作品タイトル不明
969話 チームタニア・その1
「ふふ、いらっしゃい」
動力炉に辿り着いたタニア、ニーナ、ティナ、コハネの四人。
対するは、竜族のアリエイルだ。
不敵な笑みを浮かべて、尻尾をゆらゆらさせている。
「こんなところまで、はるばるご苦労さま。でも、あなた達の旅はここで終わり。私が引導を渡して……」
「これでも……くらいなさいっ!!!」
「ちょ!?」
「「「えぇ!?」」」
アリエイルの前口上を完全に無視して、タニアがドラゴンブレスを放つ。
そんなのあり!? とアリエイルが驚いて……
なにをしているの!? と、味方も驚いていた。
光と熱の奔流がアリエイルと、その後ろの動力炉を飲み込もうとして……
「こっ……のぉ!!!」
アリエイルは下から上に、すくいあげるような拳を放ち、タニアのドラゴンブレスの軌道を変えてみせた。
ブレスが天井を焼いて、破片をぱらぱらと散らせる。
「「「……」」」
タニア以外の全員が唖然としていた。
ニーナも唖然としていた。
コハネは目を丸くしていた。
それはそうだろう。
出会い頭、いきなりドラゴンブレスを放つ暴挙に出るなんて、誰も予想していない。
「へぇ……あたしのブレスを弾くとは、やるじゃない」
「あなたねぇ……! いきなりブレスを放つとか、頭おかしいんじゃないかしら!?」
「先手必勝よ」
「先手すぎるのよ! あなたの仲間も引いているじゃない!」
「え?」
「「「……」」」
タニアが、そんなことないわよね? という感じで振り返り……
目を合わせたらまずいと、他のメンバーは顔を逸らす。
「ちょ、ちょっとまってよ。そこまで引くことないじゃない!」
「いやー……うち、策を練るよりは真っ向勝負、って感じやけど、それでもタニアはないわー」
「ない、ね……」
「わたくし、どのような言葉をかければいいのか、わかりません……」
「ほら」
「ぐっ……」
得意そうなアリエイルに、タニアは、ぐぬぬぬと悔しそうな顔をした。
「まったく……野蛮すぎて呆れるわ。あなた、レッドドラゴン?」
「そうだけど……それがどうしたのよ」
「脳筋って有名よ、ふふ」
「……」
「私は、幸いにもレッドドラゴンじゃないから、物事を冷静に捉えることができるわ。あぁ、よかった、脳筋じゃなくて」
「……」
「ほほほ、悔しい? でも、それが事実なのよ。脳筋ドラゴンさん♪」
「シネ!!!」
キレたタニアは、再び、問答無用でブレスを放つ。
「「「ちょ!?」」」
仲間が驚いて、
「また!?」
アリエイルも驚いた。
再び拳でブレスを弾こうとするが……
「えっ」
ブレスは、アリエイルでも動力炉でもなくて、天井を撃ち抜いた。
瓦礫が雨のようにアリエイルに降り注ぐ。
「くっ……これを狙っていたわけ!? 小癪な!」
「みんな、今よ!」
「なんや、めっちゃ攻撃しづらいけど……しゃーないな、手段は選んでられん、っちゅーことやな」
「いく、よ」
「武装、展開。フルバースト」
ニーナが亜空間に繋がる道を開いて。
ティナとコハネが、そこに攻撃を叩き込む。
瓦礫の雨のせいで動けないアリエイルに、さらに追い打ちをかけて、四方八方から攻撃が降り注いだ。
「でもって、これも追加よ!」
タニアは、今度は炎を吐いた。
豪炎が生き物のように舞い上がり、アリエイルがいた場所を赤に染めていく。
おまけとばかりに、近くに落ちてきた大きな瓦礫を抱えて、投げつける。
ドガァッ! と大きな音が響いて、粉塵が舞い上がった。
「ふふんっ、どうよ!? これが正義の力よ!」
「正義というか、うちら、完全に悪側やなー……」
「かな、しい……」
「主さま、申しわけありません……コハネは汚れてしまいました」
「あんたらねえ……気にしないの! 勝てばいいんだから、勝てば」
得意そうにドヤ顔を決めるタニア。
本気の発言であることがわかる。
「「「……」」」
ティナ達は、さらに引くことになるが……
「……みなさま、まだです」
コハネの一言で、すぐに気持ちを切り替えた。