軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

637話 混戦

「さてと……じゃあ、獲物を見つけたから、さっさと狩りましょうか」

「ねえねえ、その前に、変な連中がいるんだけど?」

今気づいたというように、二人がこちらを見た。

二人の目を見て、ゾクリと背中が震える。

なんて冷たい目をしているんだ。

生き物を生き物として見ていないというか……

暗く深く冷たく、負の感情しか込められていないように見える。

猫霊族の女の子は、カナデとよく似た栗色の髪。

猫霊族は、みんな同じような髪色なのだろうか?

ただ、髪型は適当というか、長めで、ところどころ跳ねている。

野生児、という感じだ。

体は小さいけれど、熊を相手にしているかのようなプレッシャーを感じた。

竜族の女の子は、夜空のように鮮やかな黒髪だ。

長く伸びた髪は、片方をまとめている。

サイドポニー、というやつか?

服はタニアと似たようなものだけど、こちらの方がやや露出が激しい。

ただ、いやらしいというわけではなくて、似合っているという感想になるから不思議だ。

「お前達は……」

「おっ。なんか人間がいる」

「同胞もいるわね」

「ねーねー、アリエイル。あれも敵? 狩っていいの?」

「どうかしら? ラインハルトが言っていた、もう一人のビーストテイマーだと思うけど、狩れと命令はされていないわね」

「ちぇ、つまんない」

この二人、ラインハルトの関係者か?

普通に考えれば、彼が使役しているのだろう。

でもまさか、俺と同じように、複数の最強種を使役するなんて……

シグレさんから聞いた、ラインハルトが数世代前の勇者パーティーの一員という話が真実味を帯びてきた。

これだけのことができるのなら、勇者パーティーに参加していてもおかしくはないだろう。

「俺の名前は、レイン・シュラウド。二人は?」

主導権を握られてはいけないと、あえて自分から話しかけた。

無視されるか。

それとも、襲いかかってくるか。

わりと最悪なパターンを想定していたのだけど、意外というか、二人は会話に応じてくれる。

「私はミツキ。猫霊族よ」

「アリエイル、竜族よ」

不敵な笑みを携えつつ、二人はそれぞれ名乗った。

二人はすでに戦闘になることを想定しているらしく、闘気を放っている。

突然の最強種との遭遇。

偶然とは思えないが……

ただ、ヴェルグも戸惑いを見せていた。

ヤツの仕業ではなさそうだ。

最悪、ラインハルトとヴェルグが手を組んだ可能性を考えていたが、それはなさそうだ。

「それで、ここにはなにをしに?」

「その魔族に聞きたいことがあるんだけど、渡してくれない?」

ミツキが鋭い目でこちらを睨む。

邪魔をするのなら、実力行使も厭わない。

そんな感情が色濃く浮かんでいるのが見えた。

「渡せ、と言われても、まだ捕まえたわけじゃないが」

「もう捕まえたようなものでしょ? そいつの仲間、私達がぶっ殺したし」

「なっ……!?」

ヴェルグが驚きの声をあげた。

「ふざけたことを抜かすな! いくら最強種だろうと、俺の仲間が全部やられるわけがねえだろ!」

「うるさいな……別に信じなくてもいいよ? 事実は私達が知っていればいいだけだから」

「決定的な証拠にはならないけど、あなたの仲間の特徴を教えましょうか? そうすれば、少なくとも相対したという証拠にはなるでしょう? そして、相対して生きているのは私達……どうかしら?」

「ぐっ……」

余裕をまったく崩すことのない二人の態度に、ヴェルグは気圧されるようにうめいた。

「……話を戻すが、ヴェルグになんの用が?」

「ミナ・ルサージュ」

「っ」

「そいつの場所を、そこの魔族が知っているんでしょ?」

「ラインハルトが、彼女に用があるみたいなの。だから、居場所を聞きたいのよ」

「ここで、ラインハルト……か」

ヤツは、いったい何者だ?

そして、なにを考えている?

深い疑問に囚われそうになるものの、しかし、ここで考えても答えは出ない。

「ははっ、あの女の居場所を知りたいのか? そいつは残念だったな。今は俺も知らないぜ」

「今は?」

「そこの男がさらっていったからな」

「へぇ……」

ミツキの刺すような視線が俺に向けられた。

「ミナ・ルサージュはどこ? 私達にちょうだい?」

「はい、と言えるのなら簡単なんだけど……」

クサナギを構える。

「こちらも苦労して捕まえたんだ。いきなり横から出てきたヤツに、わかりました、と渡すつもりなんてない」

「……むかつく」

ぶわっと、ミツキがまとう闘気が膨れ上がる。

それはより鋭く、より濃厚に。

殺意に変化した。

「なら、ぶっ殺して聞き出す!」

「半殺しにしておきなさい。殺したら聞き出せないわよ」

アリエイルも闘気を放ち、構えた。

それにつられるかのように、ヴェルグも戦闘態勢に移行して……

「れ、レインよ!? この場合、我らの敵は誰なのだ!?」

「ルナ、そんなこと聞くまでもありません」

「俺達以外、全員だ!」

そして、三つ巴の戦闘が開始された。