作品タイトル不明
759話 頼れるのは友達
「……なる、ほど」
ラウドネアで起きたこと。
ラインハルトが語ったこと。
それらを話し終えると、ユウキはとても難しい顔になった。
魔族の真実。
それと、四天王が動いていたという事実に頭を悩ませているのだろう。
……そう思っていたのだけど。
「ごめん……本当にごめん、レイン」
「え?」
「まさか、レインの家族や村の人が一時的に蘇っていたなんて……そして、また別れを……本当にごめん。辛かったよね、悲しかったよね……」
「……」
なんていうか、こう……言葉が出ないくらい驚いてしまう。
魔族の真実に驚くわけではなくて。
四天王が動いていたことに警戒するわけでもなくて。
ユウキは、ただただ、俺のことを心配してくれていた。
たくさんの情報よりも俺の方が大事と、そう、心配してくれていた。
ああ、もう。
それは反則だろう。
ちょっと泣きそうになってしまう。
俺は、本当に良い友達を持った。
「俺は大丈夫」
「でも……」
「むしろ、ちゃんとお別れをすることができて良かったくらいだから。だから、大丈夫だ」
「……そっか」
ユウキは優しく笑う。
俺の言葉が強がりでも気を使ったものでもなくて、本心からのものだと理解したのだろう。
「それよりも、これからのことを考えないと」
「そうだね……でも、その話は本当なのかい?」
そう言ってから、ユウキは慌てた様子で手を横に振る。
「あ、いや。レインの言うことを疑うわけじゃないんだ。嘘を吐いているなんて思ってもいないよ? ただ……」
「わかるよ。あまりにも突拍子もない……というか、今までの常識や価値観を根本からひっくり返すような話だからな」
すぐに信じられないのも無理はない。
「苦労して持ち帰ってきてくれた情報だけど、これ、公表はできないね……」
「ああ。そんなことをしたら、とんでもない混乱が起きる」
信じる人、信じない人。
たくさんの反応が出てくるだろう。
不安は不信を呼んで。
不信は混乱を招く。
最悪、国が傾いて、そのまま崩壊するだろう。
それほどまでに危ない話なのだ。
「この件、ちょっと預からせてもらっていいかな? 父さんや姉さん……王や王女を含めて、色々と考えてみるよ」
「了解。元よりそうなるだろうな、って思っていたから問題はないよ。ただ……」
「うん。この話が真実なら、僕達は……人間は、どうにかして魔族と和平を結ばないといけない」
よかった。
ユウキも俺と同じ結論に達していたみたいだ。
王やその他の人がどう考えるか、そこは不明だけど……
どうにかして良い方向に転がってほしいと願う。
「レインは……これからどうするんだい? 一冒険者というには、あまりにも多くの事件に深く関わりすぎたと思うんだけど……」
「俺は……」
目を閉じて考える。
勇者に誘われたことがあった。
でも、仲間が一番なので断った。
以来、ただの冒険者であることを望んだ。
そうすることで仲間を守り……
また、そうすることでしか成し遂げられないこともあると信じていたから。
でも、ここにきて大きく事情が変わった。
俺のこと。
最強種のこと。
魔族のこと。
色々なことを知り、いつまでもそこから目を逸らすわけにはいかない。
真正面から向き合わないといけない。
目を開けて、答えを告げる。
「俺は、魔族との和平を目指すよ」
「そっか……うん、レインらしいな」
「俺になにができるかわからないけど、でも、諦めることだけはしたくない。ケンカをしたとしても、仲直りをすることができる……って、そんな簡単な話じゃないけどさ。でも、可能性を諦めたくないんだ」
「オッケー。僕も、レインのことを全力で応援するよ。もちろん、支援もする」
「ありがとう。ユウキが協力してくれたら百人力だ」
これからの決意を示すように。
互いの想いを交換するように、ユウキとしっかりと握手をした。
「それで……」
ユウキが申しわけなさそうな顔をした。
「戻ってきて早々、本当に申しわけないんだけど……」
「うん?」
「依頼をしたいんだ。Aランク冒険者であるレインに対する依頼」
「……話を聞こうか」
ユウキの性格からして、しばらくゆっくりしてほしい、と言うはずだ。
それをしないで依頼を重ねてくるということは、よほどの緊急事態なのだろう。
「実は……ここ最近、冒険者狩りが起きているんだ」