軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

905話 魔王城、攻略戦

無事、穏健派と人間の軍は和解することができた。

アルガス率いる人間の軍は、そのままジルオール率いる穏健派と合流。

魔王城に対して本格的な攻略を仕掛けることになった。

「あとはお願いします」

「失敗なんてしたら、俺がぶっ潰すからな」

レインはやや過激な激励に苦笑しつつ、仲間達と共に魔王城へ向かう。

一方のジルオールとアルガスの人間と魔族の混成軍は、魔王城に陽動となる戦いを仕掛けた。

思っていたよりも敵の勢いが激しく、ジルオールも陽動に回ることになったのだ。

混成軍の思惑を見抜いていないのか。

それとも、あえて策に乗っているのか。

魔王城から出てきた魔族は混成軍と激突して、大きな戦場を作り出すこととなる。

敵は、魔王の支配下にある、混沌の心を抱えた魔族達。

その力は、魔王の影響下にあることで、普段の数倍に膨れ上がっていた。

荒れ狂う嵐のごとく、全てを飲み込み、全てを灰燼に帰す。

ただ、混成軍も負けてはいない。

四天王の一角であるジルオールと、その直属の配下であるカシオン。

二人の力は、強化された魔族を相手にしても、まったく劣ることはなくて、むしろ圧倒してしまう。

そこに人間の軍も加わっている。

当初の計画より戦力は倍増だ。

「進めっ、怯むな! 仲間と……友と戦い、未来を勝ち取るのだ!」

ココロの采配で人間の軍が動く。

魔族との合同作戦なんて欠片も考えられていなかったはずなのに、その動きに乱れはない。

先陣を切り、時に魔族の盾となり、そして支え合う。

理想的な戦場が構築されていた。

ココロは超一流の魔法使いだが、戦術家としても超一流だ。

予定外の戦い、共闘だとしても、柔軟に即座に対応することができる。

「まさか、人間と一緒に戦うことになるとはな」

「不満ですか?」

「いいえ。レインの件もあるし……それに、なかなか悪くないですね! ははっ」

ジルオールとカシオンは、土壇場で手の平を返した人間を疑わない。

信じて、背中を預ける。

なぜか?

レインが信じたからだ。

不可能と思われていた人間を本当に説得してしまった。

武力を一切行使することなく、味方につけてしまった。

それを成し遂げることができたのは、彼の力、人柄というポイントがあるだろうが……

なによりも『信じる』ことが大きいと思う。

簡単な言葉のように思えて、なによりも難しいこと。

それをレインは貫き通して、結果を出したのだ。

なればこそ、自分達も信じよう。

レインが信じた人間達を信じよう。

「うしっ、今まで生きてきた中で、一番、暴れがいがある戦いだな! おいっ、そこの人間!」

「えっ、僕かい?」

「お前は強そうだな。名前は?」

「ユウキだよ。よろしくね」

「俺は、カシオンだ。一緒に切り込む勇気はあるか?」

「もちろん」

「なら、いくぜ!」

カシオンが突撃して、ユウキがそれに続く。

長年、連携の訓練をしてきたかのように息がぴったりだ。

それを見たサーリャが苦笑する。

「お兄様は、とても生き生きとしていますね」

「あなたは、人間の姫と聞いていますが?」

ジルオールがサーリャに声をかける。

サーリャは本格的な戦闘能力は持たない。

後方で細かな指示を出して、それと、サポートをするだけ。

それでも、自分にできることをしたいと、戦場を離脱することは決してない。

ジルオールは戦場に出たものの、穏健派のトップだ。

時折、戦うことはあるものの……

基本、後方で指揮を取る。

彼女が倒れたら穏健派が瓦解してしまうので、仕方ないといえば仕方ない。

「はじめまして、サーリャと申します」

「ジルオールです」

「……なんだか不思議な感じですね」

「ふふ、同じ感想です」

戦場で。

人間と魔族が挨拶をして、笑顔を交わしている。

普通に考えてありえない光景だ。

でも、それを成し遂げた人物がいる。

サーリャとジルオールは、共にその人物を思い浮かべて……

「あの……後で話をすることはできますか? 私、あなたのことをもっと知りたいと思いました」

「ええ、構いませんよ。どうも、あなたもあの人間に大きな影響を受けているみたいなので、興味があります」

「それはお互い様では?」

「ふふ、そうですね」

互いに微笑み、そして、戦場に戻る。

そんな二人には、確かな絆が結ばれていた。