作品タイトル不明
859話 譲れない想い・その1
「互いに譲れないものがあるのなら、あとはもう、力で決するのみ」
「理解したくないけど、理解するよ」
「ならば」
「なら」
「「決する!!」」
戦端が開かれた。
――――――――――
「わふーっ!」
一番最初に動いたのは、意外というべきかサクラだった。
地面を駆けて……
ついでに宙も駆けて、一気に敵陣へ飛び込む。
地面に両手をついて、逆立ちのような体勢に。
その状態で独楽のように回転して、近くにいた魔族を蹴り飛ばす。
「あわわわっ、さ、サクラちゃん。そんな体勢、スカートが……!?」
「心配するところ、そこ?」
リファは冷静にツッコミを入れつつ、血の鎌を顕現。
大きく踏み込みつつ、横に薙ぎ払う。
リファの行動を予測していたのだろう。
魔族達は攻撃を回避、あるいは防いだ。
ただ、リファはその上をいく。
攻撃が通じないことを、こちらも予測していたらしい。
さらに一歩を踏み込んで、くるりと回転。
その勢いを乗せて、二撃目を放つ。
ザンッ!!!
血の鎌が一体の魔族の腕を裂いた。
浅い。
致命傷には程遠いが、しかし、体勢が崩れる。
「こ、これでもーっ!」
「くらえっ! ファイアーボール・マルチショット!」
フィーニアとタイミングを合わせて、同時に炎を放つ。
飛翔。
そして、着弾。
ゴウッ! という音と共に爆炎が広がり、その中に魔族が取り残された。
「やりますね。しかし……」
「うぉおおおおおっ!!!」
リースの不敵な笑み。
その思いを言葉にするかのように、炎が蹴散らされて、大してダメージを負っていない魔族の姿が。
魔族も最強種。
あれくらいの攻撃で倒せるとは思っていなかったけど……
「足止めにもならないか」
「さて、今度はこちらの番ですよ」
リースが指を鳴らすと、それを合図にして、複数の魔族が動いた。
シンプルに魔力の塊を飛ばしてくる。
ティナがいつもよくやる、アレと似ているな。
速度は普通。
軌道も単純。
これくらいの攻撃、簡単に回避することが……いや、待て。
「みんな、大きく跳べ!」
「ふふ……遅い」
もう一度、リースが指を鳴らす。
すると、魔力球が一気に加速した。
魔力球の時間を操り、加速させたのだろう。
ヤツは、限定的ではあるが時間を操ることができる。
これくらい造作もない、というわけか。
「ひぁ!?」
「キューン!?」
フィーニアとサクラが慌てて避難した。
リファは落ち着いていて、冷静に回避。
そして、ライハは……
「ティナの姐さん、直伝っす!」
魔力でバットを生成。
カキーン! と打ち返した。
「なっ!?」
そんな荒業……というか、愉快な技?
が繰り広げられるとは思っていなかったらしく、魔族の動きが止まる。
そこにライハが突撃して、掌底。
同時に、
「くらえっす!」
雷撃が放たれて、魔族が吹き飛んだ。