軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

560話 バカバカバカよかった

「……あれ?」

目が覚めると、見知らぬ天井が見えた。

ベッドに寝ているみたいだ。

体を起こして、周囲を見る。

やはり知らない部屋……でもないか?

「ここは……王城か?」

何度か泊まったことがあるため、覚えていた。

部屋の作りや調度品など、記憶にある王城のものと一致する。

「でも、なんで王城に……?」

確か、西大陸にいて……

さらわれた人達を助けるために、魔族が拠点にしていた遺跡に潜入して……

そこで、四天王のアルテラと戦って……

「……あ、そうか」

思い出した。

なんとかアルテラを撃破することに成功したものの、無茶をしすぎたせいか、そこで体力が限界に。

操り人形の糸が切れるように、気絶してしまったんだ。

アルさんがいたから、たぶん、一気に王城まで移動したのだろう。

そのまま俺は休み……という流れだと思う。

「ただ、細かいところはわからないよな……あれからどうなったんだろう?」

みんなは無事だろうか?

ユウキは怪我をしていないだろうか?

さらわれていた人達は……ユニアとアニは、無事に家に帰れただろうか?

色々なことが気になり、とてもじゃないけれど寝ていられない。

俺はベッドから降りようとして、

「「あっ」」

ふと、扉が開いてカナデとタニアが姿を見せた。

二人はキョトンとして……

次いで、その瞳に涙を浮かべる。

「「レインっ!!!」」

「うわ!?」

二人が勢いよく飛び込んできて、そのまま押し倒されてしまう。

「起きた!? 起きたんだね!? もうもうもうっ、ずっと寝ていたからすっごくすっごく心配したんだからね!?」

「痛いところはない!? 大丈夫!? あたしらのこと、ちゃんとわかる!?」

「ふ、二人共落ち着いてくれ」

「「落ち着けるわけないでしょ!!」」

「おおぅ」

おもいきり怒られてしまう。

「レインってば、もう三日も寝ていたんだからね!?」

「治癒師の人間は大丈夫とか言ってたけど、でも、ずっと寝ているから不安で……」

「三日も……そうだったのか」

だとしたら、心配をかけてしまうのは当たり前だ。

二人に悪いことをした。

いや。

二人だけじゃなくて、みんなにも悪いことをしたな。

心配をかけているかもしれないし、早いところ元気なところを見せないと。

「って、レイン。どうしてベッドから降りようとしているの?」

「俺は大丈夫、っていうところをみんなに見せようと」

「にゃー! その気持ちはわからないでもないけど、無理したらダメ!」

「レインは起きたばかりなんでしょ!? それなのに、すぐに動き回るとかダメに決まってるでしょ! バカなの!? バカなのね!? バカでしょ!」

「えっと……」

そんなにバカバカ言わないでほしい。

さすがに傷つくぞ?

「そうだよ、タニアの言う通りだよ! レインはバカだよ! バカバカバカ! バカー!!!」

「か、カナデまで……」

「あんな無茶をして、私、すっごく心配だったんだから……」

「あんな無茶?」

「フィーニアの治癒能力を頼りに、突撃したじゃない」

「うっ」

そこを指摘されてしまうと、なにも言い返せない。

本当に一か八かの策だったので……

バカと言われても当然のような気がした。

「うー、本当にレインはバカなんだからぁ……」

「でも……」

二人は俺に抱きつく。

俺の体温を確かめるかのように、さらに体を寄せてくる。

「無事でよかった……」

「ホント……よかったわ」

「カナデ……タニア……」

カナデはいつも元気で。

タニアはいつも勝ち気で。

二人の涙なんて、ほとんど見たことがない。

そんな彼女達を泣かせてしまうなんて、とんでもなく悪いことをしたような気分になってきた。

いや。

実際に悪いことをしたのだろう。

アルテラを倒すことだけを考えて、その他のことをまるで考えていなかった。

みんなのことを忘れていた。

ああもう。

自分が恥ずかしい。

少しは成長したかな? なんて思ったこともあるのだけど……

今回の一件で、俺は、まだまだ自分が未熟であることを痛感した。

「ごめん。心配かけて、ごめん」

「うー……もう無理しない? 無茶しない?」

「それは……ごめん、なんともいえない」

「にゃうー……レインのバカ」

「でも、カナデやタニアに……みんなになるべく心配をかけないように、注意するよ」

「なるべく、じゃなくて、絶対って約束しなさいよ」

「そうしたいけど……」

「いいから、しなさい。ただの口約束でいいし、またなにかあったら破ってもいいから」

「えっと……?」

「約束してもらうことで、少なくとも、今は安心できるんだから……だから、しなさいよ」

タニアが拗ねたように寂しそうに、そう言う。

「……わかった、約束するよ」

「それでいいのよ、それで……ぐすっ」

「にゃうー……ひっく」

二人はようやく安心することができたのか、しゃくりあげ始めた。

そこまで心配をかけていたことが、とても申しわけない。

もっと……強くならないといけないな。

そんな決意を胸に宿して……

でも、今は二人だけのことを考えて……

しばらくの間、カナデとタニアの頭を撫でていた。