作品タイトル不明
568話 お着替え&お披露目
カナデ達は別の部屋に移動して、そこで制服に着替えている。
その間、残った俺達は授業についての打ち合わせをしていた。
「それじゃあ、うちが文字や計算、歴史なんかでの学力担当でええんやな?」
「ティナは幽霊じゃから、蓄えてきた知識は豊富。教師には向いているじゃろう」
「私は芸術ですか……?」
「うむ、ノキアは芸術を教えてやってほしい。そういうものも身につけておいた方が、女としての魅力が増すじゃろう」
「はい、わかりました。私も絵などは好きなので、問題ありませんよ」
誰が何を担当して、どれだけの時間を教えるか。
着々と打ち合わせが進んでいくのだけど……
「妾は体育を担当するのじゃ」
「アルさん、俺はなにを教えれば?」
「レインはサポートを頼む。妾達は知識はあるとはいえ、誰かにものを教えるのは初めてじゃからな。色々と迷うことがあるかもしれぬ」
「わかりました」
「あと、お主がいた方が、皆もやる気が出るじゃろう」
「だから、俺をエサにしないでくださいよ……」
ほどなくして打ち合わせが終わり、着替えを終えたカナデ達も戻ってきた。
「にゃあ……なんか、スカートがちょっと短いかも」
「あたし、ちょっとサイズが合ってないような……」
「……」
制服に着替えたみんなを見て、ついつい固まってしまう。
なんだろう?
みんなが着ている服は、妙な色気があるというか背徳感があるというか……
不思議な魅力があって、ついつい視線が引き寄せられてしまう。
って、俺はなにを!?
「くふふ、レインよ。我らの新しい魅力に気がついたようだな?」
「そうなのですか? それなら、こんな格好をした甲斐はありました」
「えっと……ノーコメントで」
ごまかしつつ……
一方で、ふとしたことを考えていた。
新鮮だから、という理由もあるかもしれないが、みんなの姿に見惚れたことは事実。
なら……
仲間というだけではなくて、恋愛対象として見ることもあるのだろうか……?
答えも保留にしたままだから、そっちも考えていかないとな。
「オンッ!」
「うん?」
「ハッ、ハッ、ハッ……!」
サクラが俺の服を軽く噛んで、こっちを見て、という。
振り返ると……制服を着たサクラが。
「サクラも制服を着ていたのか……」
「ワンッ!」
「えっと……うん、似合っているぞ」
「オフゥ」
サクラは、とてもうれしそうに尻尾をぶんぶんと横に振る。
犬が制服を着るなんて、けっこう衝撃的な光景なのだけど……
でも、似合っていることは確かだった。
サクラの愛らしさが三割増しになっているような気がする。
「よし、それでは授業を始めるのじゃ。お主ら、それぞれ席につけ」
みんなが席に座る。
その机の上には、ノートとペンが用意されていた。
そして、部屋の前には大きなボードが。
これ、いつの間にか用意されていたんだけど……
全部、アルさんの手作りなのだろうか?
もしかして、アルさんはヒマなのだろうか?
だから、学習院みたいなことを……なんて、ついつい邪推してしまう。
「よし、準備はできたな? では、授業の前に講師陣を紹介しよう」
最初にノキアさんが壇上に立つ。
ちなみに、壇上もいつの間にか用意されていた。
アルさんは、けっこう凝り性なのかもしれない。
「ノキアです。私は、主に芸術を担当しますね」
続けてティナが壇上へ。
「マジカルミラクルメイド、ティナちゃんや! うちは……」
「レイン、ティナが小さくて見えないよ?」
「チビ言わんといて!?」
今日のティナは人形モードだった。
定期的に動かしておかないと関節部に不具合が生じるらしく、家でもたまに人形モードになっている。
「そして、真打ち妾の登場じゃ!」
アルさんがシュバババと手足を動かして、なにやら派手なポーズを取る。
「永遠の十四歳、プリティかわいいアルちゃんじゃ!」
「「「……」」」
場の空気が凍りついた。
「な、なんじゃその反応は……? ちとふざけてみただけじゃろう」
「母上よ……」
「それはないです……」
娘二人は、母親の突拍子のない行動にとても恥ずかしそうにしていた。
「にゃー……サバ読みすぎだよね」
「あたしの母さんもあんなだから、あまり強く言えないけど……でも、プリティかわいいはないと思うわ」
「ざん、ねん」
「とても微妙ですわね……微妙すぎて、とてもコメントに困りますわ」
「ボクは、なにも言えることはないかな」
「え、えとえと……に、似合っているかもしれないことはないかもしれないです!?」
「オフゥ……」
みんなが同情するというか……哀れみの視線。
それを受けて、アルさんが一歩後ろへ引いてたじろぐ。
「や、やめろ、そんな目で妾を見るな……」
「「「じーーー」」」
「やめるのじゃーーーーーっ!!!?」
アルさんの悲痛な叫びが街まで響いたとかなんとか。