軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百六十二話 ある意味伝説の一戦

「な、え……ど、どういうこと……だっつーの?」

「……ほ……ほん……もの? 俺様、何を見てるんだ?」

ゴクウやセイレーン。おとぎ話の伝説たちと、ラガーンマンことアース・ラガンという現代のヒーローたちの会合に割って入った謎の幼女。

しかし、その幼女の笑み、醸し出す雰囲気は異常なほど禍々しい。

そして何よりも、見た目こそ幼女だが、その顔は多くの者たちが見え覚えがあった。

「なんか、誰かが現れたというか……えっと、で、でもアレって……」

「教科書とか新聞とか……それこそ昔から……」

「コジロウ様たち七勇者と魔王軍の和睦協定でも……」

「ま、まさか……」

そう、その女こそ……

「ちょ、てめえは何で来たァァァ、ノジャァァァァァ!!??」

その答えをアースが叫んだ。

「ぐふふふふふ、何って、婿のピンチに駆け付けるが良き女というものなのじゃ♪ そして……メンドクサイ鳥と猿に囲まれているようだが、わらわが来たからには婿殿の身も貞操も全部無事に守ってみせるのじゃ」

と、キリっとした笑みで、人差し指と中指の間に親指を入れてグッと、ノジャはアースに、そして呆然とするセイレーンとゴクウに断言した。

「ノジャ……どういうことだっつーの……」

「へ、へへへ、いやほんと、俺様ももう驚き過ぎてむしろ笑っちまうというか……まさか今日ここでお前と再会するとは思わなかったぜ」

ハッとし、目の前の幼女が本物のノジャであると理解したセイレーンとゴクウだが、それでも動揺を隠せない。

「ぬわははははは、そっちこそなのじゃ。生きていたとは、まさに驚き桃の木なのじゃ……相変わらずの堕肉とバカでそっちは何も変わっていないのじゃ。……まだ、あのムッツリスケベ剣士を想っているのじゃ? あの『駄犬』はどうしたのじゃ? それに、まさかとは思うが、あの深海の根暗な姫も生きていたりとかするのじゃ?」

「ッ!? ノジャ……」

「へっ、言ってくれるじゃねーかよ。つーか、何でお前がここに?」

そもそも何故ノジャがここに?

その問いに対しノジャが口を開こうとした、その時だった。

「ねえねえ、おかーさん、アレがあのノジャって本当なの? あの……ブリブリブリーってやってたお漏らしのノジャなの?」

「「「「ちょっっっっ!!!???」」」」

「ッ!?」

無垢な子供の発言。

大人たちは一斉に顔を青ざめさせる。

まさに「アレ」はノジャにとっても忘れ難い屈辱なはずである。

伝説の六覇にして、その変態ぶりを世界に晒したノジャの恐怖をジャポーネの大人たちは分かっている。

そのため……

「し、失礼しましたー! ももも、申し訳ありません! どど、どうか、どうかご慈悲をぉぉ!」

「子供のことで、どうか、どうかお許しを!」

子供の両親は泣きながら懸命に土下座の謝罪。

殺されても文句の言えないぐらいのことを子供が口にしてしまったのだ。

「……ぷっ」

「ウキッ、ぶほっ」

そして、あの鑑賞会を見ていたセイレーンとゴクウも当然「お漏らしノジャ」の意味を知っているため、それを思い出して思わず噴き出して笑ってしまった。

すると……

「……ナゼ? ……つまりこれが答えなのじゃ」

ノジャは激しい威圧感を全身から溢れさせ、血涙流した形相で……

「あんなにお尻を激しくズボズボ穿り回されたのじゃ……それどころか、全世界に向けてあんなブリブリな醜態も公開され……もう責任取って嫁にしてもらうしかないのじゃァ!」

――あっ、なるほど……

誰もが抱いた「なぜ?」に対して、これ以上ない回答に、民たちは一斉に掌をポンと叩いて腑に落ちやようだった。

だがしかし、ノジャはココから……

「でも、もうよいのじゃ。わらわはもう……だって……ぐへへへ、し・か・も……なんやかんやで、昨日も……ポっ♥」

「「「「……え?」」」」

「ちょっ、おま、ノジャ!?」

顔をポッと赤らめて「いやんいやん♥」としながらも暴露を続ける。

「ん? ちょ、待って欲しいんだっつーの……昨日って……だって、ラガーンマンがアース・ラガンって知ったのはノジャも一昨日じゃ……なんでそんなに早くに……」

「いんや~、わらわはもう何年も前から知っていたのじゃ」

「え……」

「確かにわらわも最初はラガーンマンの正体はヒイロだと思い、ヒイロに責任取らせるためにマアムとの結婚式をぶち壊してやろうと思ったが……そこにエスピとスレイヤが現れ、その時にわらわは真実を教えてもらったのじゃ」

「ッ!?」

「時を超えるとか荒唐無稽な話ではあるが、確かにラガーンマンがヒイロだったら色々と矛盾が生じてしまうから……ならばと思い……十数年以上も様子見していたのじゃ……そして! そして! アース・ラガンがこの世に生まれる前から想い焦がれていたわらわの恋がようやく実って再会を果たしたのじゃぁ!」

さらには、自分の愛についても。

「そう、仮にサディスとやらがアース・ラガンが生まれた瞬間からずっと愛していたとしても……わらわはアース・ラガンがこの世に生まれる前からアース・ラガンを想っていたし、尻もぶっ壊れるぐらいに手だしされたのじゃ! つまり、わらわの愛が一番長くて濃厚なのじゃ! ふふん、シノブ? クロン? サディスぅ? ぬわはははは、小娘どもなどわらわの相手ではないのじゃァ! 未だに尻の穴を触られてすらもいない未開通の女どもに比べて、うへへへへ♥ わらわはもうお尻を大開発大開拓済みなのじゃ♥』

「おらああああ、やめろごらああああああああああああああああ!!!!」

「既にわらわは~、エスピとスレイヤとも関わりあるし~、そう、わらわだけなのじゃ! ヒイロとマアムとも仕事通じて友好条約結んで旧知だし~、婿殿の家族全員と会っているのは、わらわだけな~のじゃ♥ まさに、狐の嫁入りなのじゃ♥ あ、婿取りなのじゃ?」

と、あまりのノジャのドストレートな発言にアースは……

「ぬわあああ、やめろぉぉぉ、俺はそうじゃねーんだよぉ! ああ、くそぉ、つーか、ダマレノジャァ!」

「ちょっ、アース、お前マジかよ! お、お前、いくらモテるからって、こいつに……」

「ちげーんだよ、ゴクウ!」

照れているわけではなく「色々と変な噂が流れてしまう」ということの方が嫌で声を荒げた。

「ハニー……気の毒に……」

流石にシノブも見ていられないぐらいの状況だった。

だが、それはそれとして……

「まーとにかく、そういう訳だから鶏肉うぅ~、わらわの愛しの婿殿にその肉を押し付けて誘惑しようなどという所業……断じて許すわけにはいかんのじゃ」

「むむ……」

「かつての拭き残しがこれからの時代の邪魔をするのであれば……同じ時代を生きたよしみで、ここでケジメをつけてやるのじゃ」

アースに、そしてこれから何かをしようとしているのであれば、それは許さないと改めて告げるノジャ。

その言葉に触れ、セイレーンとゴクウの顔つきも変わり、全身の毛が逆立つ。

「エラそうなことを言うなっつーの。主のトレイナを殺されて……そのことで復讐に燃えるでもなく、ヘラヘラと生きているあんたに言われたくないっつーの」

「それこそお前たちは何も分かっていないのじゃ。我が主である大魔王様が……そのような器の小さなお方だとでも? それにあの鑑賞会を見ても、貴様らのようなバカや鳥頭たちにはやはり分かっていないのじゃ」

「……なにを?」

「あの御方の魂は……今も生き続けているのじゃ」

「ッ!?」

次の瞬間、ノジャの尾の一本が鋭く伸びてセイレーンを突き刺そうとする。

それをセイレーンもゴクウも飛び退いて回避する。

屋根に穴をあけるほどの鋭く強烈な尾。

「そして、生き続けるあの御方の魂は、自分の無念を晴らせなどと器の小さなことは決して言わぬ! あの御方ならばこう言うであろう! 『自分たちが命を懸けた戦の果てに生み出された、新たな時代を生きてみよ』と……いつまでも死人に囚われたまま停滞している貴様らとは違うのじゃ!」

その叫び。それはのたうち回るアースの傍らに居たトレイナにも確かに届いた。

『ふふ……』

それはトレイナも思わず優しく微笑んでしまうようなものであり……

「そして、愛する婿殿と幸せになって、いっぱいドスケベなことして妊娠して子を作りまくる、ドスケベライフを邁進せよと!」

『それはありえぬ』

と、否定すべきところだけは否定した。

「ノジャの奴……」

「ゴクウくん、ここはウチがやるっつーの。手出し無用だっつーの!」

「セイレーン?!」

「好き勝手……好き勝手言うなっつーのぉ、ノジャァ!」

そして、言われっぱなしではいられないと、セイレーンの形相も変わる。

その翼を大きく羽ばたかせ、戦闘モードに。

「ウチらの想いを何も知らないくせに、言うなっつーのぉ! ウチが……オツちゃんが……皆がどんな想いで……ピーチ親分と……イリエッちさんともう一度……その想いまで否定されたくないっつーのぉ!」

「ならば誰にも迷惑をかけずに妄想の中で死ぬまで股でも弄っておればいいのじゃ!」

雉と狐の伝説の一幕が始まった。

そして……

「私たちに息子の恋愛に口出す資格なんて無いとはいえ……さ、流石にノジャがアースと結婚はちょっと……そ、それはいくらなんでもぉ……」

「ってか、ノジャが俺とマアムに対して結婚後はそれほど茶々入れなくなったのは……そ、それが原因だったのか……エスピ……そういや俺らの結婚式で途中から……そういうことかァァ~~~~!」

遠く離れた地で、ノジャのありったけの想いを聞かされて、かつての宿敵として何とも言えぬ複雑な心境のヒイロとマアム……そして……

「理屈は分からずとも、どうやらノジャも流石に分かっているようだな……あの御方の魂を……アース・ラガンを通じて感じたか」

ハクキはどこかしんみりとした様子でノジャを、そして頭を抱えているアースを交互に見て、そう呟いた。