軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

989話 ラストバトル・その1

「みんな、準備は……」

「問題ないよ。というか、レインだけで勝手に盛り上がらないでほしいかな?」

ユウキがジト目をこちらに向けた。

いや、その……

それはごめんなさい、と言うしかない。

思っていた以上にラインハルトと話ができたものだから、ついつい盛り上がってしまった。

みんなのことを忘れていた、というのは内緒にしておこう。

「私は、いつでも大丈夫だよ」

「私も問題ない。我が力、主に預けるぞ」

ユウキ達も構えた。

戦力差は、単純計算で四対一。

加えて、こちらは魔王であるエーデルワイスがいる。

普通に考えて、負ける要素はないのだけど……

しかし、油断はできない。

このメンバーでも、ラインハルトに勝てるかどうかわからない。

むしろ、気を抜けば一瞬で壊滅してしまうかもしれない。

そんな嫌な予感がした。

「……」

「「「……」」」

俺達とラインハルトは無言で視線をぶつけた。

空気がピリついていく。

それぞれに闘気が満ちて、息苦しさえ覚える。

そして……

コト……と、小さな瓦礫が床に落ちた。

瞬間、ラインハルトが動く。

「三式・ダークネスバイト」

ラインハルトが両手に持つ短剣が閃いた。

挟み込むかのような一撃。

回避を……

「ふん、甘いな」

「エーデルワイス!?」

エーデルワイスは避けるのではなくて、むしろ前に出た。

そのまま斬撃を素手で受け止めてみせる。

さらに、カウンターの蹴撃。

下から斜め上に、打ち上げるような一撃を放ち、ラインハルトを吹き飛ばした。

ただ、そこまで大きなダメージは入っていないのだろう。

飛ばされつつも、ラインハルトは宙で体勢を変えて、足から着地してみせた。

「猫のように身軽ではあるが、それだけでは私をどうこうすることはできぬな」

王者の貫禄を漂わせつつ、エーデルワイスが言い放つ。

さすがというか、なんというか……

このままだと、俺達の出番がなくなってしまいそうだ。

それはそれでいいことなのだけど……

ただ、そうはならないだろう。

このままで終わらないと、そんな予感がした。

「……さすがに、一人で魔王を相手にするのは堪えるな」

「ならば降参するか?」

「ありえないな」

ラインハルトは、再び短剣を構えた。

「魔王であろうとなんであろうと、俺の道を邪魔するのならば、叩き潰すまでだ」

ラインハルトが再び動いた。

ただ……

さっきよりも速い!?

「なっ……!?」

「エーデルワイス!」

呑気に見ている場合じゃない。

俺は前に出て、虚を突かれて固まっているエーデルワイスを守る。

ラインハルトの刃が迫り、それをクサナギで防いだ。

もう一つ、刃が迫る。

ただ、それはユウキとシフォンが前に出て、一緒に防いでくれた。

「む……すまない、我が主よ。助かった」

「一人で無茶をしないでくれ。ヒヤヒヤする」

「このまま押し返す!」

「了解!」

ユウキとシフォンがラインハルトの刃を押し返して、さらに弾いた。

無防備になったところに攻撃を……

「「……っ……!?」」

二人は攻撃に移らないで後退した。

それも納得だ。

今のラインハルトは、とても嫌な気配をまとっている。

下手に飛び込めばどうなるか……

「誘いには引っかからないか」

最初の突撃は、こちらの攻撃を誘うための演技?

そこで痛烈なカウンターを繰り出して、戦力を削る予定だった?

戦術としては手堅いものだ。

普通に『アリ』。

ただ……

それを成し遂げるには、敵を上回る力が必要だ。

ラインハルトは強い。

たぶん、俺よりも。

でも、エーデルワイスよりは下のはずだ。

彼女は魔王。

先に戦った時は、俺達を含めて、みんなで戦い、ようやくどうにかなったくらいだ。

あの時、ラインハルトも押されていた。

それなのに、どうして今、エーデルワイスより上に行くことができる……?

こちらの困惑に気づいた様子で、ラインハルトは不敵な笑みを浮かべる。

「さすがに、普段と変わらない状態では難しいからな。切り札の一つを使わせてもらうことにした」