作品タイトル不明
975話 チームソラ&ルナ・その2
「同郷だし、ちょっと手加減してやろうと思ったけど……やめだやめ。本気でいくぜぃ!」
「むっ」
本気と聞いて、ソラとルナは、なにが起きてもいいように身構えた。
モナは精霊族。
覚醒も可能だろう。
変則的な戦いをするモナが覚醒したら、さらに厄介なことになるだろう。
「よいしょ、っと」
「うわっ!? なんか、キモいっす!」
モナが一人から二人へ、二人から四人へ……倍々式に増えていく。
スライムが分裂するように増えていくものだから、ライハは、わりとマジの悲鳴をあげた。
「ふっふっふ、これで数の不利はなくなった……というか、覆したね」
「なんかずるいっす! あんた、アメーバっすか!?」
「……例えが酷くない? まったく……ここからは、ボクも本気の中の本気さ!」
32人に増えたモナが一斉に動いた。
真正面から、右から、左から、上から……全ての死角を塞ぐかのように駆けてくる。
「あわわわっ、ど、どうするっすか、これ!?」
「決まっています!」
「全部、ぶち倒すのだ!」
「おー」
まず、ショコラが前に立つ。
複数のモナから放たれる攻撃を大盾一つで全て受け止めてみせた。
その上で、吹き飛ばされることなく、耐えてみせる。
「ちょっ!?」
さすがに、これはモナも予想外だ。
魔法を専門に使う精霊族ではあるが、モナは特殊な力を持つ。
猫霊族とまではいかないものの、それなりの力を持つはずなのに、まさか、あっさりと受け止められてしまうなんて。
「なら、これでどうだい!?」
物理は中止。
代わりに、複数のモナの分体が魔法を一斉に放つ。
ファイアーボールにイグニートランスにドラグーンハウリングに……
魔法の見本市だ。
「そのようなものは、我らが……」
「全て撃ち落とします!」
ソラとルナが並び、モナに対抗するべく魔法を連射した。
ルナは、中級魔法に大量の魔力を込めて、通常の何倍もの大きさにして。
ソラは、初級魔法を、それこそ星の数ほど出現させて。
一斉に射撃。
モナの魔法を全て撃ち落として……
さらに、分体のモナを貫いていく。
「うわわわ!? ちょっ、お、落ち着こう。まずは話し合おうじゃないか、そうそう、話し合い大事!」
「そういうのなしに、いきなりぶん殴ってきたのはどっちっすか?」
「げっ」
ライハが、モナの本体の後ろに回り込んでいた。
その翼は大きく。
角と尻尾も長く。
マジモードだ。
ライハは雷撃を放ち、モナが必死に回避して……
しかし、逃げることはできない。
ライハは、雷撃を操ることができる。
その能力は極限まで鍛え上げられていて……
己を雷と化すことで、音を遥かに越えた速度で動くことができる。
これがライハの本気の覚醒だ。
「いだ!? いだだだっ!?」
ライハの連続攻撃を喰らい、モナが涙目になる。
反撃しようとするけれど、ライハが速すぎて視認できない。
魔法を唱えるヒマもない。
「ふふん、その程度なのか! 我らに歯向かうなんて、100年早いのだ!」
「早いぞー」
「ライハの手柄ですけどね。あと、それは悪役の台詞です」
ソラ達は、のんびり観戦モードだ。
とはいえ、油断しているわけではない。
本当は援護をしたいのだけど……
ライハがあまりに速すぎるため、援護も難しい。
下手をしたら誤爆してしまう。
故に、いつでも動けるように身構えつつ……
しっかりと状況を見極めていた。
「あーもうっ!」
大きく吹き飛ばされたモナは、さすがに怒りの表情を浮かべて、ライハを睨みつけた。
「マジで怒ったからね! こうなったら、ボクも本気でいくぜい!」
モナの瞳が輝いた。
分身体が消えて、本体だけが残る。
その体に圧倒的な量の魔力が集まり……
背中の光の羽が翼に変化して。
さらに、巨大化する。
「さあて、ここからが本番だ!」