軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

763話 許せない

シフォン達もまた、国に要請されて王都に戻ってきたらしい。

俺達と同じく、冒険者狩りの対応のためだろう。

ただ……

移動の途中で襲撃を受けた。

シフォン達は勇者パーティーだ。

過酷な任務を繰り返して、そのおかげというべきか、日々、成長している。

シフォン達は難なく襲撃者を撃退。

捕縛して、その目的を問いただそうとした。

しかし……

「襲撃者の中に魔族がまぎれていたの」

「魔族が!?」

「さすがに、王都に近いところで魔族が現れるなんて思っていなくて……ううん、油断だね。そのことを見抜けなかったせいで、私のせいで二人は……」

シフォンは悔しそうに唇を噛んで。

それと同時に、悲しそうに目を伏せつつ、ベッドに寝ているショコラとミルフィーユを見る。

「二人の容態は?」

「命に問題はないよ。ただ、妙な毒を受けたみたいで、目を覚まさないの……」

「そう……か」

俺もその場にいたら、と考えるのは傲慢だろうか?

ショコラとミルフィーユは一緒に旅をしたことがある。

背中を預けて戦ったこともある。

だから、こんなことになってしまっているのが悲しい。

「その魔族は?」

「……わからない。ショコラとミルフィーユを不意打ちで倒した後、すぐに逃げたの。もしかしたら、最初から私達が狙いだったのかも」

「ありえますわね」

おとなしく話を聞いていたイリスが、そう言う。

「シフォンさんは勇者。そして、ショコラさんとミルフィーユさんはその仲間。魔族に狙われる理由は十分ではないでしょうか」

「そうだよね……そういう危険性があるはずなのに、私は……」

「慰め、っていうわけじゃないけど、シフォンがそこまで気にすることはないと思う。こう言うのもなんだけど、仕方ないことだ」

「どういうことですの?」

「シフォンが考えていたように、王都の近くに魔族が現れるなんて、普通はありえない。密偵として忍び込んでいる者はいるかもしれないけど、堂々と勇者を襲うなんて、無茶がすぎるだろ」

「それは……まあ、そうですわね」

「たぶん……冒険者狩りと関係しているんだろうな」

最初は、冒険者を疎ましく思う犯罪組織などが冒険者狩りを行っていると思っていたのだけど……

シフォンの話を聞いて考えを変える。

偶然、魔族が現れて攻撃をしかけてきた。

そんな偶然、あるわけがない。

冒険者狩りと関連していると考えるのが自然だ。

あるいは、冒険者狩りの犯人が魔族という可能性も……

「ふぅ……どうにもきな臭くなってまいりましたわね。この事件、闇が深そうですわ」

「たい、へん」

「……どれだけ闇が深いとしても」

シフォンが言う。

「私は、絶対に犯人を見つけてみせる。そして、報いを受けさせる」

シフォンは怒りに燃えていた。

大事な仲間を傷つけられて、これ以上ないほどに怒っている。

その気持ちはよくわかる。

俺も、かつてタニアが傷つけられた時は我を忘れてしまった。

だからこそ……

「シフォン、落ち着いて」

「……あ……」

そっと、彼女の手を握る。

「怒るな、なんて言わない。でも、怒りに飲み込まれたらダメだ」

「……レイン君……」

「そんなことになったら、大体、良い結果にはならないからさ。俺、そのことを仲間に教えられたから……だから、シフォンも落ち着いてほしい」

シフォンは難しい表情に。

頭では理解していても、感情が追いつかないのだろう。

それもよくわかる。

でも……

彼女は一人じゃない。

俺がそうだったように、周囲にいる人が止めてくれる。

「俺も手伝うよ」

「レイン君が……?」

「冒険者狩りを解決してほしい、っていう依頼を請けたから。今回の件、関係ないとは思えないし……例え関係がなかったとしても力になりたい」

「どうして、そこまで……」

「友達だろう?」

「……っ……」

シフォンは、はっとした様子で息を飲んで。

それから、瞳に涙を溜めて。

でも、それらを流すことはなくて、代わりに笑みを浮かべる。

「ありがとう」

にっこりとした、太陽のような笑顔。

うん。

やっぱり彼女は笑顔がよく似合う。

「……ふぅ、レインさまは、そうしてたらさないと気が済まないのでしょうか?」

「むぅ」

イリスは呆れた様子で言い、なぜかニーナは不機嫌そうにしていた。

って……

ニーナが不機嫌になるなんて、初めて見たような?

「えっと……ニーナ? ど、どうしたんだ?」

「……なにも、ない」

「でも……」

「ぷぅ」

なにもないと言いつつ、ニーナは頬を膨らませる。

これも初めてだ。

は、反抗期?

どうすれば……ノキアさんに相談を?

「あらあら」

不機嫌そうになるニーナを見て、イリスはなにか察した様子で楽しそうに笑う。

「イリス? これは……」

「わたくし、だいたいのところは察してしまいましたが……秘密ですわ♪」

イリスは人差し指を唇に当てて、そう言うのだった。