軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

670話 正さなければいけない

「この世界は腐っている! だから、正さなければならないのだ!!!」

そう叫びつつ、アルトリウスは四体の天使をもう一度召喚して、それから一斉に同時に突撃させた。

脅威的な速度。

圧倒的な火力。

彼の召喚術士としての実力は本物だ。

でも……

「うー……にゃんっ!」

「うっとうしいわね!」

覚醒状態のカナデが火の天使を殴り飛ばした。

火の天使が何度もバウンドしつつ地面を転がり……

そこに、タニアのドラゴンブレスが炸裂する。

敵が強い力を持っているのなら、さらに強い力で瞬殺してしまえばいい。

そう言いたそうな乱暴な戦い方だけど、この場合は正解だ。

常に先手を打ち、敵の行動を許さない。

そうすることで優位に立つことができる。

それと、すでに二度目の対戦だ。

みんな、攻略法を確立したらしく、軽くあしらっている。

「エリスさん!」

「はい!」

風の天使と対峙するシフォンとエリスは、即興のコンビネーションを披露した。

左右から挟み込むように駆けて、同時に剣を振る。

タイミング、軌跡……共にバッチリだ。

風の天使の翼が断ち切られ、地に落ちる。

「オフィーリア、合わせろ」

「イエス、マスター」

ラインハルトの両手に持つ短剣が閃いた。

その軌跡を読むことができない。

超高速の斬撃が、地と水の天使をまとめて切り刻み……

「来たれ、終焉の白撃」

オフィーリアが極大の閃光を放つ。

一応、周囲に配慮しているらしく、建物に被害が出ることはない。

ただ、天使達は別で……

神の鉄槌のごとき一撃を受けて、共に崩れ落ちた。

「バカな……」

召喚した天使達がやられ、アルトリウスが呆然とする。

その隙を逃すことはない。

「アルトリウスっ!!!」

ブースト。

それと、重力操作を応用した加速。

一気にアルトリウスの懐に潜り込み、クサナギの刃を叩きつける。

「このっ、俗物共が!!!」

天使達がやられても、アルトリウスは抵抗をやめない。

諦めない。

正義はこちらにあるのだと、そんな光を瞳に宿しつつ、必死の抵抗を繰り広げる。

アルトリウスが杖を振る度に、過剰に込められた魔力が溢れ出して、周囲を破壊していく。

「みんな!」

「にゃっけー!」

「なによ、その返事?」

「にゃー、と、おっけーを足したんだよ」

「お願いだから、カナデ語を作り出さないでちょうだい」

よくわからないやり取りをしつつ、カナデとタニアが、アルトリウスの魔力の余波をかき消してくれる。

シフォンとエリスもそれに加わってくれて……

ラインハルトとオフィーリアも協力してくれた。

最後は任せた。

そう言ってくれているかのようだ。

「私は正しいのだ! このようなところで正義が負けるなど、ありえぬっ!!!」

「お前の正義を誰が肯定した!? 誰も受け入れていないだろう! ただ単に、お前が勝手に喚き散らしているだけだ!」

「自分でものを考えられず、周囲に流されるだけ! 罪を犯したとしても、涙を流して謝罪すれば、全て解決すると思っている! そのような愚者達は、私が導かなければいけないのだ!!!」

「そんなこと誰も頼んでいない! 押し付けでしかないんだよ!」

俺のクサナギ。

アルトリウスの杖。

互いに攻撃を繰り出して……

その速度はどんどん増していく。

交差する回数が増えて、激音が何度も何度も響き渡る。

「私が……私が正義なのだっ!!!」

「ふざけるな!」

その言葉だけは、どうしても許すことができない。

ミナを道具として、最後まで利用しようとして……

そして、彼女の尊い最後を侮辱した。

「ミナの死を笑ったヤツが正義であってたまるものかっ!!!」

クサナギをセカンドフォームへ。

刃を分離させたところで、奥の手……ジンライを発動。

世界から色が消えて、全ての動きがゆっくりとスローになる。

停滞した時間の中、俺だけが動いて、アルトリウスに迫る。

ステップを踏むようにして、手前でくるりと回転。

その勢いを乗せて、ヤツの脇腹に回し蹴りを叩き込む。

さらに攻撃を。

クサナギの柄を下から上に跳ね上げて、アルトリウスを直上に叩き上げる。

そうして無防備になったところで、分離させた刃を操作。

一斉に、何度も叩き込む。

そして……時間が元に戻る。

「がぁっ……!!!?」

アルトリウスは悲鳴と共に血を吐いて……

そして、勝負は決した。