作品タイトル不明
640話 今後のこと
ミツキとアリエイルという、予想外の敵と遭遇して、交戦したものの……
なんとか二人を退けることができた。
そして、ミナの確保に成功。
その上、ヴェルグの捕獲もできた。
作戦は大成功なのだけど……
「どうしたんや、レインの旦那?」
家に戻る途中、ティナに話しかけられた。
微妙な表情をしていることが気になったのだろう。
「それは……」
「ミツキとアリエイルのことを気にしてるん?」
「ティナに隠し事はできないな」
「レインの旦那がわかりやすすぎるんや」
「……あの二人の、というか、ラインハルトはなにを目的としていたのかな、って」
ミツキとアリエイルは、ラインハルトと契約を交わしている様子だ。
なら、ミナを確保しようとしたのはラインハルトの意思。
彼は、なにを思いミナと接触したのだろう?
確保して、なにをしようとしたのだろう?
気になって仕方がない。
ラインハルト。
今後の局面は、彼が関わることで大きく動くような気がした。
「ま、今は情報が足らんからなー。考えても仕方ないで」
「そうだな。考えすぎても混乱するだけか」
「せやで。頭の片隅に留めるくらいにしといて、今は、別の問題を片付けるべきやな」
「ああ、わかっているよ」
ラインハルトの動きは気になるものの、そちらに気をとられすぎてはいけない。
ミナを確保した。
ヴェルグも捕らえることができた。
今は、こちらの問題を優先しよう。
――――――――――
家に戻り、みんなと合流した。
ギルドで話をした方がよかったのかもしれないけど……
内容が内容だけに、人払いをしないといけない。
迷惑をかけてしまうし、それに、この家もリフォームをしたことでわりと頑丈だ。
いざという時は簡単な砦として機能するように設計されているし、家に戻る方が正しいだろう。
「さて……」
みんなが揃い……
そして、その中央に拘束されたミナが。
もちろん、身体的な拘束だけじゃなくて、魔力の封印も行っている。
ミナはこちらを睨みつけることしかできない。
ちなみに、ヴェルグという魔族は別室で尋問が行われている。
メンバーは、ティナ、ニーナ、ノキアさん、イリス。
それと、ショコラとミルフィーユとサクラとフィーニア。
なにが起きてもいいように、ヴェルグの方に人員を割いた形になる。
「改めて、久しぶり……と言うべきかな?」
「……そうですね。まともに言葉を交わすのは、王都の一件以来でしょうか? いえ……あの時もまともに話をしていないので、レインさんを追放した時以来ですね」
意外というか、ミナは普通に話に応えてくれた。
だんまりを決め込まれるかと思ったけど、そうでもないらしい。
対話をする意思があるのか。
それとも、恨み節をこぼすだけなのか。
どちらなのかまだわからないけど、ひとまずは話を進めていこう。
「旧交を温める、っていう感じでもないから、話を先に進めさせてもらう。ミナは、人間と魔族の和平を考えていると言っていたが……もう一度、確認する。それは本当か?」
「はい」
短い返事。
しかし、迷うことのない即答だった。
「意外に思われるかもしれませんが、魔族は破壊だけを好む種族ではありません。言葉を交わすことができます。互いを信じることができれば、きっと道は開けるでしょう」
以前の俺なら、そんなバカなとミナの言葉を否定していただろう。
でも、今は違う。
西大陸に渡ったことで、ミナの言葉が正しいことを知っている。
一部の魔族は、俺達人間と大して変わらないことを知っている。
ただ……
「ミナの言いたいことはわかった。魔族のことも、俺なりにある程度、知っているつもりだ」
「なら……」
話が通じるかもしれないと、ミナは顔を明るくするが、
「ただ……ミナと一緒にいるのは、リースっていう魔族なんだよな? あと、モニカも一緒にいる」
「そ、そうですが」
俺の表情が変わったことに、ミナは戸惑いを見せていた。
はあ、とため息を一つ。
それから首を横に振る。
「ミナと協力することはできない」
「なっ……ど、どうしてですか!? あなたは、このまま戦争が続くことを望んでいるのですか!? この争いを止めることこそが、私達勇者の役目で……」
「元、なのだ」
「っ」
ニヤリと笑いつつ言うルナに、ミナはとても苦い顔をした。
王都の一件をまだ根に持っているのだろう。
「ミナさん」
シフォンが前に出る。
「人と魔族の戦争を終わらせないといけない。それは、私も同じことを考えているよ。ずっと昔から続いていて、いつまで続くかわからない、この戦争……こんなことはどこかで終わらせないといけない。相手を討つとか、そんな形じゃなくて、互いに納得できる形で剣を収めないといけないと思うの」
「なら……!」
「でも、ミナさんは信用できない」
一切の遠慮をすることなく。
むしろ、圧すら放ちながらシフォンはそう言い放った。
「私はミナさんのことを知らない。レインくんにひどいことをして、他にも、色々とやらかしてきて……そんなことしか知らない。悪い人、っていうイメージだよね。そんな人の言葉をすぐに信じられると思う?」
「それ、は……」
自覚はあるらしく、ミナは言葉に詰まる。
なにも言い返せない様子で、うつむいてしまう。
そんなミナに……シフォンは手を差し出した。