軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

633話 大正解

ダンジョンからホライズンに戻り、そのまま我が家へ。

シフォン達、エリスはそれぞれ宿をとっていたが、みんなで話をするとなるとスペースが足りない。

なので、我が家で作戦会議を行うことにした。

「……と、いうわけなんだ」

みんなを集めて、ダンジョンで起きた情報を共有した。

「そのようなことになっていたのですね。少し驚きです」

「むーん? ていうか、ミナはなにがしたいのだ? 和平と言いながら攻撃をしかけてくるとか、頭おかしいのではないか?」

ルナの疑問はもっともだ。

普通に考えると、彼女の行動はめちゃくちゃ。

ただ……

「ミナさんが、というよりは、一緒にいた魔族に問題があるんじゃないかな?」

俺の言いたいことをシフォンが先に口にした。

「あの魔族が暴走していたように見えるんだよね。ううん、暴走というよりは確信犯? とにかく、私達と戦いたくて仕方ない感じだった」

「私達に恨みがある、という様子ではありませんでした。かといって、特に好戦的な性格にも見えません」

シフォンに続いて、エリスがそう言う。

最後に、俺が答えをまとめる。

「ミナは、たぶん、本気で和平なんてものを考えているんだろうな。ただ、魔族は違う。ミナに協力しているように見せかけて、その実、まったく別のことを考えている。例えば……勇者であるシフォンを消すこと、とか」

ホライズンへ戻る途中、あれこれと話を重ねて、こんな結論に達した。

ミナは騙されていて、魔族に良いように利用されている。

そう考えると、色々としっくりとくる。

今の俺は、魔族の全てが悪と断じることはできない。

でも、ヴェルグという魔族は怪しい。

なにかしら企んでいるだろうと、疑わざるをえない。

「シフォン、どうする? やっちゃう?」

「相手が剣を向けてくるのならー、私達が全力で迎撃しても問題ないと思いますがー」

「……私は、できればミナさんとちゃんと話し合いたいかな」

ショコラとミルフィーユの問いかけに、シフォンはそんな答えを示した。

「今の推論が正しい、っていう前提で話を進めるけど……だとしたら、ミナさんは騙されているだけ。もちろん、それで過去に犯した罪は消えないんだけど、それでも、平和を望んでいることに間違いはないと思うの。そんな彼女を問答無用で倒すのは、ちょっと……」

「にゃー、シフォンは甘いね」

「そうね。誰かさんに似た甘さね」

「ですが、嫌いではありませんわ」

みんな、シフォンの考えを支持するようだ。

それぞれ口元に笑みを浮かべている。

「……」

そんな中、一人硬い表情を浮かべているのがエリスだ。

表立って反対することはないものの、ミナと和解するなんてありえない、という感じで唇をまっすぐに引き締めている。

「少し話が逸れるのだが、魔族の目的はシフォン殿だけなのだろうか?」

ステラがそんなことを言う。

「ミナ殿を騙して、利用しつつ、シフォン殿の命を狙う。なるほど、魔族らしい作戦だ。しかし、同時にこうも思う。回りくどくないだろうか? と」

「そうですね……確かに回りくどいですね」

ノキアさんがステラの意見に賛成した。

「シフォンさんを狙うのならば、圧倒的物量で攻めるか、精鋭をぶつけるか……そうすることがわかりやすく、そして成功確率の高い作戦ですね。不意を突くにしても、敵対している人間を利用するというのは、よくわかりません」

「効率が悪くなるだけだよね。うーん……よくわからないなあ。レインくんはどう思う?」

「そうだな……わざわざミナを引っ張り出してきたんだ。彼女がキーになってるのは間違いないと思うんだが、どんな価値があるのか、それはなんとも」

あれこれと考えてみるものの、敵の思惑がよくわからない。

たぶん、背後にいるのはモニカとリースだ。

彼女達の策はトリッキーなものが多く、推論を立てることも難しいんだよな。

「あ、あにょっ!?」

フィーニアが手を挙げた。

あにょ、というのは、あの、と言おうとして噛んでしまったのだろう。

「わ、わらひは、その、えと、その……あ、あの時と同じなんじゃないかな、なんて思うんですけど!?」

「あの時?」

「ご、ごめんなさい! ワタシなんかが意見してごめんなさい!」

「オンッ!」

混乱するフィーニアを、サクラが吠えてなだめた。

そうやって落ち着いたところで、改めて話を聞く。

「フィーニア、あの時っていうのは?」

「えっと、その……レインさんが里に来た時のこと、です。色々あって、里が襲われて……」

「あっ」

そして……リーンが魔族になった。

「それじゃあ、ミナを引っ張り出してきたのは、リーンの時と同じように魔族化させるため……?」

「だ、断定はできないんですけどぉ……そ、その可能性はあるんじゃないかなー……な、なんて」

「いや……うん、そうだな。その可能性は十分にあると思う」

というか、それ以外にありえないのでは?

でなければ、わざわざミナを引っ張りだしてくる意味がない。

魔族化したリーンは、複数の最強種を圧倒できるほどの力を得た。

同じく、元勇者パーティーのミナが魔族になったら、同等の力を得ると考えた方がいい。

そうやってミナを堕とすことで、モニカとリースは強い味方を増やす。

あるいは……

ホライズンやクリオスでスタンピードを引き起こしたヴァイスのように、良質な魂を求めて、ミナを生贄に捧げようとしている……ということも考えられる。

うん。

フィーニアの話をきっかけに、一気に想像が広がった。

確認のしようはないけど……

でも、ほぼほぼ正解のような気がした。

「敵の目的は、ミナの魔族化と考えて行動した方がよさそうだな」

「だとしたら、わりとまずいのではありませんか? わたくしは寝込んでいたのでわかりませんが、魔族化した魔法使いは相当な力を得たのでしょう?」

「ふふんっ、我らが一丸となれば敵なんていないのだ!」

「まったく、ルナの無駄な自信は困りものですね。ですが、ソラとしては……」

それから、対ミナの策を話し合い……

夜遅くまで時間を使うことで、完璧といってもいい作戦を立てることができたのだった。