軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話 調合

エデンに聞いた冒険者ギルドへ向かってみると、そこは木造一階建ての大きな建造物だった。

看板は日本語ではないのに『冒険者ギルド』と読むことが出来る。

エデンによると『転移者』『転生者』はこの世界の言語を日本語として理解できるという話だった。

(これが冒険者ギルドか。思ったより人の出入りが多いな)

ミズトは少し離れたところで立ち止まった。

建物の大きな両開きの扉は開いたまま、冒険者の恰好をした人々がひっきりなしに行き交っている。

中の様子を 窺(うかが) うと、大きなホテルや病院のロビーのように広く、一番奥には受付のようなものがあり、並んで順番待ちしている人たちが見えた。

また、あちこちにテーブルと椅子がいくつも用意されていて、そこでたくさんの人が談笑しているようだった。建物の外まで中の喧騒が漏れ聞こえてくる。

(もっと静かに仕事を探すような場所かと思ったら、居酒屋みたいに騒がしいんだな……)

【はい、冒険者ギルド内の共有スペースは、各パーティが作戦を話し合ったり、冒険者同士で情報交換に使っていますので、酒場のように騒がしいときもあります。この支部は飲食を提供していないようですが、場所によっては酒場を併設している冒険者ギルドもございます】

(なるほどな……。だいたい分かった、次は宿屋を探そうか)

ミズトはゆっくり歩きだした。

【登録はされないのでしょうか?】

(まあ、今日はやめておくわ。そのうち気が向いたら)

酒が飲めないミズトは、昔から居酒屋のような騒がしい場所が苦手だった。

会社員ともなると、歓送迎会やら忘年会新年会、決起会というさまざまな名目で酒を飲む場がある。

そういうものをなるべく避けて生きてきたミズトは、中に見える人の輪に入る気にはなれなかったのだ。

【そうですか、かしこまりました。では次は宿屋の多い区画を目指しましょう】

エデンが次の場所を示した。

選んだ部屋は、素泊まり一泊200Gの宿屋。

食事は付かないが値段設定も相場より少し安く、今後の想定収入を考えると妥当だとエデンが選んでくれた。

極めて優秀な秘書がいる気分だ。

部屋に入ったのは夕方頃で、ミズトは荷物を置き、ベッドに寝転んで手足を伸ばした。

「んんーーーっ!」

久々の解放感だった。

この世界に来て二週間ほど経ったが、ずっと野宿。

暑くも寒くもない穏やかな気候なので、外でも寝袋やテントは不要だったが、やはり屋根の下で寝る方が落ち着くに決まっている。

「異世界だとフカフカのベッドなんてないだろうけど、ちゃんとした寝床があるのは有り難いね。簡単なマットレスはエデンさんが出してくれたし」

ミズトはエデン産マットレスをポンポンと叩いた。

(おっと、こうはしちゃいられないか。野宿に戻らないためにも、ポーション作りやらないとな)

【はい、この辺は自由に採れる魚や果物は少ないようなので、食事は購入するか食べに行く必要があります】

(だな。1,000Gぐらいしかないから、何も食べなくても五泊しか滞在できないし、それなりに稼ぐまでは落ち着いてられないな。それで、調合ってどうやるんだ?)

ミズトはベッドから起き上がり、先ほど寄った雑貨屋で手に入れた瓶をテーブルに並べた。

【必要な材料を全て並べ、『調合』のスキルを実行するイメージをすると、ポーションが作成されます。なお、一度のスキル実行で、揃えた材料分だけ同時に作成することができます】

(実行するイメージするだけ? 測ったり、混ぜ合わせたり、すり潰したりは?)

【スキルを実行すれば、測ったり、混ぜ合わせたり、すり潰したりする必要はありません。『調合』のスキルを持たないものが無理矢理調合をしようとすれば、そうする必要があるかもしれません】

(なんつう便利な仕組みだ……。了解、全部並べるのね)

すでに並べた十本の瓶の横に、集めた二種類の薬草を全て積み上げた。

(イメージと言っても、どうやってやるんだ? こんな感じか?)

ミズトは両方の手の平をテーブルに向けながら呟いた。

「調合」

声を放つと同時にテーブル上が光りだす。

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あなたはスキル『調合』を使用しました。

初級ポーションの作成に失敗しました。

初級ポーションの作成に成功しました。

初級ポーションの作成に失敗しました。

初級ポーションの作成に成功しました。

初級ポーションの作成に成功しました。

初級ポーションの作成に失敗しました。

初級ポーションの作成に成功しました。

初級ポーションの作成に失敗しました。

初級ポーションの作成に失敗しました。

初級ポーションの作成に成功しました。

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◆クエスト完了◆

報酬が支給されます。

クエスト名:初めての調合

報酬:経験値10

金10G

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光が収まると、積んであった薬草は消え去り、十本のうち五本の瓶に緑の液体が入っていた。

中級ポーションより薄い緑に見えた。

(おっ、失敗もあるのか。失敗したら材料は消滅するってことか?)

【はい、そのとおりです。作成の成功率は、アイテムのランク、使用者のレベル、クラスの熟練度、ステータスが影響します。レベル4、熟練度1で五割の成功率は、驚異的な成功率と言えるでしょう。ミズトさんのステータスによるものと思われます】

(ふうん、昔やったMMORPGみたいだな)

初級ポーションを手に持つと、アイテム情報が表示された。

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アイテム名:初級ポーション

カテゴリ:消耗品

ランク:1

品質 :普通

効果 :体力回復

傷の治癒

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(雑貨屋なら100G、冒険者ギルドで80Gで買い取るんだっけ? 瓶代が10Gだから、稼ぐのも大変だな。材料の薬草を買って作成してたら全然儲からん)

【ミズトさんの場合は自分で薬草を採取した方が効率的です】

(だろうな。雑貨屋はもう閉まってるだろうから、明日売りに行くか。もらった中級は念の為とっておいて、作った初級だけでも)

【はい、自分で中級ポーションを作成できるまでは、保持しておくのも良いと思います】

(自分ではいつ作れるんだ?)

【熟練度4から作成できるようになります】

(熟練度はスキルの使用を繰り返せば上がるんだったよな? 何度も調合をやってれば、そのうち作れるようになるってことか)

「ヨシ! そうと決まれば食事に行くか! この世界の料理がどんなものか楽しみだ!」

ミズトはそう声に出すと、明るいうちに目をつけていた料理屋へ向かうことにした。