作品タイトル不明
851話 開戦
一週間後……戦端が開かれた。
人間と徹底抗戦を訴える、リース、モニカが率いる強硬派。
和平を望む、ジルオールが率いる穏健派。
魔族を率いる者を決めるために、その二つが激突することになった。
それぞれが軍を率いて。
互いのトップを狙い。
魔族同士の戦争が始まる。
戦場は、両者の拠点の間にある平原だ。
そこを中心に戦いが繰り広げられることになる。
――――――――――
「すごいな……」
風鳴の平原と呼ばれている場所は、乾いた荒野だった。
砂と石。
それだけ。
木や草などは生えておらず、とても寂しい場所だ。
だからこそ、ここが戦場に選ばれたのだろう。
見通しがよく、奇襲を仕掛けることはできない。
奇をてらった策も難しいだろう。
力と力がぶつかる。
それを証明するのに、もっとも適した場所。
手前にジルオールの軍が。
対岸にリースとモニカの軍が見える。
「みんな、準備はいいか?」
「「「おーっ!」」」
気合は十分。
でも、戦争でがんばろう、なんてことを考えているわけじゃない。
俺達はジルオールの味方をする。
でも、彼女の兵となって魔族と戦うつもりはない。
狙うは、リースとモニカ。
遊撃隊として動いて、どうにかして二人を制圧、無力化する。
そうすれば、この争いは終わるはずだ。
どうにかこうにか犠牲を最小限に抑えたい。
魔族だって、同じ血が流れているのだから。
「行こう」
平原を外れ、その隣にある森に入った。
ここを進めば、そうそう簡単には見つからないだろう。
ただ、リースとモニカの軍が森に配置されていないわけがない。
ジルオールの奇襲を警戒して、ある程度の数を残しているはず。
「すんすん、すんすん……んー、ちょっと行ったところにいるね」
「方角は?」
「右! じゃなくて、東!」
「よし。西側から回り込む感じで進もう」
カナデに敵を探知してもらい、避けて進んでいく。
こちらは大量の敵がいるわけではないから、見つかることはない。
ほどなくして森の奥に到着した。
ここはもう、完全にリースとモニカの軍の勢力下だ。
ピリピリとした雰囲気が漂っていて、あちらこちらから敵の気配がする。
「どうにか、ここまで潜り込むことができましたわね」
「次、どうする? ぼく、出番?」
「戦いは……うん、もうちょっと後だな」
ここで暴れても意味はない。
狙うは、リースとモニカ。
その二人だけ。
それ以外の被害はできるだけ抑えたい。
というか……
それ以外も相手にしていたら、こちらの身がもたない。
最低限の戦闘で目的を達しないと。
「おいで」
リスを数匹、テイムした。
周辺の様子を見てもらう。
そして、得た情報を地図に書き込んでいく。
「うむ。これはまた……」
「敵だらけですね」
ルナとソラが言うように敵だらけだ。
敵がいるところを赤く塗ると、地図が真っ赤になってしまう。
敵地のど真ん中だから仕方ないのだけど、これだと動きようがないな。
さて、どうしたものか?