軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

586話 迷子?

「……」

青空の下、のんびりと釣り糸を垂らす。

釣りは初めて挑戦するんだけど、けっこう楽しいな。

魚が針に引っかかるまでは、大してやることはないんだけど……

でも、こうして待っている間にゆっくりできるところが、どこか心地いい。

「レイン、釣れた?」

同じく、隣で釣りをしているリファが海を見たまま問いかけてきた。

「いや、釣れないな」

「ただ針を垂らしているだけじゃダメ。エサが生きているように、小刻みに動かさないとだよ?」

「こうか?」

「うん、そう……フィッシュ」

話をしている間に、リファの竿が大きくしなる。

リファは慌てることなく竿を引いて、糸を巻き取る。

そして、大きな魚を釣り上げた。

「よし」

釣り上げた魚を横に置いてある、海水が入ったバケツへ。

ちなみに、バケツはすでに五個使っている。

どれも魚がいっぱいで……意外というか、リファは釣りの才能があるみたいだ。

「お昼ごはん、いっぱいだね」

「ああ。これなら、カナデはすごく喜ぶだろうな」

「ボク、がんばるね」

「俺も負けていられないな」

釣果はいまだゼロ。

せめて、一匹は釣らないと格好がつかない。

がんばるぞ。

気合を入れて海を睨み……

「すみません、レインさん」

ふと、ノキアさんに声をかけられた。

「はい?」

「ニーナを見ませんでしたか?」

「ニーナですか? いえ、見てないですけど……」

「ボクも知らないかな」

リファを見ると、首を横に振られてしまう。

「そうですか……」

「見当たらないんですか?」

「散歩をしてくると、サクラさんと一緒に出かけたのですが、そろそろ三十分が経とうとしていて……」

「それはちょっと遅いですね……わかりました。俺、探してきますよ」

釣りを中断して立ち上がる。

「それなら私も……」

「入れ違いになるとまずいから、ノキアさんはこの辺りで待っていてくれませんか? 大丈夫です、すぐに見つけますから」

「……わかりました、お願いします」

「レイン、ボクも行こうか?」

「えっと……いや、大丈夫だ。ただ、ニーナが本格的に迷子になっているようだったら、その時は頼む」

「らじゃー。ボクの眷属は鼻が鋭いから、その時はすぐに見つけてみせるよ」

頼もしい言葉だ。

「じゃあ、行ってきます」

砂浜を離れて、ニーナとサクラが向かったという隣の林へ。

水着姿だから、あまり遠くへ行っていないと思う。

でも、もしかしたらなにかしらの事故に遭い、動けなくなっているという可能性も……

「……考えにくい、か?」

ニーナだけならともかく、サクラもついている。

サクラも幼いところはあるのだけど、でも、わりとしっかり者だ。

変な事故に遭うとは考えにくい。

「やっぱり迷子かな」

なにかに気を取られてしまい、帰り道がわからなくなってしまう。

そう考えるのが妥当な気がした。

「よし、頼んだぞ」

近くを歩いていた犬と契約して、ニーナとサクラを追跡してもらう。

リファにお願いしてもよかったんだけど……

釣りの邪魔をしたくないし、俺でも問題はない。

「こっちか?」

犬についていき、歩くことしばらく……ニーナとサクラの背中を見つけた。

特に怪我をしている様子はない。

「よかった。ありがとう、助かったよ」

お礼の肉をあげて、犬の頭を撫でる。

仮契約を解除した後、ニーナとサクラのところへ。

「ニーナ、サクラ」

「あ……レイン」

「オフゥ」

突発的な病気で動けなくなっていたのでは? という可能性もあったのだけど……

そんなことはなく、二人は元気そうだ。

「どう、したの?」

「それは俺の台詞だよ。ニーナ達が戻ってこないって、ノキアさんが心配していたぞ」

「あ……ごめん、なさい」

「謝ることはないさ。迷子に?」

「うう、ん……」

ニーナは首を横に振り、顔を下に向ける。

「この子……」

「この子?」

隣に移動して、二人の視線を追いかける。

すると、小さなキツネがいた。

体のサイズから見て、まだ子供だろう。

毛並みは見事な金色で、先はやや黒い。

「こいつ……怪我をしているのか」

よく見ると、後ろ足を引きずるようにしていた。

血に濡れて、後ろ足の毛が赤黒くなってしまっている。

「レイン……この子、たすけ、たい」

「オンッ」

ニーナとサクラがこちらを見て……

俺は笑みを返して、二人の頭を撫でる。

「ふぁ」

「オ、オフゥ……」

「二人は優しいな。うん、ちゃんと助けるさ」

さて、どうしたものか?