軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

745話 それはできない

「どういうことなんだ? いない、っていうのは……」

「今はまだ、これ以上を話すつもりはない」

明確な拒絶が返ってきた。

仲間になっていないから話さないのではなくて……

ラインハルト自身、その話をしたくないと拒んでいる様子だった。

「今の話を知りたいのなら……最後の最強種のところへ行け」

「ダンジョンで見た、十番目の……?」

「そうだ。彼女は全てを知っている」

ラインハルトが背を向ける。

「待て!」

「お前を仲間に誘うには、時期尚早だったみたいだな。また来る」

「だから一人で勝手に話を完結させるな! 俺は、まだまだ聞きたいことが……!!!」

必死に呼び止めるものの、ラインハルトは振り返らない。

そのまま離れていき……

魔法のように、ふっと消えてしまうのだった。

以前も、そして子供の頃も神出鬼没だったな。

彼もビーストテイマーで、最強種と契約を結んでいる。

その能力なのだろうか?

「人間を滅ぼすとか……なんで、そんな結論になるんだよ……」

――――――――――

「……って、いうことがあったんだ」

村へ戻ってみんなと合流して、一部始終を話した。

「にゃー……人間を滅ぼすとか、本気なのかな?」

「あたしは本気だと思うわ。冗談で言うことじゃないでしょ」

「それはそうだけど、でも、そんなこと……勇者が考えるなんて……にゃふぅ」

「カナデの気持ちもわからんでもないけどなー。勇者だから、って考えても意味あらへんよ? 勇者は誠実、なんてパターン、どこかの誰さんがめっちゃぶち砕いてくれたやん」

「「「あーーー」」」

カナデ達が納得の表情に。

彼女達は誰を思い浮かべたのか?

一応、そこにはつっこまないでおいた。

「彼との面識はほとんどないのですが、わたくしは、その気持ちはわかるような気がしますわ」

「……イリス……」

「レインさまのおかげで、人間の全てが愚かではないとわかりましたが……それでもまだ、整理しきれない気持ちがありますもの」

イリスは神妙な顔をして、そっと胸元に手をあてた。

その奥……心に渦巻いている感情は、彼女にしかわからなくて彼女だけのものだ。

なにも言うことはできない。

「レインは、どうするつもりなのか?」

「もしかして、ラインハルトに協力するのですか?」

「しないよ」

ソラとルナに即答してみせた。

人間はひどいことをしていると思う。

しかも一度だけじゃなくて、何度も何度も繰り返している。

どうしようもないかもしれない。

存在するだけで罪なのかもしれない。

でも……

「死ぬことが正しいなんて、そんなことは考えたくないんだ」

そんな悲しい答えを認めたら、自分自身も否定してしまうような気がした。

俺は、父さんと母さんに助けられた。

レイチェルや村のみんなに助けられた。

この命は、みんなにもらったようなものだ。

それなのに、それを否定するようなことはできない。

絶対に。

「ただ……」

「にゃ?」

「この世界がどうなっているのか、それは知っておかないといけないと思う」

ラインハルトは言った。

十番目の最後の最強種に話を聞くといい……と。

「どんな答えが待っているのか、まったく想像できないけど……でも、俺は知らないといけない。ダメだと思うんだ」

「そ、そうですね……ワタシもそう思いましゅ!」

「ボクも同じかな」

「でも……どこに、いるのかな?」

ニーナの疑問に、みんなが小首を傾げた。

ちょっと意外な反応だった。

「えっと……もしかして、みんな、まったく心当たりがない?」

「僕、知らない……わふぅ」

「むう……十番目の最強種とか、聞いたことないのだ」

「ソラも知らないですね。それなりに本を読んでいるため、知識はあると自負していたのですが……」

「わたくしも聞いたことがありませんわ。今も昔も」

「うーん」

手がかりはゼロか。

せめて、その種族の名前だけでも教えてくれればよかったのだけど……

とはいえ、これはラインハルトからの挑戦かもしれない。

これくらいも調べられないようでは話にならない、っていう感じの。

「……ひとまず、一度、ホライズンに戻ろう。そこで情報収集をして、それから王都に向かおう」

「にゃん? 王都に?」

「今回の話、王に伝えておいた方がいいだろうからな」

それと、確認もしたい。

魔族の真実……王は、そのことを知っていたのかどうか。

「……ねえねえ、レイン」

カナデがちょっと気まずそうな顔で尋ねてくる。

「あのね……この村は、どうするの?」