軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

617話 今こそ正義の鉄槌を

一度家に帰り、みんなに話をした。

シフォンと再会することができて、最初はみんな喜んだのだけど……

その目的を知り、次いで険しい表情に。

「なるほど、元勇者パーティーの討伐……ですか」

「ふむふむ、それはわりと楽しそうなイベントなのだ」

「ルナ。内容が内容なのですから、楽しそうなんて言ってはいけませんよ」

ソラとルナは通常運転に見えるが、いつもに比べると、ややテンションが低い。

こんなことを口にしているが、問題の大きさをしっかりと認識しているのだろう。

「レインはシフォンに協力するのね?」

「ああ、そのつもりだ」

アリオス達は魔族と繋がっている。

なにを考えているかわからないが、リーンの一件を考えると、放置できないことは確かだ。

ミナやアッガスが、リーンと同じように魔族になって暴れないとも限らないし……

アリオスが魔族になるかもしれない。

称号を剥奪されたとはいえ、勇者。

そんな相手が敵になれば、どれだけ厄介か。

どれだけの被害が生まれるか。

想像すらしたくない。

「放置したら、とんでもないことになりそうだし……それに、これは俺の問題でもあるんだ」

「にゃん? レインは関係なくない?」

「せやな。元パーティーメンバーっていうだけで、レインの旦那はなんもしとらんで」

「そうなんだけど、そうじゃないんだ」

自分でもうまく言葉にできないのだけど……

アリオス達から追放されたことが、全ての起点となっているような気がした。

その因縁を放置したまま、のんびりとしていられない。

過去から目を逸らすことなく、逃げることもしないで……

きちんと向き合わないといけない。

その時がやってきた、ということだろう。

「俺とアリオス達の間に、強い因縁がある。だから、俺もいかないとダメなんだ」

「まったく、難儀な性格やなあ」

「そうだよ。そんなの知らないよ、って無視してもいいと思うのに」

「レインはお人好し」

「でも……それが、良い……ところ」

みんな、俺の決意を否定することはなく、むしろ肯定してくれた。

一緒になってがんばると、応援してくれた。

うれしい。

「……」

そんな中、イリスは難しい顔をしていた。

「イリスは反対か?」

「あ……いいえ、そのようなことはありませんわ。レインさまがそうと決めたのならば、わたくしは使い魔としてそれに従うまで。ただ……」

「ただ?」

「少し引っかかるのですわ」

イリスは語る。

俺と合流する前、イリスはリースとモニカのところにいたらしいが……

そこで、アリオス達を魔族の仲間にするという目的を聞かされた。

ただ、リースとモニカの目的は、それ一つではないらしい。

「贄になってもらう、とも言っていましたわね」

「贄?」

「意味はわかりませんわ。なにかの比喩なのか、それとも、そのままの意味なのか。どちらにしても、アリオスさん達は、わりと重要なポジションにいるみたいですわ」

不穏な言葉だ。

意味と目的はわからないが、警戒しておいた方がいいだろう。

「というわけで……俺達は、シフォンに協力するよ」

「ありがとう、みんな……うん。本当にありがとう!」

シフォンは立ち上がり、深く頭を下げた。

わざわざ、そんなことをしなくてもいいのに。

でも、自然とそうしてしまう。

そんなところに、彼女の人柄が現れているような気がした。

「それじゃあ、今後について話し合いたいんだけど……」

「にゃー、ショコラとミルフィーユは?」

あの二人抜きで話し合いをしても、あまり意味がない。

きちんと全員揃った状態で対策を考えないと。

「ショコラとミルフィーユなら、もう少ししたら、宿で合流する予定よ」

「なるほど……それなら、いっそのことウチに来ないか?」

「え? レインくん達の家に?」

「まだ部屋は余っているし、同じ場所にいた方が色々とやりやすいだろう?」

「でも……いいの? 私達、お邪魔じゃないかな?」

ちらりと、シフォンの視線がカナデ達に向いた。

その視線に含まれている感情は、よくわからない。

ただ、女性は違うのか、カナデ達はわずかに頬を染めて、なんともいえない表情に。

「だ、だいじょーぶ! 私達は、まだそういう関係じゃないから!」

「そ、そうよ。変な気を使わなくていいわ」

「そっか。それならよかった……っていうのも、ちょっと悪い感じだけど。それじゃあ、お世話になるね」

よくわからない流れはあったものの……

シフォン達は、しばらくの間、ウチに滞在することに。

ティナを始めとした数人が部屋の準備をして……

さらに数人が、シフォン達が増えることで必要になる食材や日用品の購入に向かい……

俺を含む残りのメンバーが、ショコラとミルフィーユを迎えに行くことになった。

――――――――――

「おっ、レインじゃねえか! どうだ、ウチに寄っていかないか?」

「おいおい、それよりも、この野菜を見てくれよ。うまそうだろ?」

「はいはい、ガサツな男連中は黙ってなさい。レインさんは、私のところの料理を食べて、元気になるべきなのよ」

「あはは」

街の人が次々に話しかけてくれる。

最近では日常になりつつある光景だ。

「……」

シフォンが目を丸くして驚いていた。

次いで、優しい笑みを浮かべる。

「レインくんは、この街の人に好かれているんだね」

「ありがたいことに」

「ちょっと、うらやましいな。私は勇者だけど、一つの街に留まることはできないから……だから、ここまで仲良くなれる人はほとんどいなくて」

「オンッ!」

寂しそうな顔をするシフォンを見て、なにか思うところがあったのか、隣を歩くサクラが吠えた。

「ハッハッハ……クゥーン」

「えっと……レインくん。この子は、なんて?」

「俺も正確にはわからないんだけど、たぶん、自分達がいるよ、って言っているんじゃないかな?」

「そっか……えへへ、ありがとう。サクラちゃん」

「オフゥ」

頭をなでられて、サクラはうれしそうに尻尾をぶんぶんと横に振るのだった。