軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

981話 チームイリス・その2

地面に叩きつけられたサクラは、痛みに顔をしかめた。

でも、大丈夫。

痛いけど痛くない。

そう言い聞かせられるくらいには、まだ余裕はあった。

あったのだけど……

「おしおきです」

「きゃいん!?」

足を掴まれたままのサクラは、さらに地面に叩きつけられた。

ガン、バン、ダン! と、何度も何度も叩きつけられる。

それを行うオフィーリアは、涼しい表情だ。

穏やかでおしとやかに見える彼女ではあるが……

しかし、敵対するものに容赦はしない。

むしろ、誰よりも苛烈に徹底的な攻撃を加えて、マスターであるラインハルトの脅威を排除しようとする。

「サクラさんを……」

「離してくださいっ!!!」

イリスとフィーニアが前に出て、オフィーリアに接近戦を挑む。

イリスは踊るような華麗な動きで、拳撃と蹴撃を重ねていく。

天族である彼女はオールラウンダーであり、実は、接近戦も得意だったりする。

一方のフィーニアは、接近戦は苦手だ。

不死鳥族の特性もあるが……

それ以上に、彼女の性格が大きい。

殴り合いなんて……と怯えているところがあり、前に出ることは苦手だ。

普段も、接近戦の訓練をしていない。

ただ……

「よくもサクラちゃんを!」

友達を傷つけられた怒りがフィーニアを突き動かしていた。

接近戦が苦手?

そんなことよりも、友達が傷つけられる方が嫌だ。

前へ。

前へ。

前へ。

イリスよりも積極的に。

オフィーリアよりも苛烈に、フィーニアは拳を振るう。

「対象の脅威度の修正が必要ですね……侮っているつもりはなかったのですが、侮っていたのかもしれません」

オフィーリアはサクラを解放すると、後ろへ跳んだ。

彼女もまた、オールラウンダー。

接近戦も遠距離戦も両方こなすことができる。

ただ、どちらかというと遠距離戦の方が得意だ。

わざわざイリス達に付き合い、接近戦を続ける意味はない。

「排除します」

遠距離からの魔法の連射。

炎、氷、雷……嵐のように降り注いでくる。

「このくらいで……!」

フィーニアは怯まない。

今、退いてしまうと、サクラが巻き込まれてしまう。

勇気を振り絞り、その場に留まる。

そして、炎の翼を展開。

全ての魔法を防いでみせる。

「……驚きですね」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

「しかし、限界の様子。このまま……」

「させませんわ」

オフィーリアの真似をするかのように、今度は、イリスが魔法を連射した。

小刻みに、そしてタイミングをずらしつつ、色々な魔法を放つ。

防ぐことは簡単だ。

しかし、避けることは難しく、カウンターに出ることも厳しい。

必然的に、オフィーリアはその場に足止めされることに。

「フィーニアさん、今のうちにサクラさんを!」

「あっ……は、はい!」

フィーニアは、慌てて目を回して倒れているサクラのところに駆け寄る。

そして、癒やしの炎で治癒した。

「わふ……たんこぶできたかも。痛い」

「サクラちゃん、大丈夫? 他に痛いところない? 平気?」

「大丈夫! ぼく、強い!」

「ふふ、頼もしいですわ」

イリスは魔法の連射を止めて、フィーニア達のところへ戻り、距離を取る。

「やりますね」

「オフィーリア姉さまこそ」

「……侮るだけではなくて、間違った認識を持っていたのかもしれませんね」

「?」

「良い仲間を得たのですね。己の身を盾にしても守りたいと思うほどの」

「……ええ、その通りですわ」

イリスは優しく頬笑む。

フィーニア、サクラ。

今はここにいない仲間達。

そして、主のレイン。

皆、かけがえのない宝物だ。

「私の知るイリスは、繊細で気が弱く、戦闘には向いていない子だったのですが……」

「昔の話ですわ」

「そうですね。変わるものなのですね」

オフィーリアは、どこかうらやましそうに言う。

「私は変わりません。変われません。あの時から、時は止まったままです」

「……オフィーリア姉さま……」

「故に、やるべきことはただ一つ……主のために、全てを捧げましょう」

オフィーリアの体から膨大な魔力があふれだした。