軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

956話 決戦前夜・その7

「……」

「……」

同じく、ラストレムナントの居住区。

その一室に、ミツキとアリエイルの姿があった。

二人はベッドに寝ている。

ただ、眠りには落ちていないらしく、時折、尻尾を動かしていた。

「……ねえ」

「……なにかしら?」

「……まだ起きてる?」

「……そうね、起きているわ」

ミツキは、がばっと起き上がる。

「あー! なんか、緊張してきたな!」

「言葉にしないでくれるかしら? 私にも伝染したら、どうしてくれるのよ」

「仕方ないでしょ、緊張しちゃうんだから」

「……ま、気持ちはわかるけどね」

明日から戦いが始まる。

星の命運を賭けた決戦だ。

ただ……

ミツキとアリエイルは、正直、星の命運なんてどうでもいい。

人間が滅びようが滅びまいが、どちらでもいい。

ただ一点。

願うことは、ラインハルトの望みを叶えることだ。

「……私は」

ごろりとベッドの上を転がりつつ、ミツキが言う。

「正直、人間とかどうでもいい」

「奇遇ね。あたしもよ」

「ただ……ラインハルトの力になりたい」

「そこも同意」

ミツキとアリエイルは孤児だ。

共に親の顔を知らない。

モナの調査によると、人間にさらわれたとのこと。

力を封じる首輪をつけられて、奴隷として売られそうになっていたらしい。

ラインハルトに助けられて……

しかし、親を見つけることは叶わず。

そのまま、彼のところで育てられることになった。

物心つく前に誘拐されていたため、親を恋しく思い、泣くことはない。

ミツキとアリエイルにとって、ラインハルトが親のようなものだ。

その後、二人はすくすくと成長して……

一人前になって……

それでも、ラインハルトの側を離れようとはしなかった。

どれだけ険しい道だとしても、彼と一緒にいることを選んだ。

そのために鍛錬を重ねて、力も手に入れた。

「ラインハルトがいなかったら、私、死んでいただろうし」

「そうね」

「恩返し、っていうか……そんな感じ」

「そうね」

ミツキの尻尾がゆらゆらと揺れる。

「でも……それだけじゃない」

「え?」

「もっと単純に、ラインハルトの力になりたい」

ミツキは枕を胸に抱いた。

そのまま丸くなる。

「……好きな人の力になりたい」

「あなた……」

「それが一番だ」

「……奇遇ね」

暗闇の中、アリエイルが苦笑する。

「私も、好きな人の力になりたいわ」

「ダメだ、諦めろ。ラインハルトは私のものだ」

「ちょっ……!?」

「誰にも渡さない」

「そこは、恋も戦いも一緒にがんばりましょう、って言うところでしょ!?」

「知らない。恋愛に関しては、アリエイルは敵。邪魔するならぶっとばす」

「いいわよ、上等じゃない……ふふん。ラインハルトは、大人の男性よ。年齢っていう意味じゃなくて、精神的、心の在り方、っていう意味よ? そんな男性が好みなのは、同じく、大人の女性よ。つまり、私!」

「ぷーくすくす」

「あんた、ケンカ売ってるの?」

「ケンカは同じレベルの者同士でしか起きないぞ」

「へぇ……」

部屋の気温が数度、下がったような気がした。

ついでに、ピシリと空気が固まる。

「やっぱり、ケンカを売っているのね? そうなのね?」

「私は知らない。アリエイルなんて、敵にならないし」

「よし、表に出なさい。どちらが上か、ハッキリさせてあげる」

「やだ、眠い。私は寝る」

「ここまで挑発しておいて、それはアリ!?」

「スヤァ……」

「寝るの早くない!? ちょっと、本気で寝たの!?」

騒がしい夜は続いていく。

決戦前夜だろうとなんであろうと、あくまでも『らしさ』を貫く二人だった。

自分の想いに正直に。

そして、やりたいことをやる。

それこそが二人の力の源であり……

生きる意味だった。

だからこそ、最愛の人の力になるために戦う。

いつまでも。

どこまでも。