軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

854話 予想はしていました

表の方がとても騒がしい。

爆発音。

それから、悲鳴と怒号。

「陽動はバッチリみたいだな」

「で、でも、これは陽動って言うんでしょうか……? は、派手しゅぎるような……?」

「楽しそう!」

「ま、混ざりにいかないでね……?」

サクラは瞳をキラキラと輝かせつつ、尻尾をぶんぶんと振っていた。

フィーニアが釘を刺さなかったら、本当に混ざりに行っていたかもしれない。

「アニキ、こっちっす!」

「道、わかるのか?」

「似たような砦を知ってるので、たぶん、大丈夫っす」

ライハを先頭に砦の中を進んでいく。

カナデ達が本当にがんばってくれているみたいで、敵の姿はほとんどない。

たまに魔族を見かけるものの、数が少ないので簡単にやり過ごすことができた。

砦の奥に向けて駆けて……

途中、コハネが足を止める。

「主さま、みなさん。お気をつけください」

「どうしたんだ?」

「この先から、とても嫌な感じがいたします」

先に大きな扉が見えた。

綺麗な細工が施されているわけではなくて、ひたすら無骨な作り。

ただ、鍵などは見当たらない。

魔法で結界が作られているわけでもなさそうだ。

招かれているような気がした。

来るなら来い、というやつかな?

「主さま、これは……」

「罠の可能性が高いな」

たぶん、リースとモニカは、こうなる展開を読んでいたんだろう。

そして、万全の準備をして迎え撃つことにした。

本当、厄介な相手だ。

ここで、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。

しかし、無策で罠に飛び込むわけにはいかない。

どうする?

「せめて、罠の内容がある程度、特定できれば……」

「少々お待ちください」

コハネが前に出た。

そして、その瞳の色が変わる。

「……」

「コハネ?」

「スキャン、完了いたしました」

「すきゃん?」

「えっと……扉の向こうの状況を読み取った、という感じでしょうか?」

そんなことができるのか。

すごい、の一言に尽きる。

「無数の生体反応。それと、わずかな魔力反応。扉を開けると同時に、攻撃が行われるのではないかと。拘束系のトラップはないと思われます」

「なら……いけるか?」

頭の中でシミュレートして、このメンバーなら突破できるという結論に至る。

「……よし。みんな、聞いてくれ」

――――――――――

リースとモニカが万全の準備をしているのなら、こちらもしっかりと準備をすればいい。

そして準備が終わり……

いざ突入だ。

「頼んだぞ」

砦の中にいたネズミと仮契約をして、扉に結んだ縄を引いてもらう。

ギギギ、と鈍い音を立てて、ゆっくりとではあるが扉が開いた。

瞬間、強烈な魔力を感じた。

開かれた扉から黒い光があふれる。

それは暴れまわる龍のよう。

扉付近を飲み込んで、床を溶かして、烈風を吹かす。

さらに、ダメ押しというようにもう一度、黒い光が吹き荒れた。

連射。

いくら警戒していたとしても、真正面から浴びていたらひとたまりもなかっただろう。

危ないところだった。

「ファイアーボール・マルチショット!」

まだこちらから姿を見せることはない。

開いた扉の隙間に魔法を叩き込んだ。

中から悲鳴が聞こえてきて……

こちらの策が成功したことを教えてくれる。

罠を仕掛けて、安心して……

その隙を突いて、逆に混乱させてやる。

「みんな、いくぞ!」

「「「おーっ!」」」

いつでも動けるように警戒しつつ、扉を潜る。

その先で待っていたのは……