軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

948話 世界を一つに

……その後の会議は紛糾した。

基本、ラインハルトに屈する。

あるいは彼を放置するという選択はない。

そのようなことをすれば、人間は滅びてしまう。

誰も彼も、死をのんびりと待つなんてこと、できるわけがない。

故に、皆が選んだ道は一つ。

ラストレムナントを攻略して、破壊。

あるいは、その機能を停止させる。

……ここまでは全会一致だ。

ただ、問題はここから。

ラストレムナントという想像を遥かに越えた要塞をどのように攻略すればいいか?

そこで会議が紛糾した。

古城の場所は、北大陸の果て。

普通に歩いて行こうとしたら数ヶ月……いや、半年以上かかる。

道は険しく、無事にたどり着ける保証もない。

海路を使おうとしても、やはり時間がかかりすぎる。

北大陸周辺は海が荒く、危険度は高い。

各地に通じている精霊族の門を使用するか?

まず最初に、アルさんが難色を示した。

俺達は当たり前のように使っていたけど……

それは、俺達だから許されていただけ。

本来なら、人間が立ち入ることは許されていない。

非常時だから許可を出してほしいのだけど……

非常時だからこそ、よからぬことを企む者もいる。

その危険性をアルさんは憂慮しているのだろう。

仮に、その問題が解決したとして。

先発部隊が様々な手段を駆使して、できる限り早く、北大陸の果てに移動して。

そこに精霊族の門を設置して、移動手段を確保する。

しかし、その後は?

敵の拠点は、遥か空の上。

おまけに、結界や迎撃のための兵器が多数搭載されているという。

たどり着くための方法がない。

用意できたとしても、途中で迎撃されてしまうだろう。

「飛行魔法で乗り込むというのは?」

「どのような兵器が搭載されているかによるが、対空防御がないとは思えないな。たどり着く前に落とされるのがオチだろう」

「超高速で射出、ってのはどうだ?」

「途中で軌道を変えられない以上、やはり狙い撃ちにされるだろうな」

「空を走っていきましょうか♪」

「……それは、汝にしかできないのでは?」

アルさん達が提案をして、エーデルワイスがそれを却下する。

「できる限り接近して、地上から攻撃を加えるというのはどうだろうか?」

「それだけの兵器が?」

「……ないことはない。いざという時に開発していたものだ」

「私達と戦うためのものか。ふむ……悪くはないが、それだけでラストレムナントを落とせるとは思えないな。制空権を握られているというのは、思っている以上に不利だ」

「確かに……空を支配された戦場なんて、あまり考えたくないね。ワイバーンの群れと戦ったことがあるけど、あれは死ぬかと思ったよ」

「そもそも、敵の情報が不透明すぎます。どうにかして、もう少し情報を得る方法はないのですか?」

「今、ありとあらゆる手を使い、情報をかき集めているところだ。とはいえ、それが間に合うかどうか……いや。悪いことを考えて仕方ないね」

王族達も頭を絞らせている。

それでも、これだ! という答えは出てこない。

「よし! ここは……」

「アクスを投擲して様子を見ましょう。つまらない犠牲よ」

「おい!?」

「様子を見ることで情報を得る……うーん、わかるけど、それだけの時間が残されているか、だよね」

「あと、耐えられるか、という問題もあるぞー。タンクだからわかるけど、耐える、っていうのはけっこう大変なのだ」

「回復しつつ……うーん、現実的じゃありませんねぇ」

シフォン達だけではなくて、冒険者代表としてアクスとセルも会議に参加していた。

いつもの調子だけど、それが逆に頼もしい。

場を明るくしてくれる。

そういう人はとても大事だ。

人が。

冒険者が。

王族が。

最強種が。

みんなが手を取り合い、知恵を絞らせている。

一つの目的のために協力して、前に進んでいる。

この光景を見たら、あるいはラインハルトも……

いや。

考えても仕方ないことか。

彼はもう……止まらないだろう。

「我が主は、なにか案はあるか?」

ふと、エーデルワイスが俺に話を振ってきた。

「えっと……ごめん、良い案はないな。どうにかして、一歩でも乗り込むことができれば、そこでアルさん達に協力してもらって転移門を設置できるんだけど……」

その一歩が相当に難しい。

敵の拠点は遥か上空。

恐らく、強力な兵器で防備を固めていて……

さらに、ラインハルト達もいる。

この防御網を突破することは困難を極める。

実現性のない夢物語と近い。

とはいえ、諦めるつもりはないが。

なにがなんでもラインハルトを止めてみせる。

これ以上、放置することはできない。

その怒りも。

その悲しみも。

全て打ち消そう。

それが今、たくさんのことを知り、たくさんの想いに触れた俺が……俺達がやるべきことだ。

「少しいいか?」

ふと、ルナが挙手した。