軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

799話 ありったけの一撃を

「「はぁっ!!」」

ほぼ同時に俺とアリオスは駆けた。

真正面から激突して、刃と刃が交差する。

しかし、そのまま単純な競り合いになることはない。

互いに跳んで距離を取り、再び突撃。

激突を繰り返す。

その度に攻撃方法を変えて。

フェイントを挟み、軌道を変化させて、手数を増やして……

ありとあらゆる方法で相手の防御を抜いてダメージを与えようとする。

それらを捌いて、防いで。

あるいは、重力操作の力を借りて避けていく。

ただ、うまくいかない。

俺もアリオスも決定的な一打に辿り着くことはできず、時間と体力だけが消費されていく。

「がんばれー、レイン! にゃご!?」

「ちょっとカナデ。真剣勝負の最中に気の抜けるような応援しないで」

「い、息が……!?」

確かに気は抜けるかもしれないけど……

でも、みんながいると思うと、不思議と力が湧いてくる。

俺は、アリオスに勝つ。

過去に決着をつける。

その上で、これからもみんなと一緒に歩いていくんだ!

「ギガボルト・マルチショット!」

「ちっ」

雷撃魔法を複数同時に放つ。

回避は難しいらしく、わずかにアリオスの動きが乱れた。

でも、すぐに修正するところはさすがだ。

「ナイトメアボルト! イグニートランス!」

黒い雷撃でこちらの魔法を打ち消して、さらに追撃の炎の槍を放ってきた。

これも重力操作で回避する。

それは予想済みだったらしく、アリオスは攻撃の手数をどんどん増やしてきた。

三人の幻影を作り出して。

時間を止めて、幻影を含み、それぞれ前後左右に回り込み。

そして、アルテラの豪炎を撒き散らす。

四方から炎が迫ってきた。

その内、三つの炎は偽物だ。

でも、それを区別する技術も時間もない。

「重力操作!」

自身にかかる重力を操作して、高く高く跳躍した。

「そう来ると思っていたよ!」

「っ!?」

跳んだ先でアリオスが待ち構えていた。

アリオスが作り出した幻影は三体ではなくて四体だった。

全てフェイク。

俺を宙に誘い出して、そこで迎え撃つことが彼の策なのだろう。

「これで……」

アリオスの姿が消えた。

時間停止じゃない。

超速で空を飛んでいる。

たぶん、ゼクシードの力だろう。

ヤツの力も手に入れていた。

そして、ここぞという時に使うため、今まで秘匿していた。

「終わりだよ」

声は背後からした。

戦況を読んで読んで読んで……

幾重もの罠を張り、理想的な戦場を作り出す。

敵ながら見事な戦術だ。

アリオスの思い描いた通りに動くしかなかった。

でも……読み合いは俺の勝ちだ。

必ずこう来ると思っていた。

とっておきの切り札を隠しておいて、ここぞというタイミングで使うと思っていた。

全部……全部、わかっていた。

俺は、短い間だけど同じパーティーにいて……

勇者であるアリオスにそれなりの憧れを抱いていたこともあるから。

ずっと見ていたから。

だから、全部わかる。

アリオス……終わりにしよう。

「ジンライ」

世界から色が消えた。音が消えた。

全てがスローモーションで動く中、俺だけが通常の時間を得る。

アリオスはこの技を知っているはずだ。

だから、俺を宙に追い込んだ。

自由に動くことができない場所で加速しても意味がない、と。

だけど、それは読み違いだ。

これまでに何度も使ってきた重力操作。

それは、単純に攻撃を避けるためだけに使っていたわけじゃない。

攻撃を避けると同時に、足場となる小さな岩を宙に飛ばしていた。

周囲に浮かんでいる小さな岩。

それを使えばアリオスに届くことができる!

「俺のありったけを……!」

宙に浮かぶ小さな岩を蹴り、アリオスの周囲を翔ける。

同時にクサナギのセカンドフォームで刃の嵐を叩きつけてやる。

そして、カムイを手にしてサードフォームへ。

この一度で、カートリッジを全て使い切る。

「これが、俺の全てだああああああぁっ!!!」

「なっ……!?」

イグニション。

全力全開の一撃をアリオスに叩き込んだ。