軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

780話 剣と剣

「蹂躙せよ!」

ジャイルの合図で騎士達が一斉に動いた。

それぞれ武器を抜いて襲いかかってくる。

体を半身に構えて、一人目の攻撃を避ける。

同時に足を払い、倒れたところに、カムイの柄で頭部を打つ。

二人目は槍を突き出してきたが、体を捻ることで回避。

槍の柄を脇で挟み、力を入れて折る。

騎士は予備の短剣を抜こうとするが、それよりも先に顎を蹴り上げて無力化した。

言葉にすると簡単だけど、あまり余裕はない。

騎士達の動きは速く、力も強い。

ミスをしたら一気にたたみこまれてしまいそうだ。

「にゃー……こいつらそこそこ強い上にたくさんいるから」

「うっとうしい」

カナデとリファは、それぞれ拳で騎士達を撃退する。

時々、ぽーんという感じで放り投げている。

それでも敵に勢いは衰えない。

次から次に騎士が現れて終わりが見えない。

「おい、レイン。ちとまずいんじゃねえか?」

アクスは鎧の隙間にカタナを叩き込む。

きちんと急所は外しているらしく、騎士達は倒れるものの命を落とすことはない。

さすがだ。

でも、手加減をしているせいで一人一人の対処にかける時間が増えて、少しずつ押し込まれていた。

それはセルも同じだ。

「まったく……厄介ね」

「ぐぁ!?」

弓を使うセルなら接近戦は苦手だと思ったのだろう。

二人の騎士が挟み込むように突撃するが、セルは弓を棍のように使い、華麗に撃退してみせた。

彼女は遠近両方をこなすオールラウンダーなのだ。

しかし、数の差に押され始めている。

戦いは始まったばかり。

でも、すでに押され始めてしまうなど、敵の方が有利だ。

やっぱり数の差は厄介だ。

おそらく、敵の目的は教会だ。

結界を破壊することで混乱を招いて、その隙にさらなる進撃を……という考えなのだろう。

そんなもの断じて認められない。

結界が破壊されたら、ある程度、魔物の侵入を許してしまうだろう。

そして犠牲が出る。

連中はそれを必要な犠牲と割り切るのだろうが……

やっていることは、なんてことはない、間接的な人殺しだ。

「悪いが……ここを通すわけにはいかない!」

ファイアーボール・マルチショット。

複数の火球を放ち、騎士達を撃退した。

さらに、クサナギをセカンドフォームへ。

複数に分かれた刃が嵐のようになって騎士達を叩く。

「おいおい、なんだよ、その武器は」

「いつの間にか新しい武器を手に入れていたのね」

「頼りになる二人目の相棒だよ」

「確かに頼もしいが……」

「苦労は続きそうね」

ジャイル率いる部隊が本隊らしい。

倒しても倒しても騎士が湧いてくる。

外で起きたという謀反は陽動なのだろう。

「おい、レイン」

アクスは騎士を蹴り飛ばしつつ、言う。

「今はこうして付き合っているが……このままだと、手加減なんてしてられねえぞ?」

「それは……」

「レインの気持ちはわかるが、剣を向けてくる以上、こいつらは敵だ。従わされているだけだとしても、手加減する理由なんてねえ。命を奪われる覚悟をするべきだな」

アクスの言いたいことはわかる。

それが正しいこともわかる。

それでも俺は……

「私はとことん付き合うわ。だから、レインの好きにしたらいい」

「おい、セル!?」

「甘いかもしれないけど、でも、それがレインでしょう? 逆に、ここで騎士を殺すようなことをしたら、それはレインじゃないわ」

「それは……」

「だから、私達はレインのサポートをするだけよ……友達としてね」

「……ありがとう、セル」

彼女の優しさがとても嬉しい。

こんな時だけど、少し泣きそうになってしまう。

「うにゃー……私の言いたいこと、先に言われちゃった」

「む、ライバル?」

もちろん、カナデとリファのことも頼りにしている。

「とにかく粘ろう。仲間が応援に来てくれるはずだ」

「ったく、仕方ねえな。セルが言うから、とことん付き合ってやるよ」

「私が言わなくても、今のあなたなら付き合ったでしょうに」

「そ、そんなことねえよ!」

「ツンデレにゃ」

「ツンデレだね」

「うるせえ!?」

カナデとリファのツッコミに、アクスは顔を赤くするのだった。