軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

619話 圧勝

「オォ!?」

光の奔流に飲み込まれながらも、魔族は生きていた。

ただ、無傷というわけにはいかず、あちらこちらが傷ついている。

「ナ、ナンダ……!?」

慌てる魔族に、

「来たれ、嘆きの氷弾」

さらに追撃が飛んできた。

氷の刃が飛来して、暴風のごとく暴れ、魔族を飲み込む。

「オオオオオォッ!?」

魔族は魔力を盾のように展開して、防御を図る。

しかし、完全に防ぐことはできない。

使用者の魔力がよほど強大なのか、氷の刃が踊る度に盾が削られていき、ダメージが肉体に及んでいた。

「「……」」

突然の攻撃。

援軍なのか? それとも敵の同士討ちなのか?

咄嗟の判断ができず、ショコラとミルフィーユがぽかーんとなる。

「ショコラ! ミルフィーユ!」

そんな二人を叱咤するように、鋭い声が響いた。

「コンビネーションC、いくわよ!」

「おー」

「はいー」

ショコラとミルフィーユは一瞬で我に返り、即行動。

この辺りは、さすがというべきか。

ショコラは巨大な盾を空高く掲げた。

すると、盾が八つに分裂して、意思を持ったかのように飛翔する。

そのまま、攻撃を受けたことで動けない魔族を包み込み……

「ホーリーアロー!」

「メガボルト!」

二つの魔法が放たれると同時に、八つの盾が魔族を完全に閉じ込めた。

完全に密閉された状態で魔法が炸裂する。

大規模な破壊が小さな空間で荒れ狂い、その威力を何倍にも高くした。

そして……

「おし。終わり」

ショコラが盾による封印を解除すると、魔族の姿は消えていた。

正確に言うと、その命を散らして灰になり、宙に散ったのだ。

「ちょっと焦ったなー」

「突然でしたからねー」

「だなー。でも……」

ショコラとミルフィーユは振り返り、

「遅いなー、シフォン」

「待ちくたびれました」

「あはは……ごめんね」

ちょっとふくれてみせる仲間達に、シフォンはごめん、と両手を合わせるのだった。

――――――――――

「お手」

「オフ!」

「おかわり」

「オン!」

「ち……」

「なにしているの!」

「あいて」

改めて冒険者ギルドへ移動して……

色々と話をしなければいけないのだけど、そんなことは無視して、ショコラがサクラと遊び始めた。

それを見て、シフォンがおしおきのげんこつを落とす。

「まったくもう……確かに、サクラちゃんはかわいいけど、今は遊んでいる時じゃないでしょう? 魔族のこと、これからのこと、きちんと話をしないと」

「とか言いつつ、シフォンもサクラと遊びたいのでは? ほらほらー、肉球だよー?」

「ワフゥ?」

「うっ、そ、そんなつぶらな瞳で見つめられたら、ちょっとくらいは、っていう気持ちに……」

「あー……シフォン?」

「はっ!?」

声をかけると、我に返ったらしく、とても恥ずかしそうに。

「ご、ごめんね……つい、ショコラのペースに巻き込まれて」

「いいさ。サクラと一緒にいると、色々なことを忘れて遊びたくなるからな」

それがサクラの魅力の一つだ。

「でも、今は話を優先しよう」

「うん、そうだね」

「じゃあ……ひとまず、事件のことを教えてくれないか?」

そう声をかけたのは、

「ああ、了解した」

ステラだ。

彼女は、この街の騎士団支部の隊長なので、色々な後処理をしてくれた。

同時に情報収集もしてくれたため、話を聞くなら彼女が一番なのだ。

「いくつか気になる情報を得たが……その前に、まずは感謝を。ホライズンが再び魔族に襲われるという事件が起きたけれど、レイン達と勇者さま達のおかげで、大きな被害が出る前に討伐された。深く感謝する」

「どういたしまして。でも、そんなにかしこまらないで。魔族は、私達勇者の敵。討伐するのは当たり前のことだから」

「ここは、俺達のホームグラウンドだからな。なにかあれば力になるのは当然のことだよ」

「改めて、感謝を」

ステラは繰り返し、そう言うと、深く頭を下げた。

久しぶりに会うけれど、本当にステラは真面目だ。

そこまで気にしなくてもいいのだけど、気にせずにはいられない。

それが彼女の美徳なのだろう。

「では、ここからが本題になるのだが……」

ステラは迷うような表情を浮かべた後、ややあって話を続ける。

「これは確定というわけではないので、他言無用で頼む」

「ああ、わかった」

「実は……ホライズンの近くで、元勇者パーティーの一員、ミナ・ルサージュが目撃されたらしい」

「ミナが? それは本当に?」

「こう言ってはなんだが、あまり驚かないな?」

「それは……」

シフォンを見ると、話してもいいよ、という感じで頷いた。

「これも他言無用でお願いしたいんだけど、実は……」

こちらの……というよりは、シフォン達の任務を話した。

いつも冷静なステラだけど、さすがに顔が険しいものになる。

「……なるほど。元勇者パーティーの討伐か」

「私達は、ミナさんがこの近くにいると聞いて、ホライズンにやってきたんだ」

「確かな情報ではないとのことでしたがー、でもぉ、ステラさんも同じことを仰るのなら、ぐんと情報の精度が上がりましたねー」

ミルフィーユが言うと、あまり危機感がないな。

「それと、さっきの魔族……偶然で片付けるには、ちょっと都合が良すぎるな」

ミナがなにを企んでいるのか?

魔族と手を組んで、どこを目指しているのか?

わからないことは多いが、でも、絶対に好きにさせない。