軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

639話 なにやってるの?

ニーナ達を見ると、

「こ、こここ、これで終わりひゅ!」

「オンッ!」

フィーニアが炎のフィールドを展開して、その中をサクラが縦横無尽に駆けた。

その動きは風のように。

ヴェルグの攻撃がかすることすらなくて、一方的に追い詰めていく。

「ニーナ、いきますよ」

「う、ん」

そして、母娘がとっておきを放つ。

とある地点がぐにゃりと歪み、空間の裂け目ができた。

それは、さながら肉食獣の口のよう。

ヴェルグを左右から挟み込み……

そのまま、ぱくりと飲み込んでしまう。

「なっ!? お、おい、こんなふざけたこと……おおおおお!?」

ヴェルグは必死に抵抗しようとするが、無駄だ。

成長速度が著しいニーナ。

そして、神族として完成された力を持つノキアさん。

この二人から逃れることはできない。

そして……

ぱくん、という感じで、ヴェルグは亜空間の中に閉じ込められてしまった。

「よくがんばりましたね、ニーナ」

「えへへ」

娘の奮闘を称えるノキアさん。

ニーナはよほどうれしいらしく、三本の尻尾がぶんぶんと揺れていた。

「「ドラグーンハウリング!!」」

「からのー、大回転魔球や!」

ソラとルナが立て続けに魔法を放ち、さらに、タイミングを合わせてティナも攻撃を叩き込む。

この波状攻撃はたまらないらしく、アリエイルは防御に徹するしかない。

「ちっ、うっとうしいわね」

アリエイルは攻撃を防ぎつつ、素早く視線を動かして、状況を確認する。

ミツキは麻痺で倒れている。

ヴェルグはニーナ達が捕まえた。

「……あーもう!」

苛立たしげにアリエイルが舌打ちをした。

大きく後ろに跳ぶ。

そして翼を広げると……

「げっ、あれはまずいで!?」

「わ、我が姉よ、防御魔法なのだ!?」

「そ、そう言われても、いきなりは……」

「これでも……食らいなさいっ!!!」

アリエイルのドラゴンブレス。

まともに直撃すれば、骨も残らず焼けてしまうだろう。

だから、俺は三人の前に出た。

「アイギス!」

二つの小手に仕込まれた魔法の盾を展開して、

「斥力場、展開!」

重力の盾も広げて、ドラゴンブレスの前に立ちはだかる。

ゴォッ! という音と共に光の奔流に飲み込まれた。

ものすごい圧が盾にかかり、まとめて吹き飛ばされてしまいそうになる。

熱が侵食してきて、意識を奪われてしまいそうだ。

ドラゴンブレスをまともに浴びたことはないけれど、まさか、これほどの威力があるなんて。

さすが、竜族。

最強種の中でも、戦闘力に長けているだけのことはある。

でも……

「なっ!?」

全てを防ぎきり、アリエイルが油断しているところで、ワイヤーを射出。

その体を拘束する。

アリエイルは、思わぬ反撃に目を丸くして……

次いで、小さく笑う。

「へぇ……私のブレスを防ぐなんて、とんでもないのね。あなた、本当に人間かしら?」

「ちょっと特殊だけど、でも、人間だ」

「レインが自分が特殊であることを認めたのだ!」「明日は雨でしょうか?」「やばいなー」「たい、へん」

……なんていう声が後ろから聞こえてきたものの、今はスルーだ。

「ラインハルトの関係者だな? せっかくだから、色々と話を聞かせてもらうぞ」

「悪いけど、話すことはなにもないわ。そして、あなた達に捕まることも遠慮させてもらう」

アリエイルは、力任せにワイヤーを引きちぎってしまう。

そして、一足でミツキのところまで移動して、その体を抱える。

「あなた、なにをやっているのかしら? ぶっ殺すんじゃなかったの?」

「うぅ……次は、ぶっ殺す……」

「やれやれ、ね。勢いがあるのはいいことだけど、もうちょっと考えて戦いなさいな。ラインハルトにもそう言われていたでしょう?」

「うぅ……」

ミツキを抱えつつ、アリエイルは翼を再び広げた。

「逃がすか!」

「それじゃあ、またどこかで」

再びワイヤーを射出するものの、今度は途中で撃ち落とされてしまう。

アリエイルは妖艶な笑みを浮かべつつ、ミツキを抱えて、そのまま空の彼方に飛び去っていった。