作品タイトル不明
672話 敵なのか味方なのか
アリオスを殺すことが目的と言うラインハルト。
しかし、彼の口調に怒りや憎しみは感じられない。
そういうものよりも、義務感……と言った方が正しいだろうか?
そうしなければいけない。
そうする必要がある。
自分の感情が介入することはなくて、義務だから殺さないといけない……そんな感じ。
「アリオスを殺す目的は……」
「そこまで話す必要性は感じられないな」
「だよな」
一から十まで全部教えてくれるほど親切ではないか。
わかっていたことだけど……
残りの謎は、自分達で解かないといけないみたいだ。
「もういいな?」
「……最後に一つだけ」
立ち去ろうとするラインハルトの背中に、問いを投げかける。
「あんたは……俺達の味方なのか? それとも敵なのか?」
「……」
ラインハルトはなにも答えず、そのまま立ち去った。
――――――――――
あれから一週間。
ホライズンの復興はだいぶ進んだ。
本来なら数ヶ月単位の時間を必要とするが……
みんなの活躍もあって、瞬く間に修繕が進んだ。
でも……
失われた命は戻ってこない。
たくさんの人が怪我をして。
そして……いくらかの犠牲者も出てしまった。
俺にもっと力があれば。
アルトリウスの企みにもっと早く気づいていたら。
悔やんでも悔やみきれないけど……
でも、後ろを向いていても仕方ない。
前を向いて、今、できることをやっていこう。
そして……
――――――――――
家の裏手にある広い丘。
その一角に、小さな墓が作られた。
ミナの墓だ。
「「「……」」」
みんなで黙祷を捧げる。
彼女は未だ罪人のまま。
その遺体は国に引き取られたけれど、まともに埋葬されることはないだろう。
国を揺るがした罪人として、ひどい扱いを受けるだろう。
確かに、ミナはたくさんの過ちを犯した。
取り返しのつかないことを重ねて、罪を増やしてきた。
それでも……
最後は、まっすぐ前を向くことができた。
自らの命を犠牲にしてエリスを救う……その覚悟を見たから、これ以上、ミナを責めることはできない。
だからせめて、ここに墓を作ることにした。
街を一望できる綺麗な場所だ。
少しでも安らいでほしい。
「うん」
葬儀は終わり。
ミナの魂がどうなるか、それはわからないが……
少しでも良いところで眠ってほしいと思う。
「にゃー……なんかずっと真面目な顔をしていたせいか、お腹が空いちゃったよー」
「カナデはいつも腹ペコだよね。ボク、知ってる」
「お腹が減ってないカナデなんてカナデじゃないでしょ」
「私、どんな風に見られているの!?」
いつのもの調子で、みんなはワイワイと楽しそうにおしゃべりをする。
ようやくいつもの日常が戻ってきた感じがした。
「やっほー、レイン君」
「ご無沙汰しております」
シフォンとエリスが姿を見せた。
勇者と聖騎士として色々とやらなければいけないことがあるらしく、アルトリウスを倒して以来、会っていなかった。
「二人共、いらっしゃい。こうして顔を出してくれたってことは、少しは落ち着いたのか?」
「少しだけどね。また明日から、あちらこちら回らないといけないんだよね……とほほ、今日も睡眠時間は三時間になりそう」
「お、おつかれ……」
俺は普通に寝ているから、ちょっと申しわけない感じになってしまう。
「エリスは……」
「レインさん達の様子を見に来たという理由もありますが……今日の私とシフォンさんの役目は護衛です」
「護衛?」
「こちらの方々の護衛です」
その言葉を合図にして、エリスとシフォンの後ろから二人の人影が。
それは……