作品タイトル不明
972話 チームタニア・その4
『よくもやってくれたわね……!』
爆炎を粉塵を散らして、アリエイルが姿を見せた。
さすがに無傷というわけにはいかなかったらしく、あちらこちらに傷を負っていた。
しかし、瞳に宿る闘志はまったく衰えていない。
むしろ増している様子で、放たれる圧が何倍にも強くなっていた。
『沈みなさいっ!』
アリエイルが突撃してきた。
『ちっ』
タニアは少し迷った後、同じく突撃してみせた。
力と力の激突。
ドラゴンの巨体が真正面からぶつかり、周囲の空気がぶわっと蹴散らされた。
『ぐっ……なんて馬鹿力……!?』
『あなたのようなレッドドラゴンとは違うのよ。ふふっ、この私の力を目に焼き付けて、そのまま死になさい!』
アリエイルはタニアを力で抑え込みつつ、さらに首に噛みついた。
ドラゴンの鱗は鋼鉄よりも硬く、並大抵の武器では傷一つつけられないのだけど……
アリエイルの牙は、伝説の武器に匹敵する威力を誇る。
『あぅっ……!?』
アリエイルの牙が鱗を貫いた。
タニアは悲鳴をあげて、ぐらりとよろめいた。
「タニア……! あうあう……」
『大丈夫よ、ニーナ……これくらいで!』
タニアは痛みを我慢して、アリエイルを押し返した。
「いてこましたれ!」
『ええ!』
ティナの声援に応えるかのように、タニアは、ひとまず頭の上の三人は気にしないことにした。
全力で体当たりをして……
さらに、前足を槌のように叩きつける。
アリエイルも、負けていられないと頭突きをして……
再び尻尾を振り回してくる。
巨体と巨体が激突して、その度に空気が震えるほどの衝撃が撒き散らされる。
物語に出てくるような怪獣大決戦だ。
もしもこの場に吟遊詩人がいたら、目を輝かせつつ詩を作るだろう。
それはともかく。
『いい加減、沈みなさい!』
『うっとうしいわ、あなた!』
二人は全力で激突を繰り返していく。
床を割り。
壁をぶち抜いて。
天井を崩落させて。
周囲のことなどおかまいなしに暴れ放題だ。
細かい種の違いはあるものの、共に竜族。
そして、同じ覚醒状態。
条件は五分五分。
しかし……
『くっ……!?』
次第にアリエイルが押されてきた。
タニアは、アリエイルを倒すことだけを考えればいいのだけど……
アリエイルは違う。
壁や天井を壊しても構わないが、動力炉を壊すわけにはいかない。
自然とかばうような体勢になり、ここぞという時でうまく動くことができないでいた。
……もちろん、タニアはそれを狙っていた。
時折、動力炉を狙う攻撃をして、アリエイルの動きを乱している。
『あなた、正々堂々と戦うつもりはないの!?』
『あーら、そんなことをして、なにが楽しいの? 正々堂々? はっ! 最後に立っている者が勝ちなのよ。そのために手段は選ばないわ!』
もはやどちらが悪かわからない発言だった。
むしろ、タニアの方が悪の女幹部っぽい。
『このっ……!』
時間をかければかける分、不利になる。
それを感じたアリエイルは、一度、大きく距離をとった。
『これで……粉々にしてあげるわっ!!!』
必殺のドラゴンブレス。
ゴールドドラゴンの力を収束させて。
さらに、覚醒状態で得られる魔力をありったけ乗せて。
『いいわ、受けてあげる!』
タニアもまた、ドラゴンブレスの体勢を取る。
力を束ねていく。
魔力を収束させていく。
全身全霊の一撃だ。
『……っ……』
『……っ……』
一瞬、二人は睨み合い……
バチバチと視線で火花を散らして……
『『喰らえぇえええええっ!!!』』
同時にブレスを放った。