作品タイトル不明
669話 勝手に決めるな
「アルトリウスっ!!!」
「くっ!?」
ヤツの懐に潜り込み、クサナギで斬りかかる。
アルトリウスのメインは召喚術師。
接近戦は苦手だろうと踏んでいたが……
それは早とちりだったようだ。
右から左へ。
跳ね返り、再び右へ。
斜め下に斬り落として、そして、直上に跳ね上げる。
ありとあらゆる角度から切り込んでみるものの、アルトリウスはその全てを防いでみせた。
さすが、というべきか。
教会のトップであり、その権威を保つためにありとあらゆる手段に手を染めて、自身をキメラという化け物にした。
そこまでの執着、執念。
恐ろしいものだ。
でも……
「お前のようなヤツに負けてたまるかぁあああああっ!!!」
「ぐっ!?」
激情に心を支配されるものの……
しかし、頭はクールに。
決して無茶をすることはなく、敵の隙を探り、ミスを誘い……
段階を踏むように、一つ一つ追いつめていく。
自身の劣勢を悟ったのか、アルトリウスは苦い表情に。
「これほどの力を持っているというのに、大義を理解できないか!」
「ふざけるな! あんたのどこに大義がある!?」
自分の野望を叶えるために、街を一つ、巻き込んで。
それだけじゃなくて、ミナを道具のように使い捨てて。
「あんたは、人をなんだと思っているんだ!?」
「全ては、より多くの人々を救うためなのだ。我が教会が導き手となり、祝福を与える。そのためには多少の犠牲はやむをえないのだよ! 百人を救うか、一万を救うか。どちらかしか選べないのならば、誰しも後者を選ぶだろう?」
「あんたっていう人は……!!!」
アルトリウスは語る。
自身の正しさについて語る。
その表情からは、絶対的な自信が伺えた。
自分が出した答えに疑問を持つことはなくて、間違いはないと信じて。
ミスなんて犯していないと断言してみせる。
それは、かつてのミナを見ているかのようだった。
そうか。
コイツのせいで、ミナは歪んでしまったのか。
洗脳に近い教育を施して、それで……!
「愚かな民を私が導かなければいけないのだ!!!」
「そんなもの……勝手に決めつけるなっ!」
クサナギをセカンドフォームへ。
無数の刃をコントロールして援護をしつつ……
左手に抜いたカムイで猛攻をしかけていく。
「大義を持たず、大局を見ることもできない愚物が!」
「上から見下ろすばかりで、下に来たこともないヤツが!」
さすが、というべきか。
あれだけの召喚術を使うだけあって、アルトリウスの力は本物だった。
杖と魔法を匠みに駆使して、こちらの攻撃をしのいでみせる。
召喚された天使よりも、アルトリウスの方が力は上。
今は俺が有利に戦闘を運んでいるものの、いつ逆転されてもおかしくはない。
ただ……
「アルトリウス・グレイゴム!!!」
「ぐっ!?」
エリスが戦場を駆け抜けて、アルトリウスに斬りかかる。
もう少し、というところで、刃は杖に弾かれてしまう。
蘇生したばかり。
本来なら立っているのも辛いはずなのに……
しかしアルトリウスを許してはおけないと、怒りが彼女を突き動かしていた。
でも、これで二対一だ。
「エリス! 貴様まで私に歯向かうつもりか!?」
「私はあなたの駒ではありませんっ!」
「どいつもこいつも……おのれおのれおのれぇっ、愚物のくせにぃいいいいい!!!」
余裕をなくした様子で、アルトリウスは苛立たしそうに叫ぶ。
そして、杖を一振り。
それを合図として、召喚された四体の天使が全てアルトリウスの元に集結した。
余力を残すことはない。
全力で迎え撃つつもりなのだろう。
でも、
「にゃー……私、あいつ、すっごい嫌い」
「同感ね。さっさとぶっ飛ばしましょう」
カナデとタニアが。
「行きがけの駄賃だ。教会を叩き潰しておくぞ」
「かしこまりました、マスター」
ラインハルトとオフィーリアが。
「レインさん、行きましょう」
「ああ!」
そして、俺とエリス。
みんなが揃い、こちらも万全の状態だ。
ここで決着をつける!