作品タイトル不明
599話 久しぶりの再会
「久しぶりじゃのう、モナ。元気にしておったか?」
「な、ななな、なんでアルがこんなところにいるんだよ!?」
モナは露骨に動揺して……
さらに、後ろにいる俺達にも気がついた様子で、「ぷぎゃ」とかいうよくわからない声をこぼす。
「あんたらまで……な、なんで?」
「さて、なんでじゃろうなあ」
「ま、まさか私のことを追跡して……いや、もしかして泳がせていた? それで、私の研究を潰そうと……」
なにか勘違いしている様子で、モナは戦慄とした表情に。
言えない。
近くに猫霊族の里があって、ただの偶然なんだ、とは言えない。
「まずは……」
「うあ!?」
アイギスからワイヤーを射出して、モナを捕らえた。
ここでなにをしているのか?
なにを目的としているのか?
全部、吐いてもらおう。
「悪いけど、捕まるわけにはいかないんだよねー」
「なっ」
モナの体がドロリと溶けて……
そして、ワイヤーを抜けたところで、再び構成される。
変身能力を有していることは知っていたけど、まさか、こんなこともできるなんて。
厄介だな。
できることなら、捕縛して色々と問い詰めたいところなのだけど、それは難しそうだ。
「私を捕まえるの、諦めた方がいいよ? ふふん」
「ほう……ならば、この場で消してしまうしかないのう」
「え?」
「そうじゃろう? 捕まえるのが無理。かといって逃がすわけにはいかぬ。なら、ここで倒しておくのが一番じゃと思わぬか?」
アルさんはとても悪い笑みを浮かべた。
どっちが悪人かわからない。
「えっと……お、おとなしく逃がしたら、後で恩返しにやってくるかも……なんて?」
「お主はそんなヤツではないじゃろう。いくぞ!」
「はい!」
まず最初に、俺とカナデが飛び出した。
地面を強く蹴り、一気にモナとの距離を詰める。
「あはは、バカ正直に突っ込んでくるなんて、成長してないなあ」
モナは笑いつつ、地面に手を突いた。
その指先が変化して槍となり、地面の中を進み……
俺とカナデを貫くべく、竹のように無数に生えてきた。
ただ、そんなことは予想済み。
「んっ」
ニーナの援護で、俺とカナデは横に転移した。
彼女ならそうしてくれると信じていたので、あえてなにもせず、真正面から突撃したのだ。
「なぁ!?」
動揺するモナを左右から挟み撃ちにする。
「はぁっ!」
「にゃあっ!」
「この!」
モナは両手を盾に変化させて、俺達の拳を防いだ。
でも、甘い。
一度の攻撃で終わらせることはなく、さらに拳を叩き込んでいく。
カナデも拳撃と蹴撃を交互に繰り出して、嵐のような猛攻を見せる。
「うっ、ぐぅ……!? こ、これはやばいかも……!?」
「悪いが、手足の一本や二本、覚悟してもらうぞ!」
「ま、まあまあ。落ち着いて。私は、今回はキミらと争うつもりは……」
「俺達には戦う理由はあるんだよ!」
クウの母親にひどいことをして。
ニーナとクウを悲しませて。
その元凶を放置していいわけがない。
「そういうわけじゃ。諦めよ」
アルさんがモナの真上に回り込んでいた。
「なっ、いつの間に……そうか! あのキツネっ子の力か!?」
「正解じゃ。ブルーコキュートス」
俺とカナデはラッシュを止めて、同時に後ろへ跳んだ。
直後、アルさんの超級魔法が吹き荒れる。
局地的なブリザードが吹き荒れて、世界が白に染まる。
絶対零度の世界。
そこに生物が存在することは許さないというように、モナを一瞬で凍りつかせてしまう。
「ほい、拘束完了じゃ」
「「うわぁ……」」
あまりにもえげつない攻撃に、ついつい俺とカナデは引いてしまう。
全身を凍らせてしまうなんて……
これ、絶対必殺なのでは?
少なくとも、俺は抵抗する術は思いつかない。
「おわ、り……?」
ニーナは警戒した様子で、凍りついたモナを見つめていた。
「うむ、そうじゃな。いかにモナといえ、この状態から自力で脱出することはできぬ。あとは封印を施して、里に持ち帰ろう。それから、お待ちかねの尋問タイムじゃ」
「アルさん、生き生きとしているね」
「しー、それを言うな」
尋問と言うアルさんは、とても楽しそうだ。
でも、それを指摘したら、妙なとばっちりを受けるかもしれない。
「とにかく、アルさんの言う通りにして……ニーナ!」
「ふぇ?」
殺気を感じ取り、俺はニーナのところへ駆けた。
小さな体を守るようにして抱き上げて、
「重力反転!」
ティナと契約した力を使い、空へ逃れる。
直後、大地を揺らして巨大な魔物が突撃してきた。
一体だけじゃない。
数十の群れがどこからともなく現れて……
ガシャアッ!
そのうちの一匹の魔物が、氷漬けになったモナを砕いてしまう。
「「「あっ!?」」」
しまった、と思うけれどもう遅い。
貴重な捕虜を失ってしまった。
……と思うのだけど、それも間違いだった。