軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

696話 最奥で見つけたもの

サクラの両親が囚われていた、この部屋。

サクラの両親以外に大きな気配がしていた。

それは、奥から伝わってくる。

これ以上のトラブルはごめんなんだけど……

とはいえ、無視するわけにはいかない。

敵が潜んでいたら不意打ちを喰らうかもしれないし……

あるいは、この研究所に関する重要な情報が隠されているかもしれない。

「サクラは俺の後ろに」

「うん」

サクラを背中にかばいつつ、隠し扉の奥へ。

まずは細い通路。

人が二人並んで通るのが精一杯、という感じかな?

通路はまっすぐ伸びていて、そして長い。

それと、わずかに傾斜がついていて、地下に向かっているようだ。

そのせいで先が見えない。

「サクラ、気をつけていくぞ」

「気をつける! 僕に任せる!」

「うん?」

「嫌な気配、悪い臭い、わかる!」

「そっか。なら、なにかあったら教えてくれると助かるよ」

「任せて!」

サクラと一緒でよかったかもしれない。

警戒しつつ進み……

でも、何事もなく最奥へ辿り着いた。

細い通路の果てに小さな扉。

鍵はかかっていない。

ただ、中からうっすらとだけど気配がする。

誰かいる?

昆虫などをテイムして先に調べておきたいところだけど、あいにく、なにも見つからない。

「仕方ないか」

最大限の警戒をしつつ扉を開けた。

小さな部屋だ。

壁や天井は球状になっていて、うっすらと光っている。

そして、部屋の中央に大きなカプセルが。

中は透明な液体で満たされていて……

「この子は……?」

見知らぬ女の子がカプセルの中で眠っていた。

歳は俺やカナデと同じくらいだろうか?

髪は夜空のように鮮やかな黒だ。

腰に届くほど長く、癖があるのか、ところどころ毛先が跳ねている。

特筆すべきは、女の子に角と翼と尻尾が生えていることだ。

角は頭の左右に二本。

槍のように鋭く、歪に湾曲している。

背中の翼とお尻の尻尾は悪魔のよう。

というか、それ以外の表現が思い浮かばない。

それくらい、まんま、な翼と尻尾だ。

この子は……

「魔族……だよな?」

角が生えているから鬼族という可能性もあるけど……

でも、翼と尻尾が生えている鬼族なんて知らない。

鬼族は多種多様の形態があるから、俺が知らないだけかもしれないけど……

でも、その身にまとう雰囲気が違うんだよな。

「レイン、こいつ、敵か?」

「えっと……」

どうしよう?

理由と経緯はまったくわからないけど、魔族の女の子はここに捕まっているみたいだ。

魔族だけど……

「……助けよう」

西大陸に行った時のことを思い返した。

アルテラとか、とんでもないヤツと戦ったけど……

でも、カシオンやジルオールとか。

その他の普通に暮らしている魔族とか。

全ての魔族が悪じゃないことを、今の俺は知っている。

なら、この女の子も……

「サクラ、後ろへ」

「うん」

「よい……しょっ」

カムイの柄でガラスのカプセルを叩き割る。

ザァアアアと液体があふれてきて、すぐ後ろに下がった。

そっとハンカチを浸してみると、変色することはなくて、ただ濡れただけ。

毒性はないみたいだ。

「一応、サンプルをとっておくか」

ポーチから小瓶を取り出して、液体をすくっておいた。

「それで……」

液体が全部抜けたところで、女の子を救い出した。

そっと上着をかけて、それから抱き上げる。

「……うぅ」

かすかなうめき声。

よかった。

生きているみたいだ。

色々と疑問はあるけど……

ひとまず、この子の保護を優先しよう。

「レイン、大丈夫?」

「ああ。衰弱しているみたいだけど、怪我はしてなさそうだ」

「違う。そいつ、暴れない?」

「あ、そっちの心配か。まあ、可能性はあるけど……その時はその時だ。なんとかすればいいさ」

それよりも、この子を見捨てる方が嫌だ。

「レインらしい」

「そうか?」

「うん」

サクラがにっこりと笑い、どこかうれしそうに抱きついてきた。