軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

602話 精霊大決戦

「ガルーダブラスト!」

「タイタンクラッシュ!」

アルさんが超級魔法を唱えて……

それに対抗するかのように、モナも超級魔法を唱えた。

風の嵐と土の津波が真正面から激突する。

その余波で衝撃波が吹き荒れて、周囲のものを薙ぎ払っていく。

「むっ!?」

魔法の効果が終わるギリギリのタイミングでモナが前に出た。

両手を剣に変えて、アルさんに鋭く斬りかかる。

アルさんの魔法の腕は超一流だけど、ソラとルナと同じく接近戦は苦手だ。

一方、モナは体を自由自在に変化させられる。

それを応用したトリッキーな戦法が得意で、接近戦もマルチにこなすことができる。

単純に考えれば、アルさんの方が分が悪いが……

「もらった!」

「甘い!」

モナの突撃をアイギスで食い止めた。

そして、カウンターで毒針を放つ。

効果あるとは思えないが、牽制にはなるだろう。

「レインよ、助かったぞ」

「どういたしまして」

接近戦は俺が担当すればいい。

一人ではないのだから、弱点があるのならパートナーが補えばいい。

「むー……ちょっとちょっと、可憐な乙女を相手に、二対一なんて卑怯じゃない?」

「悪いが、正々堂々とか期待しないでくれ。俺は、正義の味方じゃないからな」

「妾達の近くでコソコソとつまらぬことを企んでいた不運を嘆くのじゃな」

「なら、邪魔者は切り捨てる……っていうのがセオリーかな?」

モナは両手を元に戻して……

代わりに、長い髪を無数の槍に変化させた。

そして、槍に変化した髪が勢いよく伸びて地面に突き刺さる。

なんだ?

眉を潜めていると……

地面の方から、わずかに振動が伝わってきた。

「アルさん、上に!」

「うむ!」

俺は重力操作で、アルさんは魔法で空へ逃げた。

その直後、地面から無数の槍が生えてきた。

俺達を貫こうとしていて、速度はかなりのものだ。

ただ、すぐに退避の判断をすることができたから、刃が俺達に届くことはない。

「ファイヤーボール・マルチショット!」

「ドラグーンハウリング・トリプル!」

反撃の魔法を叩き込むが、モナは素早い。

すぐに槍を引っ込めると、横に大きく跳んでこちらの攻撃を避けてしまう。

超級魔法を扱えるだけじゃなくて、近接戦闘も得意。

さらに、体を変化させるトリッキーな戦い方。

まともに戦うのはこれが二度目だけど……

なんて厄介なヤツだ。

火力には欠けているかもしれないが、一人で戦いが成立するオールラウンダーで、どこをどう攻めればいいか迷ってしまう。

非常にやりづらい相手だ。

「ええい、ちょこまかと。うっとしいヤツじゃ!」

「ならさー、やめない? 私、わざわざここで戦う必要はないんだよねー」

「悪いが」

踏み込み、クサナギを振るう。

避けられてしまうものの……

直後に、セカンドフォームへ移行。

十二の刃で追撃する。

「ふざけたことをしてくれた礼をしないといけないからな」

「お礼をしてくれるなら、甘いものがいいな」

「悪いが、とっておきの一撃で我慢してくれ」

セカンドフォームからサードフォームへ。

「イグニションッ!」

十二の刃がカムイに収束された。

あらかじめみんなの魔力を込めておいたカートリッジを一つ使い、極大の一撃を叩き込む。

ガァッ!!!

巨大な光の刃が、モナを押し潰すかのように直上から叩き落された。

タイミング、速度、共に最高だ。

普通ならば避けられないのだけど……

「おぉ!?」

モナは驚きの声を発しつつ、瞬時に両足をバネに変化させた。

驚異的な瞬発力を見せて、安全圏に退避してしまう。

「なんでもありだな……」

「ふっふっふ、褒めてくれてありがとう」

舌打ちしたい気分だ。

モナの攻撃がこちらに届くことはないが、しかし、俺達の攻撃もモナに届かない。

ちらりと視線を横に。

カナデとニーナは覚醒状態へ移行して、魔物達を一気に掃討しようとしていた。

できるなら彼女達の協力も得たいのだけど……

覚醒状態は長続きしないらしいから、無茶はお願いできないか。

俺とアルさんでなんとかするしかない。

「……アルさん」

モナを睨みつつ、小声で話しかける。

「……ちょっとした考えがあるんですけど、モナの気を引いてくれませんか?」

「……ふむ。妾を目くらましとして使うと?」

「……ダメですか?」

「……いや、構わないぞ。スズと練習していた、アレを使うのじゃな?」

アルさんはニヤリと笑う。

俺が意図していることを理解した様子だ。

「へいへーい。そこ、なにコソコソ話しているの? もしかして、私を逃してくれる、っていう相談? なら大歓迎だよん」

「たわけ。お主には聞きたいことが山ほどある。逃がすわけがなかろう」

「そういうことだ」

「まったく、しつこいなあ……これだから年寄りは困るよ。粘着質で大変だ」

「……ほほぅ」

アルさんのこめかみがヒクリと震えた。

あ……

これは本気で苛ついているな。

モナも命知らずなことを言う。

「ならば、その年寄の力を見せてやるぞ……失われつつある秘術、絶級魔法の力を思い知るがよい!!!」