軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

968話 チームカナデ・その6

「……」

ミツキは、呆然と天井を見上げていた。

なぜ、天井を見上げている?

敵と戦わないといけないのに……

連中はどこに消えた?

そこまで考えたところで、体が動かないことに気がついた。

特に拘束はされていない。

単純に、力を使い果たして……

際どいところまでダメージを負い、動けなくなってしまったのだ。

「そっか……私は負けたのか」

「そういうこと」

顔を動かすと、カナデが見えた。

彼女の後ろに、リファとミルフィーユもいる。

「えいっ」

リファは、あくまでもマイペースに血の鎌を振り上げて……

そのまま動力炉の一つを破壊した。

「……失敗した」

「だね」

カナデは勝利が嬉しいのか、にこにこ笑顔だ。

それが癪に触る。

ミツキは彼女を睨みつけた。

でも、体は動かなくて……

ため息をこぼす。

「殺せ」

「にゃん?」

「私は失敗した……使えない道具だ。殺せ」

「うわっ、いきなり物騒なことを言い出した!? こわっ」

「どうして? 私は負けた。敗者は死あるのみ」

「いやいやいや。別に私達、殺し合いをしているつもりはなかったし」

「キミ達を止めようとしただけ」

動力炉を破壊したリファが戻ってきた。

ふらふらしているが、覚醒のせいで血が足りていないのだろう。

「そうなのか?」

「そうですよー」

視線を向けられて、ミルフィーユはにっこりと頷いた。

それから、カナデ、リファ、ミツキ……順に治癒魔法をかけていく。

「ケンカは仕方ないかもしれませんけど……ずっとケンカをするのはダメですよー。仲直りしないと、ですねぇ」

「そういうこと」

カナデは膝をついて、ミツキに手を差し出した。

「そんなわけで……はい」

「なんだ? 哀れみのつもりか?」

「違うよ。仲直りの握手」

「……」

ミツキは、不思議なものを見るような感じで、カナデの手をまじまじと見つめた。

それから、体を起こして……

ぺし、っと払いのける。

「お断り。お前らなんかと馴れ合わない」

「まあまあ、そう言わずに」

「敗者は勝者の言うことを聞くもの」

カナデは怒ることなく、食い下がり……

リファもそれに乗っかる。

二人の様子を後ろで見るミルフィーユは、にこにこと笑う。

「ほら、握手握手」

「だから私は……」

「いいから、ほら。今ならオトクだよー?」

「うん、おとく」

「仲直りして、そのまま友達になろう?」

「友達……?」

ミツキは、目を大きくして驚いた。

こいつらはなにを言っているのだろう?

さきほどまで殺し合いをしていたというのに、友達?

頭のネジが外れているのではないか?

「お前達は……正気か?」

「ボクは正気。カナデは……ダメ」

「まさかの身内からの裏切り!?」

「カナデさんの介抱は任せてくださいねー」

「ミルフィーユまで!?」

「……」

ミツキは、再びぽかーんとして……

「ふはっ」

耐えきれないといった様子で笑う。

「なんだ、お前達は。バカなのか? バカだな、うん」

「敵にまで!?」

カナデはよほどショックだったらしく、へなへなと崩れ落ちる。

ミツキは、そんなカナデの手を取る。

「え? それ……」

「……私は、ラインハルトと契約しているからな。仲良くするつもりはないぞ。でも……まあ、一時休戦ってことならいいぞ」

「あ……うんっ、うんうんうん!」

カナデは満面の笑みになり、ミツキの手を両手で握り、ブンブンと上下に振る。

「ちょ……」

「よろしくね! 今日から友達だね!」

「まっ……」

「今度、一緒に美味しいもの食べようね! 美味しいお魚料理を知っているから!」

「止まれ! 痛い!」

「にゃん!?」

手をブンブンされて、怒ったミツキにどつかれて……

カナデはぐるぐると目を回して、ばたんと倒れてしまうのだった。

そんなカナデを見て、

「まったく……でも」

「悪くないな」と、ミツキは小さくつぶやいた。