作品タイトル不明
574話 授業終了
昼ごはんの後、ティナの授業が行われた。
ただ、ごはんを食べた後だからなのか、半数近くが寝てしまい……
それを見たティナが、「休憩タイムにしよかー」とか言い出して、みんなで昼寝をすることに。
それでいいのか?
と思わないでもなかったけど……
でもまあ、実際に昼寝をすれば、これはこれでアリだと思った。
場所は屋上。
温かい陽を浴びつつ、そよ風も一緒に浴びて……
そんな中、みんな一緒に昼寝をする。
最高にのんびりできて、ぽかぽかと心地よくて、わりと素敵な時間だった。
そして、学習タイムが終わる。
――――――――――
「じゃあ、これで授業は終わりだ。みんな、おつかれさま」
「「「おつかれさまでしたー!」」」
最後の締めとなる挨拶をして、
「うにゃーん……疲れたぁ」
最初にカナデが崩れ落ちて、続けて、他のみんなも疲れた様子を見せる。
体を使うことならともかく、頭を使うのはちょっと……
というような感じで、ぐったりとしている。
ただ、今日一日が無駄だったかというと、そういうわけではなさそうで……
みんな、疲れた様子は見せているものの、どことなく充実した感じで楽しんでくれたみたいだ。
勉強が目的なのに楽しむというのは、矛盾しているかもしれないけど……
最近は色々とあったから、いい息抜きになってくれたと思う。
「って……ああ、そういうことか」
突然、アルさんがあんなことを言い出した理由がわかった。
俺達のことを気遣ってくれたのだろう。
ただ、アルさんはちょっとひねくれているところがある。
素直に言ったとしても、俺達は……俺は、のんびりするなんて、できなかったかもしれない。
色々と気遣ってくれたんだろうな。
「のう、レインよ」
「なんですか、アルさん」
「これで、妾の娘達も、少しは頭が良くなったかのう?」
気遣ってくれたんだよな?
……たぶん。
「えっと……学んだことは、どこかで役に立つと思いますよ」
「そうじゃな。無駄になるということはないじゃろう」
勉強であれ運動であれ。
芸術でも魔法でも……積み重ねてきた努力というものは、決して裏切らない。
思い通りに効果を発揮してくれないかもしれないが……
でも、どこかで、思いがけないところで役に立つ。
俺は、そう思っている。
みんなと一緒に過ごすことで、そう信じられるようになった。
だから……
「これからも、前に進んでいかないとな」
空に向けて手を伸ばして、雲を掴むように、ゆっくりと手を閉じた。
――――――――――
「勉強の終わりをお祝いして……」
「乾杯なのだ!」
夜。
カナデとルナ主導で、よくわからない宴が開かれることに。
勉強の終わりを祝うなんて……
そこまでイヤだったのだろうか?
「ぷはー! 苦行の後の酒はうまいのだ!」
「同感だよー。もうあんな思いは二度としたくないね」
「ルナさんとカナデさんは、それでいいのですか……?」
「ダメじゃないかな」
イリスが呆れ、リファはもう手遅れ、みたいな態度を取る。
「で、でもワタシは、その……また勉強してもいいかな、なんて」
「にゃん? フィーニアは勉強好きなの?」
「好きじゃないですし、と、得意でもないんですけど……その、なんていうか……楽しかったかな、って」
「そう言われると……」
「否定はできないのだ」
「機会があれば、また勉強してもいいわね」
「なら、うちが毎日指導したろか?」
「毎日はイヤよ」
「わたし、は……がんばりたい、かも?」
「ニーナはがんばりやさんやなあ、えらいえらい。飴ちゃんいる?」
「ハッハッハ……!」
「サクラさんが物欲しそうにしていますわね」
「わんこに飴はあかんちゃうかな……って、最強種やから問題ないん?」
みんな、談笑しつつ食事をつまむ。
ここにユウキとグレイが一緒にいたら……なんてことを不意に思うのだけど、それは叶わない。
寂しく、辛い。
でも、そういうことを乗り越えて……
そして、繰り返さないようにしないといけないんだよな。
それが、残されて、託された者の責務だ。
「レインさん」
「妾達に付き合うがよい」
ノキアさんとアルさんが酒瓶を手に、それぞれ左右に座る。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ノキアさんに酒を注いでもらう。
ちょっと贅沢な気分だ。
「急な頼みを聞いてもらい、すまんかったのう」
「いえ。なんだかんだで、俺も楽しかったので」
「そう言ってもらえると助かるのじゃ」
「ただ、私達としては少し気になるところがありまして……」
気になること? なんだろう?
ノキアさんとアルさんは、ちょっと深刻そうな顔をしている。
二人にこんな顔をさせてしまうなんて、いったい、どんな問題が……?
「実はのう……」
「は、はい」
「……料理教室を組み込むべきだったのでは? と思っているのじゃ」
「え?」
「ほれ。妾の娘……ソラの料理はアレじゃろう?」
「私はそこそこ料理ができるので、ソラさんに教えても、と思ったのですが……思いついた時はすでに遅く」
「のう、どう思う? もう一度、授業をした方がよいじゃろうか? ソラに料理を教える絶好の機会だと思うのじゃが」
「あー……」
確かに、それは魅力的な提案だ。
とても魅力的なのだけど……
「でもその場合、当然、試食することになりますよね?」
「「……」」
二人は沈黙して、
「「やめておこう」」
そんな結論に達するのだった。