッ!!??」」」」」

谷間を寄せたポーズを見せる、天空王子ガアルが降臨したのである。

「さて、鳥レディ。報告を受けたんだが、療養中だった僕のダディが居なくなっているようなんだが……君は何か知っているかい?」

「……天空族の王族……ガアル姫……」

もっとも、そもそも天空世界が何度もジャポーネ上空を往復したり、ガアル自身の目撃情報もあったので、ジャポーネの民たちは「そこ」は驚かない。

むしろ驚くのは……

((((なんか、王子の胸もでっかくなってね!?))))

オウナのアドバイスで、これまで封じて隠されていたものを解放したがゆえに周知となったガアルの胸であった。

アミクスほどではないものの、十分にソレは――――

王子と呼ばれたガアルは、中性的な顔立ちに加え、肉体的にも細身の高身長ということもあり、アースたちも最初は普通に「男」だと思っていた。

しかし、ガアルは女だった。男装令嬢だった。

勿論それだけなら驚くだけだったが、『コレ』に関しては流石に簡単には流せない。

「……あ、あの天空王子……む、胸に詰め物をしているのではないか! アレはたしか、貧乳の者たちが巨乳に見せるために胸元に仕込むスライム状の……そう、スーブラというものではないのか?!」

ついちょっと前まで「アースの周りにいる乙女たちの中で一番巨乳になる」とゴクウに告げられて満更でもなかったフィアンセイが、ソコにツッコミ入れた。

だが……

「本物……に……見えます……ね」

「はうわ!?」

サディスが顔を引きつらせて現実を告げ、フィアンセイはショックで項垂れた。

そもそもフィアンセイ、そしてサディスもアミクスからの会心の一撃によるダメージが深かった。

そこに来て、実はガアルが隠れ巨乳だったという事実、そしてアースは大きいオッパイに弱いという事実に、女としてのダメージが大きかった。

「な、ん、なんだのだ、アースぅ! わ、我は、べ、別に、色仕掛けをしようとかそういうことは思ってなかったし、クロンとかシノブが相手ならば……二人は同じ女としても認めるしかない魅力があるということは我も承知で……し、し、しかし、誰なのだ、その女は! ぼ、ぼ、ぼいんぼいんで……し、しかも、わ、我のこと、我のこと、大きくないと……し、しかも、その女はどう見てもアースを慕ってるし……お、おっぱ、さ、触っていいのアースだけとか……しかもしかも、なんか天空王子も巨乳で出て来るし、どういうことなのだ!?」

涙目になりながら混乱の言葉を叫ぶフィアンセイ。

――アース様の周りの女の子って、その、……シノブちゃんも、クロンさんも、ノジャちゃんも『無い』し、他のサディスさんとかフィアンセイさんとか『普通』でしょ?

アミクスの登場とその言葉。数分前まで有頂天だっただけに、この落差に周囲の一同も同情した。

もっとも泣きたいのはフィアンセイだけでなく……

「うぐぬぬぬぬ、坊ちゃまぁ……私は何故……私は何故もっと早くに坊ちゃまにオッパイを慣れさせておかなかったのです! そうすれば、あのような……あのような奇乳に坊ちゃまが心揺さぶられることもなくクールでいられたといいますのにィ!」

頭抱えてヒステリックに叫ぶサディスも同様であった。

もちろんそれは……

「……ぷんだ」

「お、おう、妹分……そのよ……」

「ぷんだ」

「クロンちゃん、落ち着くのん!」

「ぷんだ」

「「「「「クロンちゃん……」」」」」

いつも大盛り上がりの建設現場での鑑賞会も、ここに来て皆がアタフタした様子。

それは、頬を思いっきり膨らませて、「ぷんだ状態」となってしまっているクロンだ。

「……私……『無い』って言われました……」

「ク、クロン様、大丈夫です! そ、その、まだクロン様には未来があります!」

「あの人、誰か知りません。知らない女の子がアースの側にいて、アースのことが好きみたいで、アースが好きな大きなおっぱい持っていて、私は無いって言われたのです……」

「じ、じじ、時期の問題と、あ、あと、そうです、お、お、おせっせでアース・ラガンに揉んでもらって大きくというのも――――」

「しかも……なぜか王子さんも出てきて、王子さんも大きいのです」

いつもニコニコ微笑む、恋する女神クロン。

この鑑賞会で世界的な評価が爆上がりのアースには当然群がる女も増えてくる。

だが、それに対してもクロンは受けて立つというスタンスだった。

しかしこうしてアースが自分の知らない女と、しかも身体的に破壊力抜群の武器を搭載している女がアースの側にいて、更に他の女たちもアースの周りにいる。

その事実がクロンをむくれさせた。

「う~、ぷんだぷんだぷんだぷんだなのです~! ぷんぷんぷんぷんぷんだなのです~!」

それは、生まれた時から一緒にいたヤミディレすら初めて見るクロンの拗ね拗ね癇癪であり、誰かに嫉妬する姿であった。

「クロン様……お気を確かに! クロン様にはまだ、そ、そう、拗ね拗ねぷんぷん猫という必殺技も――――」

『―――療養中だった僕のダディが居なくなっているようなんだが……君は何か知っているかい?』

「……ぬ?」

ぷんだなクロンを窘めようとするヤミディレだが、そのとき、ガアルの口から出てきた言葉に耳を疑った。

「……ディクテイタ……が? 居なくなっただと? あのハゲが?」

それはヤミディレにとっても旧知の存在のことであった。