軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

973話 チームタニア・その5

極大と極大の真正面からの激突。

莫大なエネルギーの奔流がせめぎ合い、相手を喰らうべく競う。

『ぐっ……!』

『こいつ……!!!』

タニアもアリエイルも苦しそうだった。

ありったけの力を込めたため、体勢を維持することさえ難しい。

しかし、一瞬でも気を抜くことはできず……

相手を飲み込んでやろうと、その気合だけでブレスを放ち続ける。

そうやって真正面からの激突が続いた結果、

ゴガァッ!!!!!

全てを飲み込むかのような、激しく苛烈な、巨大な爆発が起きた。

二人のブレスのエネルギーが暴走して、周囲を巻き込む破壊の嵐と化したのだ。

要塞全体を揺らすほどの莫大なエネルギーが炸裂した。

タニアとアリエイル、二人共、その場に踏みとどまることができず、巨体が吹き飛ばされた。

ほぼ同時に、二人は壁に叩きつけられて……

そこでエネルギー切れ。

より省エネな人間形態を取る。

「くっ……やるじゃない……」

「あなたもね……」

ふらふらになりながらも、二人は立ち上がる。

その口元は、若干ではあるものの笑みが浮かべていた。

互いが相手を好敵手と認めたのだろう。

「このまま叩き潰すのは惜しいわね。私達の仲間にならない?」

「冗談」

「なら、容赦しないわ」

「もう戦う力なんて残っていないんじゃない?」

「ふふ。私は、ちゃんと余力を残しているわ。あなたこそ、もう限界なんじゃない?」

「……そうね。ゴールドドラゴンの力、これほどまでとは思わなかったわ」

「あら、素直ね」

「あたしはもう、立っているのが限界。あたしは……ね」

「……あっ!?」

そこで、ようやくアリエイルは気がついた。

途中からタニアとの戦いに全集中していたため、忘れていたが……

頭の上に乗っていた仲間はどこに消えた?

戦いについていけず、振り落とされた?

ドラゴンブレスが激突した時の余波を受けた?

いや、違う。

彼女達も、また最強種だ。

そんな簡単なことでやられてしまうのなら苦労はしない。

だとしたら、いったいどこに……

「まさか……!?」

アリエイルは慌てて後ろを見て……

動力炉の手前にいる、ティナ、ニーナ、コハネを見て愕然とした。

「気づくの遅いんじゃない?」

「くそっ……!!!」

アリエイルは慌てて駆け出すが、もう遅い。

コハネが手の平サイズの丸い物体を取り出した。

ニーナは、それを動力炉の中に転移させて……

ガッ!!!

爆発。

頑丈に作られていた動力炉ではあるが、さすがに内部からの爆発に耐えることはできず、その一撃で大破した。

周囲に伸びる光のラインが消えて、動力炉の光も消えていく。

「……やられたっ!」

アリエイルは大きく顔を歪めた。

最初から、タニアが囮になる作戦だったのだろう。

アリエイルと同じく、覚醒状態に移行したのは、派手に戦い、気をひきつけるためだ。

その間に、ティナ達はタイミングを見計らい姿を消して……

本命である動力炉を破壊する。

シンプルな策ではあるものの、タニアという強敵を無視することはできないため、現状、一番の策でもあった。

「で」

タニアがのんびりと歩いてきて、アリエイルの肩をぽんぽんと叩く。

「あたし達は目的を達成したわけだけど、あんたはどうする? まだやる?」

「……」

アリエイルは拳を握りしめて、ギリッと奥歯を噛んで……

ややあって、全身から力を抜いて、ため息をこぼす。

「……私の負けよ。はぁ……もう好きになさい」

緊張の糸が切れて。

同時に体の力も抜けて、アリエイルはその場に座り込んだ。

「じゃ、好きにさせてもらうわ」

そう言うと、タニアもその場に座り込む。

「……なにをしているのかしら?」

「休憩。あたしだって、もう戦う力なんて残っていないもの。あんたを相手にするので精一杯よ」

「ふん……でも、私は負けたわ」

「あたしには仲間がいたから」

タニアは笑顔を浮かべて、動力炉を破壊して喜ぶティナ達を見た。

とても優しい笑顔だ。

「あんたも仲間がいたら、また別の結果になっていたんじゃない?」

「……ミツキ達は、別の動力炉を守っているから」

「ふーん。そっちはどうなったのかしら?」

「ミツキ達が負けるわけないわ」

「信頼しているのね」

「……仲間だもの」

「なら、あたしもこう言わないと。みんなは、絶対に動力炉の破壊に成功するわ」

「……嫌なヤツね」

「そう? あたしは、あんたのこと、わりと好きよ」

タニアは笑みを浮かべつつ、手を差し出した。

それを見て、アリエイルは頬を膨らませて……

ふいっとそっぽを向いて……

でも、そのまま、しっかりと握手に応えるのだった。