軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

618話 突然の……

「ところで、ショコラとミルフィーユはどこに?」

「情報収集をお願いしていたから、冒険者ギルドかな」

というわけで、冒険者ギルドへ向かう。

「ねえ、二人共、元気にしてるの?」

「あの二人はとてもマイペースな方なので、元気がないというのは、あまり想像できませんが」

同行するタニアとイリスが、そんなことを尋ねた。

イリスの言い方がおかしかったらしく、シフォンが笑いながら答える。

「うん。ショコラもミルフィーユも、すごく元気にしているよ。元気すぎて、ちょっと困っちゃうくらい」

「でも、元気ならいいのではありませんか?」

「そうなんだけどね。ただ、イリスさんが言うように、二人共マイペースだから……ちょくちょく振り回されちゃうんだよね」

「あー……」

その光景を想像したらしく、タニアが微妙な表情に。

確かに、あの二人はマイペースだからな。

ショコラとミルフィーユにあれこれと振り回されてしまうシフォンの姿が簡単に想像できた。

「あ、レインくん笑っているな? ひどいー」

「ごめん、つい」

「もう、許してあげない」

「悪かったよ。えっと……ほら、そこの屋台でなにかおごるから」

「……ドリンクもセットでいい?」

「もちろん」

「なら、許してあげる♪」

シフォンはすぐに機嫌を直した。

というか、怒ったフリをしただけなのだろう。

「「……」」

気がつくと、タニアとイリスがジト目に。

「どうしたんだ、二人共?」

「……レインって、シフォンと付き合ったりしてるの?」

「えっ。ど、どうしてそうなるんだ?」

「どうしてもなにも、そういう風にしか見えなかったんだけど」

「わたくし達は置いてけぼりで、二人きりの世界を作っていましたわ」

「ち、違う違う。そんなことはないから!」

「そ、そうだよ。レインくんの言う通り。私とレインくんが付き合うなんて……そんなことは、ねえ?」

シフォンは、どうしてまんざらでもない様子なんだ?

「「じー……」」

タニアとイリスの視線が、ますます険しいものに。

どうにかして誤解を解かないと……

ゴガァッ!!!

「っ!?」

突然、爆発音が響いた。

慌てて振り返ると、そう遠くないところで煙が上がっている。

悲鳴も聞こえてきた。

「レインくん!」

「ああ!」

急いで駆け出した。

――――――――――

爆発が起きたのは、街の中央にある広場だ。

噴水や花壇があり、街の人達の憩いの場として利用されている。

普段は露店も立ち並び、賑やかで、笑顔があふれる場所なのだけど……

今は戦場と化していた。

「ホーリーアロー!」

ミルフィーユが魔法を唱える。

光の矢を生成して、敵を狙い撃つ。

その敵というのは……

「ハハハッ、虫ケラ共、死ネヨ!」

魔族だった。

いつかホライズンに現れた魔族と似ている。

大きな翼と角を持ち、物語に出てくる悪魔そのもの。

ミルフィーユの攻撃を回避すると、お返しとばかりに漆黒の弾丸を生成して、雨あられと降り注がせる。

「そんなもの!」

ショコラが前に出て、巨大な盾を地面に立てるようにして構えた。

直後、盾が変形する。

横に縦に広がり、壁となって全ての攻撃を遮る。

「ヤルナ。ナラ、コレデドウダ!?」

魔族は両手を掲げるようにして、巨大な魔力の塊を作り上げた。

濃密な魔力が凝縮されたもので、爆弾のようなものだ。

もちろん、その威力は爆弾なんかと比べると桁違い。

普通に考えるのなら、防ぐことは不可能。

例え防ぐことができたとしても、余波が発生して、周囲の建物をまとめて吹き飛ばしてしまうだろう。

「ショコラさーん、まずいですよぉー」

「むう……」

ショコラとミルフィーユは焦る。

魔族の力は大したことはなさそうだ。

新生勇者パーティーの一員として、あれくらい討伐できて当然。

だがしかし。

あまりにも突然すぎる。

魔物ならともかく、魔族がいきなり街を襲撃するなんて聞いたことがない。

今までに一度もなかったかといえば、そうではないのだろうが……

それでも数えるほどだろう。

完全に先手を取られてしまい、後手に回らざるをえない。

「よし、決めた。ミルフィーユ、コンビネーションCでいこう」

「わかりましたー」

コンビネーションC。

ショコラが変幻自在の盾で対象を包み込み、封印。

その中に攻撃魔法を叩き込み、逃げ場のない状況で圧殺する……という、とっておきの連携だ。

ただ、消費する魔力が大きいため、できることなら使いたくはない。

シフォンがいない中、あまり無茶はできないのだけど……

戦いを長引かせて周囲に被害を出すわけにはいかない。

速攻即殺。

二人は覚悟を決めて、行動に移ろうとして……

「なにしてくれてんのよ、このアホぉおおおおおっ!!!」

そんな怒声と共に、どこからともなくドラゴンブレスが飛んできて、魔族を飲み込んだ。