軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

720話 血の繋がり

「えっと……?」

「なんでもない、気にするな」

小さな俺はよくわからなかったらしく、キョトンとするけど……

「レイン、今の……」

「……ごめん、なにもわからない」

今のセリフ……

その意味を考えると、辿り着く答えは一つだ。

俺は……ラインハルトの血を引いている?

血といえば、勇者の……神の血だ。

そうなると、ラインハルトも同じ……?

いや。

でもラインハルト、数世代前の勇者パーティーにいたらしい。

勇者ではないけれど、勇者の血を引いている?

わかるようでわからない話だ。

謎が深まり、軽く混乱してしまう。

「こんなところでなにをしている?」

俺達の戸惑いをよそに、目の前の光景はどんどん先へ進んでいく。

「……」

「だんまりか?」

「……知らない人と話したらダメ、って言われていますから」

「そうだな、知らない人になるだろう。ただ……いや、なんでもない」

ラインハルトはなにかを言いかけて、すぐにやめた。

その言葉の続きが気になるけど、こちらから問いかけることはできない。

「ふむ。見たところ、ビーストテイマーの訓練か」

「ど、どうしてわかったんですか?」

「簡単な話だ。俺も、ビーストテイマーだ」

「えっ」

幼い俺は目を大きくして驚いた。

その瞳には、ラインハルトに対するわずかな親近感が生まれている。

しかし、すぐに疑惑の色で塗りつぶす。

「……本当ですか?」

「本当だ」

「なら、証拠を見せてください」

でないと、信用することはできないし、話をすることもしない。

小さな俺は、そんな態度を見せて……

ラインハルトは苦笑しつつ、未だにケンカを続けていた犬と猫に近づいた。

「止まれ」

「「ッ!?」」

たった一言で、犬と猫はケンカを止めて、ピシリと姿勢を正した。

そのままの姿勢を維持して……

「来い」

次の合図で、それぞれラインハルトの足元に駆け寄る。

そのまま体を擦り寄せて甘え始めた。

「わぁ……」

小さな俺は感嘆の声をあげた。

ラインハルトに対する警戒はあっさりと消えて、逆に、憧れの感情が浮かんでいる。

それも仕方ない。

この頃の俺は、訓練がなかなかうまくいかなくて、行き詰まっていた時だ。

だから、こんなにも鮮やかに動物をテイムされたら、警戒なんて吹き飛んでしまう。

憧れ以外の感情なんて浮かんでこない。

「す、すごいです! 俺の言うことはぜんぜん聞いてくれないのに、たった一言で……」

「それはお前の力量不足だな」

「あぅ……」

ズバリと指摘されて、小さな俺は肩を落とす。

そんな小さな俺を見て、ラインハルトは苦笑した。

「そう嘆くな。確かに力量不足だが、子供なのだから仕方ない」

「……子供だから、なんて言葉で納得したくないです」

「そうか。なら、俺の訓練を受けてみるか?」

「え?」

「見ての通り、俺もビーストテイマーだ。それなりの腕であるという自負がある。人にものを教えるのは初めてだが……まあ、なんとかなるだろう」

小さな俺は目をパチパチとさせて、不思議そうに小首を傾げる。

「あの……どうして、そこまでしてくれるんですか?」

「そうだな……」

ラインハルトは遠い目をした。

「……この村とは、それなりの縁があるからな」

「???」

「気にするな。で、どうする?」

「……」

小さな俺は小首を傾げつつ、考えた。

ラインハルトは知らない人だけど、でも、ビーストテイマーであることに間違いはない。

しかも、凄腕。

そんな人に師事すれば、もっともっと上手になれる。

でも、知らない人に師事していいのか?

後で問題にならないか?

……そんな感じで、小さい俺は悩んでいるようだ。

じっくりたっぷり考えて、ほどなくして答えを出す。

「お願いします!」

小さな俺は大きな声で言って、ぺこりと頭を下げた。

「……」

その光景を見て、俺はひどい違和感に襲われていた。

小さな俺がラインハルトに師事する。

色々なことを教えてもらう。

「そんな記憶……ない」

これだけ強烈な印象があれば、そうそう簡単に忘れることはない。

仮に忘れたとしても、この光景を見たらすぐに思い出すだろう。

でも、今、俺の頭の中にはこんな光景は記録されていなくて……

なんでだ?

どうして、俺はこの出会いを覚えていない?