軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百六十四話 ビッグバンインパクト

「アミクス……な、なんでぇ?」

「どうしているのよ?」

ノジャが現れただけでも大混乱なのに、まさかアミクスまで登場するのは完全に予想外。

ノジャの拘束から逃れたアースとシノブはポカンとしたまま。

それに対してアミクスはモジモジしながら……

「あぅ~、ご、ごめんなさい、アース様……私、ノジャちゃんに誘われて、街に行ってみたくって……」

――たゆんたゆんぼいんぼいん♥

「そのぉ、そしたらアース様が戦われて……しかもそれが初恋のラガーンマン様の姿で……はう、あ、ちが、え、えっとその……いや、違くないんですけどぉお~」

――ばゆんいばゆいんぷるるんるん♥

「と、とにかく、アース様の力になりたいと思って私もノジャちゃんも……で、でもノジャちゃんが暴走しちゃって迷惑を……その、とにかくごめんなさい!」

と、謝罪するアミクス。この会話はジャポーネ中並びに世界中の者たちに聞かれている。

しかし、その誰もがこの会話が頭に入らない。

それはなぜか?

それは、ちょっとした仕草で体を揺らすだけで激しく暴れる、その胸!

「……ぶらぼー……」

路地裏にて、まるで神と遭遇したかのように感涙してそう呟くオウナ。

そう誰もが……

「「「「「でかすぎんだろ!?!?」」」」」

「うぇ、ふぇ? なな、なに? わ、わあ!?」

そう叫ばずにはいられない破壊力がそこにあったからだ。

「何だアレは!?」

「い、今まで出会った全人類の誰よりもデケえ……」

「ウソよ……あ、あれが本物のはずが……」

「ってか、しかも超かわいいッ!」

「あんな生物がこの世に存在するのか!? 麦藁帽子の妖精さん!」

そして次々とジャポーネ中が騒ぎ、それと同じような叫びが同時に世界各国から沸き起こっていた。

「うぇええ、あ、やだぁ、あ、あれ? どうしよう……なんか、見られて……うぅ~、アース様ぁ……」

「…………まあ、そうなるよな……」

大観衆の一斉に注目されてしまい、生まれて初めての経験にアミクスも戸惑ってしまうが、世界の反応は正常だとアースは溜息。

「……だ、誰か知らないけど……ウ、ウチの胸より……!?」

そして、これに関しては伝説の住人たちですら顔を青くしている。

セイレーンは自分の胸を揉みながら、アミクスの胸を凝視し、見比べる。

それが生まれて初めて出会う、自分より胸の大きい女なのである。

「なななな、何だソレハー!? ほ、ほほほほ、ほんも、な、えうぇええ!? お、俺様の人生の中で、こんなの……ッ! おい、そこの姉ちゃん、あんた……あんた!」

「うぇ?」

「そ、そそそ、そのオッパイは本物なのかァ!? た、頼む、い、一度でいいから、さささ、触らせてくれぇえ!」

「え、ええええ!?」

そして全人類が思ったこと、全人類の男たちが抱いた想いを代弁したゴクウ。

しかし……

「そんなのダメぇ! 絶対やだ、触らせないもん! 私のオッパイに触っていい男の人は……アース様だけなんだから!」

「……え?」

「「「「……え……えええええええええええええええ!!??」」」」

「あ、ちが、さ、触らせてるわけじゃなくて、あ、いや、私は触っていいですよって言ってるけど触ってもらえてないから、あ、でも、えっと……アース様!」

「ほわ!?」

怯えながらも、しかしハッキリと拒否を示す形で、アミクスはアースの腕にギュッと抱き着きながらゴクウに強い口調で返した。

「……ちょ、あ、アミクス?!」

「待ちなさい、アミクス! あ、あなた、自分の発言を分かった上で!? しかも何て危ないものをハニーにッ!?」

ちょっと興奮気味に怒鳴ったことで、アミクス。

アースの腕にしがみつき、そのアースの腕を自分の谷間に挟み込んでギュッと抱きしめていることを。

「ふぁ、ああ、アミクス、離れ……」

「ととと、とにかく、アース様、安心してください! 私、負けないもん! 他の人に触らせないもん!」

「そ、そうじゃなくてぇえ! いま、おれ、うでさわっちゃって!?」

たとえ六覇でも伝説の住人が相手でも勇敢に立ち向かうアースでも、コレと戦うことも抗うこともできない。

顔を真っ赤にして目がグルグルと回ってしまう。

「そ、そんな……アース、う、うらやま、うら、いや、ちょっ、ま、待てぇ! お、お前には、クロンとかシノブとかサディスとか、なな、何よりもフィアンセイが……いや、フィアンセイも一生かかってもこのサイズには……ゴクリ……いずれ成長するフィアンセイのサイズもコレの前には平原……」

「う、ウチの、ウチのアイデンティティを……な、なにものだっつーのぉ……」

アミクスの拒絶にゴクウももはや冷静さもなく取り乱し、アタフタしてしまい、セイレーンも強烈な敗北を叩きつけられたかのようにガックリしている。

すると……

「こらー、アミクスー、友であるわらわの後頭部を叩くとはどういうつもりなのじゃー!」

「ひゃん!?」

と、殴られて倒れていたノジャが怒りの形相で立ち上がった。

「きさまー! 人の恋愛に首突っ込むと狐に全穴犯されるという諺を知らぬのじゃ!? しかもドサクサに、何が胸なのじゃ! 今のトレンドは尻なのじゃ! 乳お化けは婿殿にはもう不要なのじゃ!」

「む、むむむ……そ、そんなこと……ないもん」

「なぬぅ!?」

ノジャに捲し立てられるアミクスだったが、アミクスも少しムッとした表情になり、言われっぱなしのままではなく、言い返す。

「だ、だって、鑑賞会見る限り……そ、そのぉ、アース様って、お、おっぱい好きでしょぉ? だけど、アース様の周りの女の子って、その、……シノブちゃんも、クロンさんも、ノジャちゃんも『無い』し、他のサディスさんとかフィアンセイさんとか『普通』でしょ? その、アース様……お、おっきい担当も必要かなぁ~っ、なんて……て、てへ」

「ほがぁ!?」

「ちょっ、あ、あなたっ!?」

それは、ノジャだけでなく、シノブにすら直撃の流れ弾であった。

アミクスには悪気なく、天然のオッパイマウントである。

本来、シノブ、クロンは、ノジャは貧乳、フィアンセイは将来有望、サディスは巨乳部類であり、この五人も序列は存在する。

しかし、それも全てアミクスの前では、「全部同じ」だと思っているのである。

1も100も、無限の前には0に等しいということである。

それにアミクスもあくまでこの会話は「ここだけの会話」と思っているため、あまり重大に考えてなかった。

コレが全て聞かれているのだと、まるで分っていなかった。

「お兄さん、俺の娘おぉぉおお~ぬおぉおおおお!」

「族長、落ち着けい。アース君は何もしとらんぞォ!」

いつもはヤル気もない気だるげな族長が珍しく吼えて、ミカドたちが慌てて窘める。

「あの子も積極的ねぇ……まぁ、あの子は小さい頃からラガーンマンを崇拝するぐらいの初恋だし……まぁ、でも……母としては寂しいけど、恋する乙女はそれぐらい積極的にって、気持ちも分かんなくも無いから困るわ……」

「せやな~。あの子が本気出したら、クロンはん並みにシノブにとってはとんでもないライバルになるえ~。母親直伝のニャンニャンでもされたら、お兄はんも――――」

「ん~~~!!!! ちょっとぉ、カゲロウ~~~!?」

「小生も、そういう積極的なところは見習わねばならんかもしれんな」

「ラルうぅ!? って、そうよぉ! ラルはさっさと積極的にアカさん探しに行きなさいよぉ!」

一方で、族長と違って妻のイーテェはアミクスにかつての恋する自分を重ねたのか、カゲロウやラルと一緒に笑ってしまっていた。

『とにかく、アース様、あんな鳥のお姉さんの『ちょっと大きい』ぐらいのオッパイの誘惑に負けないでください! そ、そのぉ、アース様さえよければ、その、わ、私がいくらでも、そのぉ……えへへ』

「アミクスぅぅぅぅぅ、まだ早いよー―ーーーー! お父さんそんなの許さないよぉぉおお!!!」

『とにかく、私も戦います! 鳥さん、これ以上アース様に何かされようとするなら、私、射っちゃうよ?」

と、そこでアミクスの両手が魔力の輝きを放つ。

その両手を重ね、そして弓矢のように構えることで、アミクスの手に魔力によって象られた弓が具現化された。

「おっ、あの嬢ちゃん……戦うみたいじゃない。ちなみにラルの姐さん、あの子はどれだけ強いんだ?」

「ぬ……それはまあ……それなりに強いぞ。魔法の才もあり、幼い頃から小生が指導し、それにエスピとスレイヤともじゃれ合いの戦いごっこのようなことはしていたからな」

「ほぅ……」

「ただ、真剣な実戦経験もないうえに、相手は伝説の――――」

と、そのとき、具現化した弓と同時に引かれている魔法の矢。それがただの矢ではなく、渦を描いている。

「え? な、なに? 何だアレは!」

それは、師であるラルも知らなかったようだ。

『まったく、生意気な……後悔させちゃうっつーのぉ! 音波防壁ッ!』

アミクスに煽られたセイレーンが歌い、自分の目の前に魔法の障壁を張る。

だが、その障壁に構うことなく、アミクスは矢を放つ。

『見ていてください、アース様。あの鑑賞会でアース様の技を目に焼き付けて……イメージはバッチリだもん! くらえ、スパイラルアローッ!!』

魔法の矢が放たれる。しかもそれは、アースの螺旋のように回転しながら突き進む。

その推進力、突破力は――――

『ウェ!?』

セイレーンの作り出した音の防壁すらも貫いて……

『え、ちょ、え?!』

『あぶねっ!』

そのままセイレーンを射抜く―――寸前で、ゴクウがセイレーンを抱えて避けた。

『ウチの防壁を……たかが魔法の矢で……』

『回転してたけど、たぶんそれだけじゃねえ……なんか……なんか仕掛けあるのか? どういうことだ?』

それは、これまでアミクスの胸にしか目がいってなかったゴクウの顔つきすらも変えるものだったようだ。

『アミクス……おま……』

『アミクス、あなた……』

それはアース、シノブも少し驚いたアミクスの力。

『……これは……』

ノジャに至っては少しどころではなく、目を大きく見開いて驚いていた。

アミクスはそんな皆の反応に「ふふん」と『胸を張り』

『ふふん、初めてだけど成功しちゃった! スパイラルーアロー! アース様、私、アース様と一緒に戦えます!』

――ぼよいいいい~~~~ん!!

と、自信に満ちた表情だった。

「ほぉ~、やるじゃない、お嬢ちゃん」

「っていうか、私もビックリよ! あの子、あんなことできたなんて!」

「ほぉ~、才があるぇ」

いずれにせよ、アミクスの意外な力にコジローや集落の皆も歓声を上げる。

しかし……

「いや……今のはおかしいぞ……」

と、ミカドが真剣な顔で呟いた。

「確かに才はあるわい……今のスパイラルアローとやらもなかなかじゃわい……しかし、それだけでセイレーンの音波障壁を貫くのは変じゃ……アレは、発動すればノジャの風林火山すら防ぎ、尚且つ音波振動で振れるものに逆にダメージを与えるカウンター防御……それを軽々貫きおった?」

そう、ミカドはセイレーンの力を人類の中で一番知っている。

だからこそ、「今の出来事は普通ではない」と感じた。

「小生も同じだ。アミクスの力は小生が一番わかっている。今の技の発想や工夫には驚いたが……」

それはラルも同じようだ。

二人は「何かが起こっている」と感じた様子。

すると、先ほどまでギャーギャー騒いでいた族長が……

「あ~……ん~……あ~……あれ? ひょっとして……アミクス……遺伝しちゃってる? 【ナグダ】で作られた【第一世代】や【カグヤ様の代】は【生体兵器シリーズ】に対しては魔法も能力も、反逆防止的なアレで無敵な――――」

顔を青くしてそう呟いていた。